生命保険料控除の計算方法と新制度・旧制度の控除上限額

生命保険や医療保険の保険料を支払っている給与所得者・個人事業主向け。生命保険料控除の計算式といくら税金が戻るかを知りたい

著者: アキスケ

ひと言でわかる

生命保険料控除は新制度(一般・介護医療・個人年金各最高4万円・合計最高12万円)と旧制度を区分して計算し、支払額に応じた速算式で控除額を算出する

生命保険や医療保険、個人年金保険の保険料を支払っているものの、所得税の計算において控除額がいくらになるのか計算方法を正確に把握できていない納税者の方は少なくありません。生命保険料控除は、平成24年1月1日以後に締結した新契約と平成23年12月31日以前に締結した旧契約を区分して計算し、年間の支払保険料等の金額に応じた計算式に当てはめて控除額を算出します。

国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」(令和7年4月1日現在法令等)によると、生命保険料控除は納税者が生命保険料、介護医療保険料および個人年金保険料を支払った場合に受けることができる所得控除です。適用を受ける保険契約等の締結日に応じて新契約または旧契約の計算式が適用され、算出された各控除額の合計額が所得金額から控除されます。

新契約に基づく場合の控除額の上限は、新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料のそれぞれについて最高40,000円であり、全体の合計上限額は120,000円です。一方、旧契約に基づく場合の控除額の上限は、旧生命保険料と旧個人年金保険料のそれぞれについて最高50,000円となっています。新契約と旧契約の双方に加入している場合でも、全体の生命保険料控除額の合計上限額は120,000円となります。

支払保険料等とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいいます。保険期間が5年未満の生命保険などの中には控除の対象とならないものもあるため、加入している保険契約の内容や締結日を確認したうえで正しい控除額を算出する必要があります。

生命保険料控除の合計上限額はいくらか

生命保険料控除の合計上限額は最高120,000円です。国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」(令和7年4月1日現在法令等)によると、各保険料控除の計算式により算出した各控除額の合計額が生命保険料控除額となり、この合計額が120,000円を超える場合には生命保険料控除額は120,000円となります。

生命保険料控除の対象税目は所得税であり、根拠法令等は所法76、120、所令262、平成29年国税庁告示10号です。生命保険料、介護医療保険料または個人年金保険料を支払った納税者が所得控除の適用対象となります。

生命保険料控除は、平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に係る保険料と平成23年12月31日以前に締結した保険契約等に係る保険料とで取扱いが異なります。平成24年1月1日以後に締結した新契約では新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の区分が設けられており、平成23年12月31日以前に締結した旧契約では旧生命保険料と旧個人年金保険料の区分が適用されます。

保険期間が5年未満の生命保険などの中には、控除の対象とならないものもあります。また、個人年金保険料については、コード1141「生命保険料控除の対象となる保険契約等」を参照することとされています。

平成24年1月1日以後に締結した新契約の控除額はどう計算するか

平成24年1月1日以後に締結した新契約に基づく新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料の控除額は、年間の支払保険料等の金額に応じて計算式に当てはめて算出し、それぞれの控除額の上限は最高40,000円です。国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」(令和7年4月1日現在法令等)では、支払保険料等の区分に応じた計算式が定められています。

年間の支払保険料等控除額
20,000円以下支払保険料等の全額
20,000円超 40,000円以下支払保険料等×1/2+10,000円
40,000円超 80,000円以下支払保険料等×1/4+20,000円
80,000円超一律40,000円

支払保険料等とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいいます。年間の支払保険料等が20,000円以下である場合は支払った金額の全額が控除額となり、80,000円を超える場合は一律40,000円が控除額となります。

新契約については、主契約または特約の保障内容に応じ、その保険契約等に係る支払保険料等が各保険料控除に適用されます。異なる複数の保障内容が一の契約で締結されている保険契約等は、その保険契約等の主たる保障内容に応じて保険料控除を適用します。

その年に受けた剰余金や割戻金がある場合には、主契約と特約のそれぞれの支払保険料等の金額の比に応じて剰余金の分配等の金額を按分し、それぞれの保険料等の金額から差し引きます。新生命保険料、介護医療保険料、新個人年金保険料のそれぞれで計算した控除額を合算し、合計額が120,000円を超える場合には120,000円が控除額となります。

平成23年12月31日以前に締結した旧契約の控除額はどう計算するか

平成23年12月31日以前に締結した旧契約に基づく旧生命保険料と旧個人年金保険料の控除額は、年間の支払保険料等の金額に応じて計算式に当てはめて算出し、それぞれの控除額の上限は最高50,000円です。国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」(令和7年4月1日現在法令等)により、旧契約に対する計算式が規定されています。

年間の支払保険料等控除額
25,000円以下支払保険料等の全額
25,000円超 50,000円以下支払保険料等×1/2+12,500円
50,000円超 100,000円以下支払保険料等×1/4+25,000円
100,000円超一律50,000円

旧契約における支払保険料等とは、その年に支払った金額から、その年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額をいいます。年間の支払保険料等が25,000円以下である場合は支払保険料等の全額が控除額となり、100,000円を超える場合は一律50,000円が控除額となります。

旧契約に基づく「いわゆる第三分野とされる保険(医療保険や介護保険)の保険料」も、旧生命保険料となります。旧契約には介護医療保険料控除の区分が存在しないため、医療保険や介護保険の保険料は旧生命保険料控除の対象に含まれます。

旧生命保険料と旧個人年金保険料のそれぞれについて計算式を適用し、それぞれの控除額を算出します。旧契約のみに加入している場合、旧生命保険料の最高50,000円と旧個人年金保険料の最高50,000円を合算した金額が生命保険料控除額となります。

新契約と旧契約の双方に加入している場合の控除額はどう計算するか

新契約と旧契約の双方に加入している場合の控除額は、一般の生命保険料控除および個人年金保険料控除について、旧契約の年間支払保険料等の金額が60,000円を超えるか60,000円以下かによって計算方法を区分して算出します。国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」(令和7年4月1日現在法令等)において、新旧双方に加入している場合の計算方法が定められています。

区分旧契約の年間支払保険料等控除額の計算方法上限額
一般の生命保険料控除60,000円を超える場合旧契約の計算式で計算した金額最高50,000円
一般の生命保険料控除60,000円以下の場合新契約の計算式で計算した金額と旧契約の計算式で計算した金額の合計額最高40,000円
個人年金保険料控除60,000円を超える場合旧契約の計算式で計算した金額最高50,000円
個人年金保険料控除60,000円以下の場合新契約の計算式で計算した金額と旧契約の計算式で計算した金額の合計額最高40,000円

一般の生命保険料控除において、旧生命保険料控除の年間支払保険料等の金額が60,000円を超える場合は、旧契約に基づく場合の控除額の計算式で計算した金額(最高50,000円)が適用されます。旧生命保険料控除の年間支払保険料等の金額が60,000円以下の場合は、新生命保険料控除の年間支払保険料等の金額について新契約の計算式で計算した金額と、旧生命保険料控除の年間支払保険料等の金額について旧契約の計算式で計算した金額の合計額(最高40,000円)となります。

個人年金保険料控除においても同様に、旧個人年金保険料控除の年間支払保険料等の金額が60,000円を超える場合は旧契約の計算式で計算した金額(最高50,000円)となり、60,000円以下の場合は新契約の計算式で計算した金額と旧契約の計算式で計算した金額の合計額(最高40,000円)となります。

介護医療保険料控除については新契約のみの適用となるため、新契約の計算式で算出した金額(最高40,000円)がそのまま適用されます。一般の生命保険料控除、介護医療保険料控除、個人年金保険料控除の各控除額を合算し、合計額が120,000円を超える場合には生命保険料控除額は120,000円となります。

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主契約や特約に剰余金や割戻金がある場合はどう計算するか

保険契約においてその年に受けた剰余金や割戻金がある場合、支払保険料等の金額はその年に支払った金額から剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額として計算します。国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」(令和7年4月1日現在法令等)では、剰余金や割戻金の取扱規程が明記されています。

新契約については、主契約または特約の保障内容に応じ、その保険契約等に係る支払保険料等が各保険料控除に適用されます。異なる複数の保障内容が一の契約で締結されている保険契約等は、その保険契約等の主たる保障内容に応じて保険料控除を適用します。

その年に受けた剰余金や割戻金がある場合には、主契約と特約のそれぞれの支払保険料等の金額の比に応じて剰余金の分配等の金額を按分し、それぞれの保険料等の金額から差し引きます。按分計算によって主契約および特約の支払保険料等をそれぞれ算出したうえで、該当する控除区分の計算式に当てはめます。

剰余金や割戻金を差し引いた後の支払保険料等の金額を基に各控除額を計算し、最終的に算出した各控除額の合計額が生命保険料控除額となります。この合計額が120,000円を超える場合には、生命保険料控除額は120,000円となります。

生命保険料控除を受けるための申告手続きと提出書類は何が必要か

生命保険料控除を受けるためには、所轄税務署への確定申告または勤務先での年末調整において手続きを行います。国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」(令和7年4月1日現在法令等)によると、申告先等は所轄税務署または勤務先とされています。

確定申告で生命保険料控除を受ける場合には、確定申告書の生命保険料控除の欄に記入するほか、支払金額や控除を受けられることを証明する書類または電磁的記録印刷書面を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示します。電磁的記録印刷書面とは、電子証明書等に記録された情報の内容と、その内容が記録された二次元コードが付された出力書面をいいます。

証明書類の添付または提示について、平成23年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)等で年間保険料が9,000円以下のものと、年末調整の際に控除を受けたものは、その必要がありません。これらに該当する場合は添付や提示を省略することができます。

確定申告書の作成にあたっては、国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すると、画面の案内に沿って金額を入力することにより自宅等で確定申告書等の作成・提出ができます。必要な付表や明細書も、入力することで自動的に作成されます。個人事業主が青色申告を行う際にもこの作成コーナーを活用して申告書を作成できます。税額の目安を確認したい場合は所得税計算ツールを活用して試算を行うことも可能です。

よくある質問

妻名義の生命保険料控除証明書がある場合でも控除を受けられますか?

妻名義の生命保険料控除証明書であっても、納税者自身がその保険料を支払っている場合は生命保険料控除の対象となります。国税庁の関連する質疑応答事例「妻名義の生命保険料控除証明書に基づく生命保険料控除」や「Q1 妻が契約者の生命保険料」において、支払者の取扱いが示されています。

生命保険料控除の対象者は生命保険料、介護医療保険料または個人年金保険料を支払った方です。契約者が妻であっても、実際に納税者が保険料を負担して支払っている実態がある場合には、納税者の所得税の計算において控除を適用することができます。

保険期間が5年未満の生命保険は控除の対象になりますか?

保険期間が5年未満の生命保険などの中には、生命保険料控除の対象とならないものがあります。国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」(令和7年4月1日現在法令等)の概要において、保険期間が5年未満の生命保険などの中に控除対象外となるものがある旨が明記されています。

短期の保険契約については生命保険料控除の適用対象外となる場合があるため、控除を申告する前に手元の保険証券や保険会社から発行される控除証明書において控除対象の契約であるか確認する必要があります。

平成23年12月31日以前の旧契約で年間保険料が9,000円以下の場合も証明書の提出が必要ですか?

平成23年12月31日以前に締結した保険契約(旧契約)等で年間保険料が9,000円以下のものは、確定申告書への証明書類の添付または提示の必要がありません。国税庁の手続き規程において添付不要の特例として定められています。

また、勤務先の年末調整の際にすでに控除を受けた保険料についても、確定申告書提出時の添付や提示は不要とされています。

年の中途で生命保険契約を解約して解約一時金を受け取った場合の保険料はどうなりますか?

年の中途で生命保険契約を解約して解約一時金を受け取った場合であっても、解約時までにその年に支払った保険料は生命保険料控除の対象となります。国税庁の質疑応答事例「Q2 年の中途で生命保険契約を解約し解約一時金を受け取った場合の生命保険料」において取扱いが示されています。

その年に支払った金額からその年に受けた剰余金や割戻金を差し引いた残りの金額が支払保険料等となり、計算式に当てはめて控除額を算出します。

新契約と旧契約の一般生命保険料で旧契約の支払いが60,000円を超える場合の控除額はどうなりますか?

旧生命保険料控除の年間支払保険料等の金額が60,000円を超える場合は、旧契約に基づく場合の控除額の計算式で計算した金額(最高50,000円)が適用されます。国税庁のタックスアンサー「No.1140 生命保険料控除」(令和7年4月1日現在法令等)において定められている新旧双方加入時の計算ルールに基づきます。

旧契約の支払保険料等が60,000円を超える場合は新契約の支払額との合算は行わず、旧契約単独の計算式によって算出した金額(最高50,000円)が一般生命保険料控除の控除額となります。

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