相続税の基礎控除の計算式と申告要否の判定方法
相続が発生した遺族や生前の資産管理をしている人向け。相続税の基礎控除額の求め方と法定相続人の数え方を知りたい
ひと言でわかる
相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算され、遺産総額がこの控除額以下であれば相続税の申告および納税は不要である
相続が発生して遺産の引き継ぎに直面している人は、まず自身に相続税の申告や納税の義務が生じるのかを正確に判断する必要があります。相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算され、遺産総額がこの控除額以下であれば相続税の申告および納税は不要です。
相続税の計算においては、各人が取得した財産の課税価格を合計して「課税価格の合計額(正味の遺産額)」を算出し、そこから基礎控除額を差し引いて「課税遺産総額」を求めます。基礎控除額を算出する際の基準となる法定相続人の数には、民法上の規定に基づきつつも、相続放棄があった場合の扱いや養子の人数制限に関する税法独自の定めが存在します。
課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合は、課税遺産総額を法定相続分に応じてあん分し、速算表の税率を乗じて相続税の総額を算出した上で、各人の納付税額を計算する手続きに進みます。国税庁が公表している「令和7年4月1日現在法令等」のルールに基づき、基礎控除の算出式や法定相続人の数え方、課税遺産総額の計算手順を確認することが重要です。
正味の遺産額が基礎控除額を超えるか否かを正確に判定することは、申告手続の要否を決定づける基準となります。事前の計算と確認を適切に進めることが求められます。
相続税の基礎控除額は3,000万円に600万円×法定相続人の数を加算して算出する
相続税の基礎控除額は、正味の遺産額から差し引くことができる非課税枠であり、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の計算式によって求められます。被相続人から受け継いだ財産の課税価格の合計額がこの基礎控除額以下である場合、課税遺産総額は0となり、相続税の申告手続および納税は発生しません。
国税庁のタックスアンサー「No.4152 相続税の計算」によると、課税遺産総額の計算式は「課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数) = 課税遺産総額」として規定されています。この算式における法定相続人の数には、税法上の規定に従った人数を適用します。
基礎控除額の算出において基本となる要素は法定相続人の人数です。法定相続人の数が多いほど控除額は増加し、法定相続人の数が少ないほど控除額は減少する構造となっています。
基礎控除額の算出に用いる法定相続人の数を正確に把握することは、申告要否を判断する最初のステップとなります。実際の遺産額と基礎控除額を比較する際には、/tools/inheritance-tax/を活用して税額や控除額のシミュレーションを行うことも有効です。
法定相続人の数は相続放棄や養子の有無によって計算上の人数が定められている
相続税の基礎控除額を計算する際の法定相続人の数は、民法上の実際の相続人の数と一致するとは限らず、税法上の算定ルールが適用されます。国税庁「No.4152 相続税の計算」では、相続放棄をした人がいる場合や養子がいる場合の算定方法について明確な規定が設けられています。
まず、相続の放棄をした人がいる場合、法定相続人の数は「その放棄がなかったものとした場合の相続人の数」として計算します。相続人の一部が相続放棄を行った場合であっても、基礎控除額の計算において法定相続人の数が減少することはありません。
次に、法定相続人の中に養子がいる場合、法定相続人の数に含めることができる養子の数には制限が設けられています。被相続人に実子がいる場合は養子のうち1人まで、被相続人に実子がいない場合は養子のうち2人までを法定相続人の数に含めます。
| 区分 | 法定相続人の数への算入ルール | 該当する条件・上限 |
|---|---|---|
| 相続の放棄をした人がいる場合 | 相続の放棄がなかったものとした場合の相続人の数とする | 放棄の有無にかかわらず人数に含める |
| 被相続人に実子がいる場合の養子 | 養子のうち1人までを法定相続人の数に含める | 実子がいる場合は上限1人 |
| 被相続人に実子がいない場合の養子 | 養子のうち2人までを法定相続人の数に含める | 実子がいない場合は上限2人まで |
被相続人の実子の有無によって養子の算入上限が1人または2人に制限されるため、養子縁組を行っている場合は実子の有無を確認した上で法定相続人の数を確定させる必要があります。
このように、民法上の相続人の確定と、相続税法上の基礎控除計算における法定相続人の数の算出では適用される条件が異なる点に留意する必要があります。
正味の遺産額である課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いて課税遺産総額を計算する
相続税の計算の起点となる「課税価格の合計額(正味の遺産額)」は、相続や遺贈、相続時精算課税の適用を受ける財産(相続時精算課税適用財産)を取得した人ごとに課税価格を計算し、それらを合計して求めます。この合計額から基礎控除額を差し引いた金額が「課税遺産総額」となります。
各人の課税価格を計算するにあたり、小規模宅地等の特例等を適用した財産については、その特例を適用して減額した後の価額を基に計算します。特例適用後の評価額を合算して課税価格の合計額を算出し、そこから「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」を控除します。
計算式は「各人の課税価格の合計 = 課税価格の合計額(正味の遺産額)」および「課税価格の合計額 - 基礎控除額(3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数) = 課税遺産総額」となります。
計算の結果、課税価格の合計額から基礎控除額を差し引いた残額が正(プラス)となる場合にのみ、課税遺産総額が発生し、後続の税額計算ステップへと進みます。差し引いた結果が0以下となる場合は、課税遺産総額が存在しないため相続税は課税されません。
相続税の総額は課税遺産総額を法定相続分であん分して速算表の税率を乗じて算出する
相続税の総額は、各人が実際に取得した財産に直接税率を乗じるのではなく、課税遺産総額を各法定相続人が民法に定める法定相続分に従って取得したものと仮定して計算します。各法定相続人ごとの法定相続分に応ずる取得金額(千円未満切捨て)を算出し、国税庁の「相続税の速算表」を適用して算出税額を求めます。
計算の手順は「課税遺産総額 × 各法定相続人の法定相続分 = 各法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額(千円未満切捨て)」および「各法定相続人の法定相続分に応ずる取得金額 × 税率 = 算出税額」となります。そして「各法定相続人ごとの算出税額の合計 = 相続税の総額」として総額を確定させます。
国税庁のタックスアンサー「No.4155 相続税の税率(令和7年4月1日現在法令等)」に掲載されている相続税の速算表は次のとおりです。
| 法定相続分に応ずる取得金額 | 税率 | 控除額 |
|---|---|---|
| 1,000万円以下 | 10% | - |
| 1,000万円超から3,000万円以下 | 15% | 50万円 |
| 3,000万円超から5,000万円以下 | 20% | 200万円 |
| 5,000万円超から1億円以下 | 30% | 700万円 |
| 1億円超から2億円以下 | 40% | 1,700万円 |
| 2億円超から3億円以下 | 45% | 2,700万円 |
| 3億円超から6億円以下 | 50% | 4,200万円 |
| 6億円超 | 55% | 7,200万円 |
国税庁が示す具体例に基づくと、法定相続人が妻と子2人である場合、法定相続分は妻2分の1、子4分の1、子4分の1となります。課税遺産総額が1億5,200万円である場合、法定相続分に応ずる取得金額は、妻が7,600万円、子が3,800万円ずつとなります。
これらの法定相続分に応ずる取得金額を速算表に当てはめると、妻の算出税額は「7,600万円×30%-700万円=1,580万円」、子(1人目)の算出税額は「3,800万円×20%-200万円=560万円」、子(2人目)の算出税額は「3,800万円×20%-200万円=560万円」となります。
算出された税額を合計すると「1,580万円+560万円+560万円=2,700万円」となり、相続税の総額は2,700万円として計算されます。
各人の納付税額は実際の課税価格であん分した後に税額控除や20パーセント加算を適用して決定する
算出された相続税の総額は、財産を取得した各人の課税価格に応じて割り振り、財産を取得した各人ごとの税額を計算します。計算式は「相続税の総額 × 各人の課税価格 ÷ 課税価格の合計額 = 各相続人等の税額」となります。
各人の納付税額は、割り振られた税額から各種の税額控除額を差し引いた残りの額となります。ただし、財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合、税額控除を差し引く前の相続税額にその20パーセント相当額を加算した後、税額控除額を差し引きます。
加算の適用関係において、子供が被相続人の死亡以前に死亡しているときの孫(その子供の子)については、相続税額にその20パーセント相当額を加算する必要はありません。一方で、子供が被相続人の死亡以前に死亡していない場合の被相続人の養子である孫については、20パーセント相当額を加算する必要があります。
税額控除には、配偶者の税額の軽減、未成年者の税額控除、障害者の税額控除、相次相続控除、医療法人の持分についての相続税の税額控除の特例などがあり、これらを順次控除した残額が各人の最終的な納付税額となります。なお、相続時精算課税分の贈与税相当額を控除した結果、赤字の場合または「0」のときには、医療法人持分税額控除額は「0」となります。
PR
振込手数料を0円にする方法があります
銀行振込しかできない支払いもカードでOK。ポイントも貯まって、支払いを最大60日先延ばしできます。
ポイント還元あり / 支払い最大60日延長 / 年会費無料
生前贈与財産は加算対象期間や相続時精算課税の規定に従って課税価格に算入する
相続税の課税価格を計算する際には、被相続人から生前に取得した贈与財産の取り扱いを確認する必要があります。暦年課税に係る贈与財産については、被相続人の相続開始日が令和8年12月31日以前の場合、加算対象期間は相続開始前3年以内となります。
相続や遺贈で財産を取得した相続人等が、加算対象期間内(被相続人の相続開始日が令和8年12月31日以前の場合は相続開始前3年以内)にその被相続人から暦年課税に係る贈与によって取得した財産の価額は、相続税の課税価格に算入されます。贈与税の取り扱いに関しては、/tools/gift-tax/を参照して制度の概要を確認することも重要です。
相続時精算課税適用財産については、贈与時の価額を相続税の課税価格に算入します。令和6年1月1日以後の贈与により取得した相続時精算課税適用財産については、贈与を受けた年分ごとに、相続時精算課税適用財産の贈与時の価額の合計額から相続時精算課税に係る基礎控除額を控除した残額を相続税の課税価格に算入します。
相続や遺贈で財産を取得しなかった相続時精算課税を選択した受贈者については、相続時精算課税適用財産を相続等により取得したものとみなされます。これらの規定に基づいて課税価格を正確に計算する必要があります。
国税庁の相続税の申告要否判定コーナーを利用しておおよその要否を確認できる
国税庁はウェブサイト上で「相続税の申告要否判定コーナー」を提供しており、相続財産の金額などを入力することにより、相続税の申告のおおよその要否を判定することができます。動画配信である「Web-TAX-TV」においても「『相続税の申告要否判定コーナー』を利用した申告要否の確認」が提供されています。
遺産総額が基礎控除額を超えることが判明した場合は、[手続名]相続税の申告手続に従って期限内に申告書を提出し、税額を納付する必要があります。所得税の確定申告手続などについては/guides/tax-return/で確認できますが、相続税は相続税法に基づく独立した手続きとして進める必要があります。
相続財産の中に土地や家屋などの不動産が含まれる場合、評価額の算定が課税価格の計算に影響します。固定資産に関連する事項については/tools/property-tax/などを確認しつつ、適切に評価額を把握して課税価格の合計額を算出することが求められます。
申告書の作成や納税手続に関して不明点がある場合、国税局電話相談センター等の「税についての相談窓口」において電話相談を利用することも可能です。
よくある質問
相続の放棄をした人がいる場合、法定相続人の数はどのように計算しますか?
相続の放棄をした人がいる場合でも、基礎控除額の計算においてはその放棄がなかったものとした場合の相続人の数として計算します。民法上で相続を放棄した人が存在しても、税法上の基礎控除額の計算に用いる法定相続人の数は減少しません。
放棄がなかったものとみなして人数を数えるため、相続放棄者がいる場合でも「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」の算式における法定相続人の数にはその放棄者を含めて基礎控除額を算出します。
養子がいる場合、法定相続人の数には何人まで含めることができますか?
法定相続人の数に含めることができる養子の数は、被相続人に実子がいる場合は1人まで、被相続人に実子がいない場合は2人までとなります。この制限を超える養子がいる場合、超過する養子は基礎控除額を計算する際の法定相続人の数には含めません。
実子の有無によって算入可能な養子の人数上限が1人または2人に分かれるため、被相続人の親族関係を正しく確認した上で計算に用いる人数を決定します。
正味の遺産額が基礎控除額以下であれば相続税の申告は不要ですか?
課税価格の合計額(正味の遺産額)から基礎控除額を差し引いた課税遺産総額が0以下となる場合、相続税の申告および納税は不要です。正味の遺産額が基礎控除額を超えない限り、税務署への申告手続を行う義務は生じません。
ただし、小規模宅地等の特例等を適用した財産については、その特例を適用して減額した後の価額を基に計算するため、特例の適用関係および所定の手続きの有無を確認する必要があります。
相続税額に20パーセント相当額が加算されるのはどのような人ですか?
財産を取得した人が被相続人の配偶者、父母、子供以外の者である場合、税額控除を差し引く前の相続税額にその20パーセント相当額が加算されます。配偶者、父母、子供に該当しない親族や第三者が遺産を取得した際にこの加算が行われます。
なお、子供が被相続人の死亡以前に死亡しているときの孫(その子供の子)については加算する必要はありませんが、子供が被相続人の死亡以前に死亡していない場合の被相続人の養子である孫については20パーセント相当額を加算する必要があります。
生前に被相続人から贈与された財産は相続税の課税価格に加算されますか?
被相続人の相続開始日が令和8年12月31日以前の場合、相続や遺贈で財産を取得した相続人等が相続開始前3年以内に暦年課税に係る贈与によって取得した財産の価額は相続税の課税価格に加算されます。加算対象期間内の贈与財産は正味の遺産額に合算されます。
また、相続時精算課税適用財産については贈与時の価額が算入されますが、令和6年1月1日以後の贈与により取得したものについては、年分ごとに贈与時の価額の合計額から基礎控除額を控除した残額が課税価格に算入されます。
相続税の計算手順と基礎控除のまとめ
相続税の申告要否は、「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」による基礎控除額の計算と、課税価格の合計額(正味の遺産額)との比較によって判定します。課税価格の合計額が基礎控除額以下であれば申告および納税は不要となり、基礎控除額を超える場合にのみ課税遺産総額に対する税額計算が必要となります。
法定相続人の数の算定においては、相続放棄をした人がいる場合は放棄がなかったものとした場合の相続人の数を用い、養子がいる場合は実子がいるときは1人まで、実子がいないときは2人までを上限として含めるルールが適用されます。
課税遺産総額が生じる場合は、民法に定める法定相続分に従ってあん分した取得金額に速算表の税率を乗じて相続税の総額を算出し、実際の取得割合に応じて各人の税額を割り振った上で、税額控除や20パーセント加算を適用して最終的な納付税額を決定します。
国税庁の「令和7年4月1日現在法令等」に基づく規定を把握し、生前贈与財産の加算期間や適用可能な特例を確認した上で、正確な申告要否の判定を行うことが重要です。
PR
確定申告の書類、来年もまた一から作り直しますか?
毎年おなじ集計と転記をやり直しているなら、個人事業主向けのクラウド申告ソフトに切り替える方法があります。やよいの青色申告 オンラインは、どのプランを選んでも確定申告に必要な機能をひととおり使えます。初年度にかかる費用と、自分が申告作業に使っている時間を並べて比べてみてください。
個人事業主向け / 初年度0円はセルフ・ベーシックプランを2027年3月15日までに申し込んだ場合 / どのプランでも全機能が使えます