小規模企業共済の貸付制度とは?一般貸付・特別貸付の条件と返済

個人事業主・小規模法人の役員

著者: アキスケ

ひと言でわかる

小規模企業共済の契約者貸付は、納付した掛金から算定した貸付限度額の範囲内で事業資金などを借り入れる制度です。一般貸付と特別貸付で利用条件や利率が異なるため、返済期日と窓口を確認して利用します。

小規模企業共済に加入している個人事業主や小規模法人の役員は、納付した掛金の範囲内で事業資金などの貸付けを受けられる制度を利用できます。小規模企業共済の契約者貸付は、納付した掛金から算定した貸付限度額の範囲内で事業資金などを借り入れる制度であり、一般貸付と特別貸付で利用条件や利率が異なるため、返済期日と窓口を確認して利用します。

独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する小規模企業共済は、経営者の退職金として節税しながら老後の生活資金などを積み立てる制度です。共済契約者は積立てを行うだけでなく、事業資金が必要となった場合に共済契約者貸付制度を通じて資金を借り入れることができます。

契約者貸付には、簡易迅速に事業資金などの貸付けが受けられる一般貸付と、特別な事情がある場合に貸付けが受けられる特別貸付の2種類が用意されています。制度ごとの利率や返済方法、手続きを行う窓口の違いを正しく把握することが円滑な資金調達につながります。

小規模企業共済の契約者貸付とは納付した掛金の範囲内で事業資金を借り入れる制度である

小規模企業共済の契約者貸付とは、共済契約者が納付した掛金から算定した貸付限度額の範囲内で事業資金などの貸付けを受けられる制度です。事業資金を調達したい共済契約者は、積み立てた掛金を活用して借入れを行うことができます。

共済契約者貸付の制度区分には、簡易迅速に貸付けが受けられる「一般貸付」と、特別な事情がある場合に貸付けが受けられる「特別貸付」の2種類があります。いずれの貸付制度を利用する場合であっても、納付した掛金から算定した貸付限度額の範囲内での借入れとなります。

共済制度の基本情報や加入要件については小規模企業共済の解説記事でも確認できますが、契約者貸付はすでに共済契約を結んで掛金を納付している契約者向けの制度として設計されています。

事業の資金繰りを安定させるためには、一般貸付と特別貸付のそれぞれの特徴、借入期間、返済期日、借入窓口の規定を事前に確認しておく必要があります。

契約者貸付の利率は一般貸付が年1.5パーセントで特別貸付が年0.9パーセントである

小規模企業共済の契約者貸付における利率は、一般貸付が年利1.5%、特別貸付が年利0.9%に設定されています。契約者貸付の利率は金利情勢等を踏まえて設定されます。

特別貸付に分類される6種類の貸付けは、すべて年利0.9%の利率が適用されます。一般貸付の年利1.5%と比較して、特別な事情がある場合の特別貸付は低い利率で資金を借り入れることができます。

貸付けの種類利率(年利)
一般貸付け1.5%
傷病災害時貸付け0.9%
創業転業時・新規事業展開等貸付け0.9%
福祉対応貸付け0.9%
緊急経営安定貸付け0.9%
事業承継貸付け0.9%
廃業準備貸付け0.9%

契約者貸付を利用する際の重要な注意事項として、借入金の返済が滞ると年利14.6%の延滞利子が発生します。期日通りの返済が行われない場合は高い利率の延滞利子が課されるため、返済期日の管理を徹底する必要があります。

事業資金の調達を検討する際は、適用される利率だけでなく返済が滞った場合の延滞利子についても確認しておくことが大切です。

特別貸付にはどのような種類と要件があるのか

特別貸付とは、特別な事情がある場合に限り利用が認められる小規模企業共済の貸付け制度です。特別貸付には事業環境の変化や契約者の状況に応じた6種類の手続きが設けられています。

特別貸付として定められている制度は以下の6種類です。

  • 傷病災害時貸付け:傷病や災害に見舞われた特別な事情がある場合に利用できる貸付けです。
  • 創業転業時・新規事業展開等貸付け:創業や転業、新規事業の展開などを行う場合に利用できる貸付けです。
  • 福祉対応貸付け:福祉に関する対応が必要となった場合に利用できる貸付けです。
  • 緊急経営安定貸付け:経営の安定を緊急に図る必要がある特別な事情がある場合に利用できる貸付けです。
  • 事業承継貸付け:事業の承継に関する資金が必要となった場合に利用できる貸付けです。
  • 廃業準備貸付け:将来の廃業に向けた準備を行う場合に利用できる貸付けです。

特別貸付の利率は一律で年利0.9%となっており、一般貸付の年利1.5%よりも低い利率で設定されています。特別貸付を利用する場合は、該当する制度ごとの利用要件を満たしているか確認が必要です。

個人事業主や小規模企業が利用できる資金支援の選択肢についてはフリーランス向け資金調達でも取り上げられていますが、小規模企業共済に加入している場合は共済制度内の特別貸付を活用できます。

特別貸付の利用にあたっては、自社の状況がいずれの貸付け要件に合致するかを事前に把握し、指定された借入窓口で手続きを進めます。

借入期間に応じて一括返済または6か月ごとの元金均等割賦償還で返済する

小規模企業共済の一般貸付における返済方法は、選択した借入期間に応じて期限一括償還または6か月ごとの元金均等割賦償還のいずれかになります。借入期間が短期の場合は一括で返済し、長期の場合は分割して返済します。

借入期間が6か月または12か月の場合は、返済期日到来までに全額を一括で返済する「期限一括償還」となります。借入期間が24か月、36か月、または60か月の場合は、6か月ごとに分割して返済する「6か月毎の元金均等割賦償還」となります。

借入期間返済方法(償還方法)返済期日の通知書類
6か月期限一括償還(返済期日までに一括返済)金銭消費貸借契約証書㊢(借主控)
12か月期限一括償還(返済期日までに一括返済)金銭消費貸借契約証書㊢(借主控)
24か月6か月毎の元金均等割賦償還(6か月ごとに分割返済)ご返済予定表、金銭消費貸借契約証書㊢(借主控)
36か月6か月毎の元金均等割賦償還(6か月ごとに分割返済)ご返済予定表、金銭消費貸借契約証書㊢(借主控)
60か月6か月毎の元金均等割賦償還(6か月ごとに分割返済)ご返済予定表、金銭消費貸借契約証書㊢(借主控)

返済期日は、貸付時にお渡しする『金銭消費貸借契約証書㊢(借主控)』に記載されています。割賦償還を選択した場合は、貸付後に送付される『ご返済予定表』にも返済期日が記載されます。

共済契約者はこれらの書類に記載された返済期日までに返済手続きを行う必要があります。返済期日までに返済が行われず滞った場合には、年利14.6%の延滞利子が発生します。

借入期間が6か月または12か月の場合は3種類の借換手続きを選択できる

借入期間が6か月または12か月の一般貸付を利用している共済契約者は、返済期日において同額借換・減額借換・増額借換の3種類の手続きを選択できます。一括返済を行う代わりに借入れを継続したい場合に利用されます。

借入期間が6か月または12か月の返済方法は返済期日までに一括返済する期限一括償還ですが、資金状況に応じて以下の借換手続きを行うことができます。

  • 同額借換:返済期日を繰り延べして、同じ金額の借入れを継続したい場合に行う手続きです。
  • 減額借換:借入金の一部のみを返済し、残りの金額について借入れを継続したい場合に行う手続きです。
  • 増額借換:借入額を増やして借入れを継続(借増し)したい場合に行う手続きです。

期限一括償還の返済期日が近づいた段階で手元資金を一括返済に充てることが難しい場合や、引き続き事業資金を確保したい場合には、同額借換や減額借換、増額借換の適応を検討します。

毎月の資金繰りや借入金の管理状況を確認する際は、ローン計算ツールなどを活用して返済計画を立てることも有効です。ただし、借換を行う場合であっても返済期日までに所定の手続きを完了させなければ、年利14.6%の延滞利子が発生する対象となります。

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一般貸付と特別貸付で手続きを行う借入窓口が異なる

小規模企業共済の契約者貸付における借入窓口は、一般貸付と特別貸付でそれぞれ異なり、一般貸付の中でも登録状況によって窓口が分かれます。手続きを行う前に自身の借入窓口がどこであるかを確認する必要があります。

一般貸付の借入窓口は、借入窓口の登録有無によって以下の通り定められています。

  • 借入窓口を登録している方:登録した代理店の窓口で手続きを行います。登録されている借入窓口は、共済契約者にお送りしている最新の『掛金納付状況及び貸付限度額等のお知らせ』の「貸付が受けられる金融機関」欄で確認できます。新たに借入窓口を登録する場合や登録窓口の変更を希望する場合は「一般貸付の借入窓口登録・変更手続きの流れ」を確認して手続きを行います。
  • 借入窓口の登録をしていない方:商工組合中央金庫の本店または支店が借入窓口となります。

特別な事情がある場合に限り認められる特別貸付(緊急経営安定貸付け、傷病災害時貸付け、福祉対応貸付け、創業転業時・新規事業展開等貸付け、事業承継貸付け、廃業準備貸付け)の借入窓口は、すべて商工組合中央金庫の本店または支店となります。

なお、中小機構が業務を委託している機関には「委託団体」と金融機関の「代理店」があります。

  • 委託団体:商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、事業協同組合、青色申告会、損害保険ジャパン株式会社、アクサ生命保険株式会社
  • 代理店(金融機関):都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、商工組合中央金庫、信用金庫、信用組合、農業協同組合(35都道府県)、その他の金融機関(ゆうちょ、インターネット専業銀行等)

事業の税務申告などで青色申告会などの委託団体を利用している場合でも、契約者貸付の借入れ手続きを行う窓口は代理店や商工組合中央金庫となります。一部の店舗では小規模企業共済の業務を取り扱っていない場合があるため、あらかじめ当該金融機関への確認が必要です。

オンライン手続きポータルや案内機能を利用できる条件は何か

小規模企業共済では、マイナンバーカードを所有している契約者向けにオンライン手続きポータルが提供されており、一部の手続きをオンライン上で行うことができます。ただし、利用者のご状況によってはオンライン手続きを利用できない場合があります。

共済サポートnaviなどのウェブサイト上では、簡単なご質問(3問程度)に回答することで適切な手続き詳細ページを案内する機能が提供されています。どの貸付制度や手続きに該当するか不明な場合は、この質問案内機能を活用して該当ページを確認できます。

掛金額の変更や届出事項の変更などの各種手続きを窓口で行う場合は、委託団体または金融機関の本支店(代理店)の窓口で手続きを行います。共済制度オンラインの活用と窓口手続きの特徴を理解し、自身の状況に応じた方法を選択します。

積立掛金の管理や節税効果の確認については小規模企業共済の掛金シミュレーションなどを通じて把握しつつ、資金需要が発生した際には適切な手続き窓口から契約者貸付を申し込みます。

よくある質問

契約者貸付の利率は何パーセントですか?

契約者貸付の利率は、一般貸付けが年1.5%、特別貸付けが年0.9%です。特別貸付けに該当する傷病災害時貸付け、創業転業時・新規事業展開等貸付け、福祉対応貸付け、緊急経営安定貸付け、事業承継貸付け、廃業準備貸付けの6種類はいずれも年0.9%となります。

これらの利率は金利情勢等を踏まえて設定されます。

返済が遅れた場合は延滞利子が発生しますか?

借入金の返済が滞った場合は、年利14.6%の延滞利子が発生します。返済期日までに返済が行われない場合に適用されるため注意が必要です。

返済期日は貸付時に交付される『金銭消費貸借契約証書㊢(借主控)』や、割賦償還の場合に送付される『ご返済予定表』に記載されています。

特別貸付の借入れはどこの窓口で行えますか?

特別貸付の借入窓口は、商工組合中央金庫の本店または支店です。一般貸付で代理店を登録している場合であっても、特別貸付の手続き窓口は商工組合中央金庫となります。

緊急経営安定貸付けや傷病災害時貸付けなどの特別貸付けを利用する際は、商工組合中央金庫の窓口で手続きを行います。

期限一括償還の期日に返済を継続したい場合はどうすればよいですか?

借入期間が6か月または12か月の場合は、返済期日に同額借換・減額借換・増額借換のいずれかの手続きを行うことで借入れを継続できます。同じ金額で継続する場合は同額借換、一部を返済して残りを継続する場合は減額借換、借入額を増やす場合は増額借換を選択します。

返済期日を繰り延べて借入れを継続したい場合は、返済期日までに所定の借換手続きを完了させる必要があります。

一般貸付の借入窓口はどのように確認すればよいですか?

一般貸付の登録窓口は、共済契約者に送付される最新の『掛金納付状況及び貸付限度額等のお知らせ』にある「貸付が受けられる金融機関」欄で確認できます。窓口を登録している方はその登録代理店が窓口となり、登録していない方の窓口は商工組合中央金庫の本店または支店となります。

新たに借入窓口を登録したい場合や登録窓口の変更を希望する場合は、「一般貸付の借入窓口登録・変更手続きの流れ」を確認して手続きを進めます。

共済契約者貸付を利用する際は返済期日と借入窓口を事前に確認する

小規模企業共済の契約者貸付を利用する際は、納付した掛金から算定した貸付限度額の範囲内であることを前提に、一般貸付と特別貸付の利用条件や利率、返済期日、借入窓口を正しく確認することが重要です。

一般貸付の利率は年1.5%であり、借入期間に応じて6か月・12か月の期限一括償還、または24か月・36か月・60か月の6か月毎の元金均等割賦償還で返済します。借入期間が6か月または12か月の場合は、同額借換・減額借換・増額借換による継続手続きも可能です。

特別貸付の利率は年0.9%であり、商工組合中央金庫の本店または支店が窓口となります。借入金の返済が滞ると年利14.6%の延滞利子が発生するため、交付書類に記載された返済期日を守って計画的に利用することが求められます。

年間の事業所得や共済掛金控除の申告手続きについては確定申告の手続きなどを確認しながら、事業の資金計画に合わせて契約者貸付制度を適切に活用します。