退職した年の確定申告と税金の還付手続き

年の途中で退職し年末調整を受けていない人向け。退職した年に確定申告が必要か・税金が戻るかを知りたい

著者: アキスケ

ひと言でわかる

年の途中で退職して再就職していない場合は確定申告を行うことで、給与から源泉徴収された所得税の還付を受けられる可能性が高い

年の途中で勤務先を退職し、その後に再就職していないため年末調整を受けていない状況では、本来納めるべき税額よりも多くの所得税が差し引かれたままになっている場合があります。年の途中で退職して再就職していない場合は確定申告を行うことで、給与から源泉徴収された所得税の還付を受けられる可能性が高いです。

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得の金額とそれに対する所得税等の額を計算して確定させる手続です。給与の支払時に源泉徴収された税金や予定納税額などがある場合には、この確定申告を行うことによってその過不足を精算します。

給与所得者の多くは勤務先が行う年末調整によって所得税額が確定し納税も完了するため確定申告の必要はありません。しかし、年の途中で退職して年末調整を受けなかった場合は、源泉徴収された税額の過不足が精算されない状態のまま残るため、確定申告書を提出して正しい税額を確定させることが必要となります。

国税庁の令和7年4月1日現在法令等によると、確定申告をすれば税金が還付される人は確定申告の義務付けから除かれていますが、納め過ぎた税金の還付を受ける権利を行使するためには確定申告書を所轄税務署に提出する必要があります。

退職した年に年末調整を受けないと税金はどうなるのか

年の途中で退職して年末調整を受けない場合、1年間を通じた正確な所得税額の計算が行われず、毎月の給与から差し引かれた源泉徴収税額との過不足が精算されないままになります。給与支払時に行われる源泉徴収は年間を通じた概算に基づいて計算されているため、年の途中で退職すると本来納めるべき年税額よりも多めの税金が納められた状態になりやすい仕組みになっています。

所得税の計算は毎年1月1日から12月31日までの1年間を対象期間として行われます。勤務先で年末調整を受ける人は、12月の給与支払時に1年間の給与総額と所得控除の合計額を照合して過不足を精算しますが、年の途中で退職した人はこの年末調整の対象から外れます。

年末調整を受けなかった場合でも、その年分の所得金額の合計額から各種の所得控除を差し引き、配当控除額や住宅借入金等特別控除額などを反映した正確な税額を確定申告によって計算することができます。その結果、源泉徴収税額が実際の税額を上回っている場合は、差額の還付を受けることができます。

このように、退職した年に生じた税金の過不足を正しく解消し、納め過ぎた所得税を取り戻すためには、個人で確定申告書を作成して所轄税務署へ提出する手続が重要になります。

確定申告が必要になる人と不要な人の判断基準

給与所得者であっても、給与の年間収入金額や副収入の状況によって確定申告をしなければならない人と申告が不要な人に分かれます。令和7年4月1日現在法令等において、確定申告の義務がある人と申告が不要となる人の条件が明確に定められています。

給与所得者で確定申告をしなければならない主な条件は以下の通りです。

  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人
  • 給与を1か所から受けていて、かつ、その給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円を超える人
  • 給与を2か所以上から受けていて、かつ、給与の全部が源泉徴収の対象となる場合において、年末調整されなかった給与の収入金額と各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)との合計額が20万円を超える人
  • 同族会社の役員などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている人
  • 災害減免法により源泉徴収の猶予などを受けている人
  • 源泉徴収義務のない者から給与等の支払を受けている人
  • 退職所得について正規の方法で税額を計算した場合に、その税額が源泉徴収された金額よりも多くなる人

一方で、給与の収入金額が2,000万円以下、かつ、給与を1か所から受けていて、その給与の全部について源泉徴収される人で給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下である人などは確定申告をする必要がありません。また、給与を2か所以上から受けている場合でも、給与の収入金額の合計額から所得控除の合計額(雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除を除く)を差し引いた金額が150万円以下で、さらに各種の所得金額(給与所得、退職所得を除く)の合計額が20万円以下の人は申告が不要とされています。

国内において公的年金等の支払を受けている人については、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、その全部が源泉徴収の対象となっていて、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告をする必要がありません。

対象者の区分 判定基準となる条件(令和7年4月1日現在法令等) 確定申告の義務
高額給与所得者 給与の年間収入金額が2,000万円を超える場合 申告が必要
1か所給与で副収入がある人 給与を1か所から受けており、給与所得・退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超える場合 申告が必要
2か所以上から給与がある人 年末調整されなかった給与収入と給与所得・退職所得以外の各種所得金額の合計額が20万円を超える場合(所定の除外要件を満たす場合を除く) 申告が必要
一般的な給与所得者(副収入少額) 給与収入が2,000万円以下、1か所から受給、給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円以下の場合 申告不要(還付申告は可能)
公的年金等の受給者 年金収入が400万円以下(全部源泉徴収対象)で、雑所得以外の所得金額が20万円以下の場合 申告不要

年の途中で退職した人が確定申告で税金の還付を受ける仕組み

年の途中で退職した人が確定申告を行うことで税金の還付を受けられる理由は、退職前の給与から差し引かれていた源泉徴収税額が1年間の実質的な所得税額よりも多くなっているケースが多いためです。在職中の毎月の給与計算では、1年間同じ給与額が継続して支払われる前提で税率が適用され源泉徴収が行われています。

しかし、年の途中で退職して再就職しない場合、1月1日から12月31日までの1年間に得た給与の総額は想定よりも少なくなります。所得税は年間の総所得金額に応じて税額が決定されるため、年間の所得が低くなれば最終的に納めるべき税額も低くなります。

また、確定申告を行う際には基礎控除や社会保険料控除などの各種所得控除を年間の所得から差し引くことができます。さらに、その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合において、配当控除額や年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額、控除しきれなかった外国税額控除の額がある場合などにも正確な税額計算が行われます。

その結果、すでに源泉徴収された税額の合計が本来負担すべき年税額を上回っていることが確定し、その上回る金額が還付金として納税者に戻る仕組みになっています。

PR

確定申告の書類、来年もまた一から作り直しますか?

毎年おなじ集計と転記をやり直しているなら、個人事業主向けのクラウド申告ソフトに切り替える方法があります。やよいの青色申告 オンラインは、どのプランを選んでも確定申告に必要な機能をひととおり使えます。初年度にかかる費用と、自分が申告作業に使っている時間を並べて比べてみてください。

個人事業主向け / 初年度0円はセルフ・ベーシックプランを2027年3月15日までに申し込んだ場合 / どのプランでも全機能が使えます

退職後の確定申告における申告期間と提出期限

所得税の確定申告を行う期間は、原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までであり、申告期限は原則としてその年の翌年3月15日です。1月1日から12月31日までの1年間に生じた所得と所得税等の額を計算し、期限までに確定申告書を所轄税務署に提出します。

申告期限までに所轄税務署へ確定申告書を提出することによって、1年間の所得金額と納付すべき税額が確定し、過不足の精算が行われます。なお、控除しきれなかった外国税額控除の額や源泉徴収税額、予定納税の額がある場合の確定申告書の提出に関する取扱いについては、確定申告書の提出期限が令和4年1月1日以後となる確定申告書について所定の規定が適用されます。

税務手続に関して不明な点や相談事項がある場合は、国税局電話相談センターなどの電話相談窓口を利用して確認することができます。

期間内に正確な申告書を作成し提出することで、退職した年の税額を過不足なく確定させることが可能です。

確定申告書の作成方法と税務署への提出書類

確定申告書等の作成および提出は、所轄税務署への書面提出のほか、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用して自宅等で行うことができます。画面の案内に沿って金額等を入力することにより、必要な書類を自動で作成して提出手続を進められます。

確定申告書等作成コーナーを利用すると、画面上で数値を入力するだけで必要な付表や明細書が自動的に作成されます。所轄税務署に出向くことなく自宅等で確定申告書等の作成・提出が完了できる仕組みとなっています。

申告にあたっては、通常の確定申告書に加えて特定の所得や損失の状況に応じた専用の様式を併せて使用します。土地や建物の譲渡所得や株式等の譲渡所得がある場合などには「申告書第三表(分離課税用)」を使用します。また、その年の所得金額の計算上生じた損失の金額をその年の翌年以後に繰り越す場合などには「申告書第四表(損失申告用)」を申告書と併せて使用します。

確定申告書の添付書類等については、「所得税及び復興特別所得税の手引き」に「申告書に添付・提示する書類」が掲載されているため、事前に内容を参照して準備を整える必要があります。

書類・様式等の名称 主な対象者および用途 作成・提出に関する特徴
確定申告書等 1年間の所得金額および所得税等の額を計算・確定させる基本様式 所轄税務署へ提出。確定申告書等作成コーナーでの作成が可能
申告書第三表(分離課税用) 土地や建物の譲渡所得、株式等の譲渡所得がある場合 確定申告書と併せて所轄税務署に提出して使用する様式
申告書第四表(損失申告用) その年の所得計算上で生じた損失額を翌年以後に繰り越す場合 確定申告書と併せて所轄税務署に提出して使用する様式
確定申告書等作成コーナー 自宅等で画面案内に沿って金額等を入力して申告書を作成するツール 必要な付表や明細書が入力により自動的に作成される
所得税及び復興特別所得税の手引き 申告書に添付・提示する書類の確認資料 国税庁が提供する添付書類等の手引きを参照して確認

給与所得以外の所得がある場合の申告基準

退職した年に給与所得以外の所得を得ていた場合、その所得の種類や金額に応じて確定申告の要否が分かれます。給与を1か所から受けていて給与の全部が源泉徴収の対象となる場合、給与所得および退職所得以外の各種所得金額の合計額が20万円を超えるときは確定申告を行わなければなりません。

ただし、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額を計算する際には、合計金額に含まれない所得が法令で定められています。以下の所得は申告要否判定の所得金額合計に含まれません。

  1. 上場株式等の配当等や非上場株式の少額配当等で確定申告をしないことを選択したもの
  2. 特定口座の源泉徴収選択口座内の上場株式等の譲渡による所得で確定申告をしないことを選択したもの
  3. 特定公社債の利子で確定申告をしないことを選択したもの
  4. 源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子等
  5. 源泉分離課税とされる抵当証券などの金融類似商品の収益
  6. 源泉分離課税とされる一時払養老保険の差益(保険期間等が5年以下のものおよび保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもの)

これらの所得を除外したうえで、給与所得および退職所得以外の所得金額の合計額が20万円を超えるかどうかを正しく判定することが必要です。また、公的年金等の支払を受けている人については、年金収入が400万円以下で全部が源泉徴収対象であり、年金の雑所得以外の所得金額が20万円以下であれば確定申告は不要とされています。

自身の所得区分や金額を一つひとつ照合し、確定申告の義務があるかどうかを確認することが重要です。

よくある質問

年の途中で退職して再就職していない場合は確定申告が必要ですか?

給与の収入金額が2,000万円以下で給与を1か所から受けており、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下である場合は確定申告の義務はありませんが、納め過ぎた税金の還付を受けるためには確定申告を行う必要があります。

年末調整を受けなかった給与所得者は、毎月の給与から差し引かれた源泉徴収税額が1年間の確定税額を上回っている場合が多いため、確定申告書を所轄税務署に提出することで所得税の還付を受けられる可能性が高いです。

確定申告はいつからいつまでにどこへ提出すればよいですか?

所得税の確定申告の期間は原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までであり、所轄税務署に対して申告期限である3月15日までに申告書を提出します。

申告書の作成や提出手続に関して確認したい点がある場合は、国税局電話相談センターなどの相談窓口で電話相談を利用することができます。

確定申告書は自宅で作成して提出できますか?

国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用することで、自宅等で画面の案内に沿って金額等を入力し、確定申告書等を作成・提出することができます。

必要な付表や明細書も画面への入力によって自動的に作成されるため、税務署の窓口に行かずに手続を進めることが可能です。

給与所得以外の所得が20万円以下の場合は確定申告をしなくてもよいですか?

給与の年間収入金額が2,000万円以下で給与を1か所から受けており給与の全部が源泉徴収されている人において、給与所得および退職所得以外の各種所得金額の合計額が20万円以下である場合は確定申告をする必要はありません。

ただし、年の途中で退職したことに伴い源泉徴収された所得税の還付を受けるために確定申告書を提出する場合は、これらの所得も併せて記載して申告することになります。

退職後に株式の譲渡や所得金額の損失がある場合はどうすればよいですか?

土地や建物の譲渡所得や株式等の譲渡所得がある場合は「申告書第三表(分離課税用)」を、その年の所得金額の計算上生じた損失の金額をその年の翌年以後に繰り越す場合は「申告書第四表(損失申告用)」を確定申告書と併せて使用します。

なお、特定口座の源泉徴収選択口座内における上場株式等の譲渡による所得などで確定申告をしないことを選択したものについては、所得金額の合計額に含めずに処理することができます。

退職した年の所得税を精算するためのまとめ

年の途中で退職して年末調整を受けていない場合は、確定申告を行うことで給与から源泉徴収された所得税の還付を受けられる可能性が高いです。申告期間は原則としてその年の翌年2月16日から3月15日までであり、所轄税務署に対して手続を行います。

国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーを利用すれば、画面案内に従って金額を入力することで必要な付表や明細書が自動作成され、自宅等から円滑に確定申告書等の作成・提出が可能です。

添付書類や提示書類については「所得税及び復興特別所得税の手引き」を確認し、所定の要件や期限に沿って適切に手続を完了させることが大切です。

PR

事業用の住所だけ、月270円から用意できます

特定商取引法の表記や請求書に自宅の住所を書きたくないなら、住所だけを借りるという選択があります。METSバーチャルオフィスは新宿三丁目・日本橋兜町・新宿御苑・赤羽の4拠点を自社所有ビルで運営していて、住所利用だけのライトプランは月額270円から(税込)。法人登記まで行うならビジネスプラス(月額1,430円、12ヶ月プランで716円から)が対象プランです。最短で申し込み当日から1営業日後に使い始められます。

月額270円〜(税込) / 全拠点が自社所有ビル / 登記はビジネスプラス以上 / 最短当日〜1営業日