ふるさと納税と住宅ローン控除の併用で損しない計算方法
住宅ローン控除を受けながらふるさと納税もしたい人向け。住宅ローン控除とふるさと納税を両方使うときの注意点と限度額を知りたい
ひと言でわかる
ワンストップ特例を利用すれば住宅ローン控除(所得税控除優先)とふるさと納税(住民税控除)が干渉しにくく、控除枠を最大限活用できる
住宅ローン控除を受けながらふるさと納税を行いたいものの控除額が減ってしまうのではないかと懸念する給与所得者や個人事業主は少なくありません。ワンストップ特例を利用すれば住宅ローン控除(所得税控除優先)とふるさと納税(住民税控除)が干渉しにくく、控除枠を最大限活用できるという結論になります。
ふるさと納税は、ご自身の選んだ自治体に対して寄附を行った場合に、寄附額のうち2,000円を超える部分について所得税および個人住民税からそれぞれ控除が受けられる制度です。所得税からの還付と個人住民税からの税額控除を組み合わせることで税負担の軽減が図られます。
住宅ローン控除として知られる住宅借入金等特別控除は、住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を所得税額等から直接差し引く税額控除です。所得税から控除しきれない金額がある場合は個人住民税からも一定の控除が行われる仕組みになっています。
ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用する場合と確定申告を行う場合では、ふるさと納税による税金の控除経路が異なります。それぞれの控除の計算順序と手続きの違いを把握することが、税金の控除枠を無駄なく活用するための判断基準となります。
ふるさと納税と住宅ローン控除はどのように控除されるのか
ふるさと納税と住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、税額の計算過程において控除される税目と計算方式が異なります。ふるさと納税は自治体への寄附額から2,000円を差し引いた部分について所得税の所得控除および個人住民税の税額控除が行われ、住宅借入金等特別控除は住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額が所得税額から直接控除されます。
国税庁のタックスアンサー「No.1155 ふるさと納税(寄附金控除)」(令和7年4月1日現在法令等)によると、ふるさと納税に係る控除額の計算方法は所得税分、個人住民税(基本分)、個人住民税(特例分)の要素に分かれています。所得税の計算では、(ふるさと納税額 - 2,000円)を所得控除(寄附金控除)とし、所得控除額に所得税率(0%から45%)を乗じた金額が軽減されます。所得控除の対象となる寄附金の額は、総所得金額等の40%が上限です。平成25年分から令和19年分については、所得税率が0%である場合を除き、復興特別所得税を加算した率となります。
個人住民税における控除計算では、まず個人住民税(基本分)として(ふるさと納税額 - 2,000円) × 10%が税額控除されます。続いて個人住民税(特例分)として(ふるさと納税額 - 2,000円)× (100% - 10%(基本分)- 所得税率(0%から45%))が計算されます。所得税および個人住民税(基本分)により控除できなかった額は、個人住民税(特例分)により全額控除(所得割額の20%を限度)されます。
一方、住宅借入金等特別控除は税額控除であるため、算出された所得税額から直接差し引かれます。確定申告でふるさと納税を寄附金控除として申告すると、所得控除の適用によって課税所得金額が減少し、算出される所得税額そのものが小さくなります。所得税額が住宅借入金等特別控除の額を下回る場合、所得税から控除しきれなくなる状況が発生します。
| 控除項目 | 控除の種類 | 計算式・控除上限 |
|---|---|---|
| ふるさと納税(所得税分) | 所得控除(寄附金控除) | (ふるさと納税額 - 2,000円)を所得控除(所得控除額 × 所得税率(0%から45%)が軽減)※総所得金額等の40%が上限 |
| ふるさと納税(個人住民税基本分) | 税額控除 | (ふるさと納税額 - 2,000円) × 10%を税額控除 |
| ふるさと納税(個人住民税特例分) | 税額控除 | (ふるさと納税額 - 2,000円)× (100% - 10%(基本分)- 所得税率(0%から45%))※所得割額の20%を限度 |
| 住宅借入金等特別控除 | 税額控除 | 住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を各年分の所得税額から控除 |
ワンストップ特例制度を利用するとどのような利点があるのか
ふるさと納税ワンストップ特例制度を利用すると所得税からの所得控除が行われず、控除額の全額が個人住民税から税額控除されるため、所得税から控除される住宅借入金等特別控除と控除枠を取り合わずに済みます。所得税の課税所得金額が減少しないため、住宅ローン等の年末残高を基にした住宅借入金等特別控除を所得税額から優先して満額控除しやすくなります。
ふるさと納税ワンストップ特例制度は、平成27年4月1日以後に導入された手続きです。確定申告が不要な給与所得者の方について、ふるさと納税先が5団体以内の場合に限り、ふるさと納税先団体に申請書を提出することにより寄附金控除を受けることができます。
確定申告でふるさと納税を申告する場合、所得税の所得控除が適用されることで課税対象の所得金額が低くなり、住宅借入金等特別控除を適用する前の所得税額が減少します。その結果、本来であれば所得税から引ききれたはずの住宅借入金等特別控除が引ききれなくなるケースが考えられます。
これに対してワンストップ特例制度を適用した場合は所得税の税額計算に変動が生じず、ふるさと納税による控除は翌年度の個人住民税の減額として一本化されます。所得税においては住宅借入金等特別控除が本来の所得税額から差し引かれるため、双方の制度による減税効果を無駄なく享受しやすくなります。
確定申告を行うとワンストップ特例の申請はどうなるのか
確定申告書を提出した場合、事前にふるさと納税先団体へ提出していたワンストップ特例の申請はすべて無効となります。確定申告を行う方は、ワンストップ特例の申請をした分も含めて確定申告書の中で寄附金控除額を計算して申告する必要があります。
国税庁のタックスアンサーによると、5団体を超える自治体にふるさと納税を行った方や、ふるさと納税の有無にかかわらず確定申告をする方は確定申告で寄附金控除の適用を受ける必要があります。これには医療費控除や雑損控除を受けるなどのために確定申告や個人住民税の申告をする方が含まれます。
住宅借入金等特別控除の適用を受けるために税務署へ確定申告書を提出する場合、ワンストップ特例の申請書を提出済みであってもその申請は無効になります。ふるさと納税を行ったすべての自治体の寄附金受領証明書等を揃えて、確定申告書に寄附金控除として記載しなければなりません。
ワンストップ特例の申請書を出しているから申告不要であると誤認して確定申告書からふるさと納税の記載を除外してしまうと、ふるさと納税に係る税金の控除が適用されなくなるため十分な確認が必要です。
PR
振込手数料を0円にする方法があります
銀行振込しかできない支払いもカードでOK。ポイントも貯まって、支払いを最大60日先延ばしできます。
ポイント還元あり / 支払い最大60日延長 / 年会費無料
確定申告書を作成する際の記載漏れを防ぐ方法は何か
確定申告書で寄附金控除の適用を受ける場合は、確定申告書第二表の寄附金控除に関する事項および住民税に関する事項の所定欄に正確に記載することで控除漏れを防ぐことができます。住民税の欄に記載がない場合、個人住民税の賦課決定の際にふるさと納税の控除が適用されないことがあります。
国税庁の注意事項によると、確定申告書第二表の「寄附金控除に関する事項」の「寄附先の名称等」欄および「寄附金」欄にふるさと納税先団体名およびふるさと納税として寄附された金額を記載します。同時に、「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」欄にふるさと納税として寄附された金額を記載する必要があります。
所得税の確定申告書は個人住民税の申告書も兼ねています。税務署へ提出された申告書の内容に基づいて各市区町村で個人住民税が計算されるため、「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」欄などが記載されていない場合には、個人住民税の賦課決定の際に控除されないことがあります。
住宅借入金等特別控除とふるさと納税の双方を申告する際は、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用すると画面の案内に沿って金額等を入力することで申告書や必要な付表、明細書が自動的に作成されるため、転記ミスや記載漏れの防止に役立ちます。
住宅借入金等特別控除の適用要件と対象区分はどう分かれているか
住宅借入金等特別控除は、個人が住宅ローン等を利用してマイホームの新築、取得または増改築等をした場合で一定の要件を満たすときに、住宅ローン等の年末残高の合計額等を基として計算した金額を居住の用に供した年分以後の各年分の所得税額から控除する制度です。取得等の形態や居住の用に供した時期に応じて複数の区分が設けられています。
国税庁のタックスアンサー「No.1210 マイホームの取得等と所得税の税額控除」(令和7年4月1日現在法令等)によると、令和4年以後に住宅ローン等を利用し特定の増改築等を行い居住の用に供した場合には、特定増改築等住宅借入金等特別控除を受けることができません。また、災害によりマイホームが被害を受けた場合で一定の要件を満たすときは、コード8013「災害により被害を受けたときの住宅借入金等特別控除の適用期間の特例等」や東日本大震災に関する特例の適用を受けることができます。
さらに、住宅ローン等を利用しない場合であっても、個人が既存住宅について一定の要件を満たす住宅耐震改修をしたとき、バリアフリー改修工事や省エネ改修工事、多世帯同居改修工事、子育て対応改修工事、耐久性向上改修工事(住宅耐震改修や省エネ改修工事を併せて行うものに限ります)をしたとき、または認定住宅等の新築等をしたときは、それぞれ所定の方法で計算した金額をその年分の所得税額から控除する「住宅耐震改修特別控除」「住宅特定改修特別税額控除」または「認定住宅等新築等特別税額控除」の適用を受けることができます。
| コード | 区分および要件 | 適用される控除制度 |
|---|---|---|
| コード1211-1 | 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合 | 住宅借入金等特別控除 |
| コード1211-2 | 買取再販住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合 | 住宅借入金等特別控除 |
| コード1211-3 | 中古住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合 | 住宅借入金等特別控除 |
| コード1211-4 | 増改築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合 | 住宅借入金等特別控除 |
| コード1211-5 | 要耐震改修住宅を取得し、令和4年以降に居住の用に供した場合 | 住宅借入金等特別控除 |
| コード1212 | 住宅の新築等をし、令和3年までに居住の用に供した場合 | 住宅借入金等特別控除 |
| コード1213 | 認定住宅の新築等をし、令和3年までに居住の用に供した場合 | 住宅借入金等特別控除 |
| コード1214 | 中古住宅を取得し、令和3年までに居住の用に供した場合 | 住宅借入金等特別控除 |
| コード1215 | 要耐震改修住宅を取得して耐震改修を行い、令和3年までに居住の用に供した場合 | 住宅借入金等特別控除 |
| コード1216 | 増改築等をし、令和3年までに居住の用に供した場合 | 住宅借入金等特別控除 |
| コード1217 | 借入金を利用して省エネ改修工事をした場合 | 特定増改築等住宅借入金等特別控除 |
| コード1218 | 借入金を利用してバリアフリー改修工事をした場合 | 特定増改築等住宅借入金等特別控除 |
| コード1223 | 借入金を利用して多世帯同居改修工事をした場合 | 特定増改築等住宅借入金等特別控除 |
| コード1219 | 省エネ改修工事をした場合 | 住宅特定改修特別税額控除 |
| コード1220 | バリアフリー改修工事をした場合 | 住宅特定改修特別税額控除 |
| コード1224 | 多世帯同居改修工事をした場合 | 住宅特定改修特別税額控除 |
| コード1227 | 耐久性向上改修工事をした場合 | 住宅特定改修特別税額控除 |
| コード1228 | 子育て対応改修工事をした場合 | 住宅特定改修特別税額控除 |
| コード1221 | 認定住宅等の新築等をした場合 | 認定住宅等新築等特別税額控除 |
| コード1222 | 耐震改修工事をした場合 | 住宅耐震改修特別控除 |
確定申告でふるさと納税を忘れた場合は更正の請求ができるか
ワンストップ特例の申請書を提出した方が誤って寄附金控除の適用を受けずに確定申告をした場合は、更正の請求を行うことにより寄附金控除の適用を受けることができます。所轄税務署に対して更正の請求書を提出することで、申告内容の是正が認められます。
ただし、国税庁のタックスアンサーの注記によると、寄附金控除を適用しても最終的な所得税等の額に異動がない場合は、更正の請求をすることができません。住宅借入金等特別控除の適用により所得税額が既に全額控除されてゼロになっている場合など、所得税額に異動が生じない状況がこれに該当します。
寄附金控除の適用によっても最終的な所得税等の額に異動がなく更正の請求ができない場合は、お住まいの市区町村に相談して個人住民税の控除手続きについて確認を行う必要があります。所得税の還付が発生しない場合でも、個人住民税における適切な税額控除の適用を受けるための対応をとることが大切です。
確定申告の完了後にふるさと納税の控除漏れに気づいた際は、まず所得税額に異動が生じるかどうかを確認し、異動がある場合は所轄税務署への更正の請求を、異動がない場合は市区町村の窓口への相談を検討することになります。
よくある質問
ふるさと納税ワンストップ特例の申請後に確定申告をするとどうなりますか?
確定申告を行うとふるさと納税ワンストップ特例の申請は無効になります。ワンストップ特例の申請をした分も含めて確定申告書の中で寄附金控除額を計算して提出する必要があります。
住宅借入金等特別控除の申告や医療費控除の適用などのために確定申告書を提出する場合、ワンストップ特例を申請した自治体の寄附金受領証明書等をすべて含めて申告を行わなければ寄附金控除が受けられなくなります。
ふるさと納税の控除上限額にはどのような基準がありますか?
所得税の寄附金控除においては総所得金額等の40%が上限とされ、個人住民税の特例分においては所得割額の20%が限度とされています。寄附額のうち2,000円を超える部分について全額控除を受けるためにはこれらの範囲内に収める必要があります。
制度の概要や詳細な計算シミュレーションについては、総務省ホームページの「ふるさと納税ポータルサイト」に掲載されている「寄附金控除額の計算シミュレーション」コーナー等で確認することができます。
住宅ローン等を利用しない場合でも住宅関連の税額控除を受けられますか?
住宅ローン等を利用しない場合であっても一定の要件を満たすことで住宅耐震改修特別控除や住宅特定改修特別税額控除、認定住宅等新築等特別税額控除の適用を受けることができます。既存住宅の耐震改修工事やバリアフリー改修工事、省エネ改修工事、多世帯同居改修工事、子育て対応改修工事、耐久性向上改修工事、認定住宅等の新築等が対象となります。
これらの控除は所定の方法で計算した金額をその年分の所得税額から直接控除する税額控除として規定されています。
確定申告書で寄附金控除を書き忘れたときはどうすればよいですか?
誤って寄附金控除の適用を受けずに確定申告をした場合は更正の請求により寄附金控除の適用を受けることができます。所轄税務署に更正の請求書を提出して手続きを行います。
ただし寄附金控除を適用しても最終的な所得税等の額に異動がない場合は更正の請求をすることができないため、その場合はお住まいの市区町村にご相談ください。
ふるさと納税の寄附先が5団体を超える場合はどうすればよいですか?
ふるさと納税先が5団体を超える自治体になった場合はワンストップ特例制度を利用できないため、確定申告をする必要があります。すべての寄附先自治体への寄附金額をまとめて確定申告書に記載して申告します。
確定申告を行う際は確定申告書第二表の「寄附金控除に関する事項」に加えて、「住民税に関する事項」の「都道府県、市区町村への寄附(特例控除対象)」欄にも金額を記載する必要があります。
ふるさと納税と住宅ローン控除を併用して控除枠を活用する手順
ワンストップ特例を利用すれば住宅ローン控除(所得税控除優先)とふるさと納税(住民税控除)が干渉しにくく、控除枠を最大限活用できるという結論になります。確定申告が不要な給与所得者でふるさと納税先が5団体以内の場合は、ワンストップ特例制度を活用することで所得税の税額控除枠を減らさずに済みます。
住宅借入金等特別控除の適用を受けるために確定申告を行う年分においては、ワンストップ特例の申請が無効となるため、すべての寄附金を確定申告書第二表の「寄附金控除に関する事項」および「住民税に関する事項」に漏れなく記載して手続きを進める必要があります。
確定申告で寄附金控除の記載を忘れた場合でも、所得税額に異動があれば更正の請求を行い、所得税額に異動がない場合は市区町村へ相談することで対応が可能です。それぞれの制度の控除計算の仕組みを理解して適切な申告手続きを選択することが重要です。
PR
確定申告の書類、来年もまた一から作り直しますか?
毎年おなじ集計と転記をやり直しているなら、個人事業主向けのクラウド申告ソフトに切り替える方法があります。やよいの青色申告 オンラインは、どのプランを選んでも確定申告に必要な機能をひととおり使えます。初年度にかかる費用と、自分が申告作業に使っている時間を並べて比べてみてください。
個人事業主向け / 初年度0円はセルフ・ベーシックプランを2027年3月15日までに申し込んだ場合 / どのプランでも全機能が使えます