減価償却の耐用年数の決まり方

何年で償却するか分からない個人事業主向け。自分の資産が何年かを知りたい

著者: アキスケ

ひと言でわかる

耐用年数は自分で決めるものではなく資産の種類ごとに法令で定められている

業務のために購入した減価償却資産を何年で償却すればよいか分からず悩んでいる個人事業主は多いですが、耐用年数は自分で決めるものではなく資産の種類ごとに法令で定められています。減価償却資産の耐用年数は、利用者が任意に設定できるものではなく、財務省令の別表(減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表)に定められた法定耐用年数を適用することが義務付けられています。

国税庁のタックスアンサー「No.2100 減価償却のあらまし」(令和7年4月1日現在法令等)によると、事業などの業務のために用いられる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、一般的には時の経過等によってその価値が減っていきます。このような資産を減価償却資産と定義し、土地や骨とう品などのように時の経過により価値が減少しない資産は減価償却資産には該当しません。

減価償却資産の取得に要した金額は、取得した時に全額必要経費になるのではなく、その資産の使用可能期間の全期間にわたり分割して必要経費としていくべきものです。所得税の確定申告(確定申告)における減価償却とは、減価償却資産の取得に要した金額を一定の方法によって各年分の必要経費として配分していく手続を指します。

取得価額や使用可能期間、申告区分によっては、全額を取得した年分の必要経費に算入できる特例や、3年間で均等に一括償却できる規定も法令で整備されています。減価償却資産の耐用年数と計算方法の仕組みを把握することは、適正な所得税申告と事業経費の計上において重要です。

耐用年数は自分で決められるのか

減価償却資産の耐用年数は事業主が自由に決めることはできず、法令で定められた法定耐用年数を適用します。国税庁の定め(令和7年4月1日現在法令等)において、減価償却資産の使用可能期間に当たるものとして法定耐用年数が財務省令の別表(減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表)に細かく規定されています。

事業の業務に供される建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などは、時の経過によって価値が減少する有形減価償却資産に分類されます。これに対して、土地や骨とう品のように時の経過によって価値が減少しない資産は減価償却資産に該当しないため、減価償却費を計上することはできません。

購入した減価償却資産の取得価額は、単なる本体価格だけではありません。国税庁の規定によると、購入した減価償却資産の取得価額は「資産の購入代金(引取運賃、運送保険料、購入手数料等を含む。)」と「業務の用に供するための費用」との合計額で構成されます。

個人事業主の経費管理(フリーランスの経費)において減価償却費を計算する際は、資産本体の価格に運送保険料や引取運賃などの付随費用を加算した取得価額を求め、その上で財務省令の別表に定められた法定耐用年数を確認する必要があります。

取得価額によって減価償却の経費算入方法は変わるのか

減価償却資産は取得価額や使用可能期間に応じて、全額をその年の必要経費にするか複数年で分割償却するかの区分が法令で定められています。資産の取得価額によって適用できる処理方法は原則として4つに分かれます。

国税庁の規定(令和7年4月1日現在法令等)によると、使用可能期間が1年未満のものまたは取得価額が10万円未満の減価償却資産は、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。この基準に該当する資産は、法定耐用年数に応じた複数年の分割償却を行う必要がありません。

取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその減価償却資産の全部または特定の一部を一括し、その一括した減価償却資産の取得価額の合計額の3分の1に相当する金額をその業務の用に供した年以後3年間の各年分において必要経費に算入することができます。

一定の要件を満たす青色申告者(青色申告)が、平成18年4月1日から令和8年3月31日までに取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産については、一定の要件の下でその取得価額の合計額のうち300万円に達するまでの取得価額の合計額を、その業務の用に供した年分の必要経費に算入できる特例があります。ただし、10万円以上20万円未満の一括償却の適用を受ける資産はこの30万円未満特例から除かれます。

令和4年4月1日以降に取得した減価償却資産で貸付けの用に供したもの(主要な業務として行う貸付けに供するものを除く)については、使用可能期間1年未満または10万円未満の全額経費算入、10万円以上20万円未満の一括償却、青色申告者の30万円未満特例の適用はありません。

取得価額の判定に際して消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。税込経理であれば消費税を含んだ金額で判定し、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。免税事業者の経理方式は税込経理になります。

減価償却資産の取得価額基準と特例措置の比較

取得価額や申告条件ごとの経費算入方法の違いを把握することで、事業の用に供した減価償却資産の適切な処理が可能になります。国税庁タックスアンサーNo.2100に基づく各基準の条件と取扱いは次の通りです。

区分 取得価額・対象要件 経費算入の方法 適用除外・制限要件
少額資産の経費算入 使用可能期間1年未満、または取得価額10万円未満 取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費に算入 令和4年4月1日以降取得の貸付用資産(主要業務を除く)は適用対象外
一括償却資産 取得価額10万円以上20万円未満 一括した取得価額の合計額の3分の1に相当する金額を業務供用年以後3年間の各年分で必要経費に算入 令和4年4月1日以降取得の貸付用資産(主要業務を除く)は適用対象外
青色申告者の特例 取得価額10万円以上30万円未満(平成18年4月1日から令和8年3月31日までに取得) 合計額のうち年間300万円に達するまでの取得価額の合計額を業務供用年分の必要経費に算入 一括償却の適用資産、および令和4年4月1日以降取得の貸付用資産(主要業務を除く)は適用対象外
通常の減価償却 上記特例を適用しない減価償却資産 財務省令の別表に定める法定耐用年数および償却方法に応じ各年分の必要経費に配分 土地や骨とう品等の非減価償却資産は対象外

取得価額の判定を行う際は、納税者が採用している経理方式(税込経理または税抜経理)に応じて消費税額を含めるか否かが決定されます。免税事業者の場合は税込経理となるため、消費税を含めた総額で10万円、20万円、30万円の各基準を判定する必要があります。

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減価償却の計算方法にはどのような種類があるのか

減価償却資産の償却費を計算する方法には定額法や定率法などがあり、資産の取得時期や資産の種類によって適用できる方法が法令で規定されています。資産の取得には購入や自己の建設によるもののほか、相続、遺贈または贈与によるものも含まれます。

平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産(旧減価償却資産)については「旧定額法」や「旧定率法」などの償却方法で計算し、平成19年4月1日以後に取得する減価償却資産については「定額法」や「定率法」などの償却方法で減価償却を行います。

資産の種類によっても計算方法が制限されています。平成10年4月1日以後に取得した建物の償却方法は旧定額法または定額法のみとなり、平成28年4月1日以後に取得した建物附属設備および構築物の償却方法は定額法となります。

日々の業務で使用する減価償却資産の計算や耐用年数の管理には、専用のシミュレーションツール(減価償却計算ツール)を活用することで、法令に基づく各年分の償却額を正確に算出できます。

償却方法の選定や変更には税務署への届出が必要か

減価償却資産の償却方法を選定または変更するためには、所轄税務署長への届出または申請手続が必要です。届出を行わなかった場合は、法定の償却方法が自動的に適用されます。

償却方法は、減価償却資産の財務省令の別表に定められている種類ごとに選定します。新たに業務を始めた場合には、減価償却の方法を選定してその翌年の3月15日までに所轄の税務署長に届け出なければなりません。この選定の届出がない場合には、法定の償却方法で計算することになります。個人事業主における法定の償却方法は一般的には旧定額法または定額法です。

すでに適用している減価償却の方法を変更しようとするときは、その変更しようとする年の3月15日までに所轄の税務署長に申請書を提出してその承認を受ける必要があります。承認を受けずに勝手に計算方法を変更することはできません。

旧減価償却資産について「旧定額法」、「旧定率法」または「旧生産高比例法」を選定している場合において、平成19年4月1日以後に取得する新減価償却資産で同日前に取得したならば旧減価償却資産と同一の区分に属するものについて届出書を提出していないときは、旧減価償却資産につき選定していた償却方法の区分に応じた償却方法を選定したとみなされ、新減価償却資産について「定額法」、「定率法」または「生産高比例法」を適用することになります。

確定申告の手続きをスムーズに行うためには、導入している会計システム(会計ソフト)において適切な償却方法と届出状況を一致させて登録しておくことが推奨されます。

平成19年3月31日以前に取得した資産の計算はどうなるのか

平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産は、平成19年度税制改正前の計算の仕組みが維持されており、旧定額法または旧定率法を用いて計算を行います。国税庁タックスアンサー「No.2105 旧定額法と旧定率法による減価償却(平成19年3月31日以前に取得した場合)」において具体的な計算式と取扱いが定められています。

旧定額法は、償却費の額が原則として毎年同額となる特徴を持ちます。有形減価償却資産における旧定額法の計算式は「取得価額×90%×旧定額法の償却率」または「各年の償却費の額=(取得価額-残存価額)×旧定額法の償却率」です。漁業権や特許権などの無形固定資産は90%を乗じる必要がありません。

旧定率法は、償却費の額が初めの年ほど多く年とともに減少する特徴を持ちます。旧定率法における1年目の償却費の額は「取得価額×旧定率法の償却率」となり、2年目以降の償却費の額は「期首未償却残高×旧定率法の償却率」となります。期首未償却残高とは取得価額から前年末までの償却費の合計額を差し引いた金額です。

残存価額とは、減価償却資産が耐用年数を経過したときにおいて残存すると想定される価額をいい、財務省令の別表で次のように規定されています。

  • 有形減価償却資産: 取得価額の10パーセント
  • 無形減価償却資産ならびに鉱業権および坑道: 0
  • 馬: 細目ごとに取得価額の10パーセントから30パーセントの金額と10万円のいずれか少ない金額
  • 牛: 細目ごとに取得価額の10パーセントから50パーセントの金額と10万円のいずれか少ない金額
  • 豚: 取得価額の30パーセント
  • 綿羊、やぎ、果樹、その他の植物: 取得価額の5パーセント

平成19年3月31日以前に取得した減価償却資産の限度額は、有形減価償却資産(坑道を除く)が取得価額の95パーセント相当額、坑道および無形固定資産が取得価額、生物が取得価額から残存価額を控除した金額です。取得価額の95パーセント相当額まで償却した年分の翌年分以後は、期首帳簿価額から1円を控除した金額を5で除した金額(算式: 各年の償却費の額=(取得価額-償却費の額の累計額-1円)÷5)が償却費の額となり、5年間で1円まで均等償却します(平成20年分から適用)。

鉄骨鉄筋コンクリート造等の建物、構築物、機械装置については、償却可能限度額(取得価額の95パーセントに相当する金額)に達した後においても、取得価額の5パーセントに相当する金額から1円を控除した残額を基礎として法定耐用年数の30パーセントの年数により償却費の計算を行うことができます。

減価償却資産が年の中途において業務の用に供された場合または年の中途で譲渡、除却等された場合は、「その年分の償却費の額=各年の償却費の額÷12×業務供用月数(1月未満切上げ)」の算式により計算します。

国税庁の資料に示されている「取得価額500万円、耐用年数5年の減価償却資産(1年間業務に使用)」についての旧定額法(償却率0.200)と旧定率法(償却率0.369)の具体的な計算数値の推移は以下の通りです。

年数・項目 旧定額法(耐用年数5年・償却率0.200) 旧定率法(耐用年数5年・償却率0.369)
1年目の償却費の額 900,000円(=5,000,000×0.9×0.200) 1,845,000円(=5,000,000×0.369)
2年目〜5年目の償却費の額 900,000円(=5,000,000×0.9×0.200) (5,000,000-前年までの償却費の合計額)×0.369
6年目の償却費の額 250,000円(5,000,000×0.9×0.200>期首帳簿価額-取得価額×5%) (5,000,000-前年までの償却費の合計額)×0.369
7年目の償却費の額 50,000円(=(250,000-1)÷5) 65,606円((5,000,000-前年までの償却費の合計額)×0.369>期首帳簿価額-取得価額×5%)
8年目〜10年目の償却費の額 50,000円(=(250,000-1)÷5) 50,000円(=(250,000-1)÷5)
11年目の償却費の額 49,999円(期首帳簿価額-1円<(250,000-1)÷5) 50,000円(=(250,000-1)÷5)
12年目の償却費の額 なし 49,999円(期首帳簿価額-1円<(250,000-1)÷5)

よくある質問

耐用年数は自分で自由に決めて確定申告してよいですか?

耐用年数は自分で自由に決めることはできず、財務省令の別表(減価償却資産の耐用年数等に関する省令の別表)に定められた法定耐用年数を適用しなければなりません。国税庁の規定(令和7年4月1日現在法令等)により、事業の業務に用いる建物、建物附属設備、機械装置、器具備品、車両運搬具などの資産は、すべて法令で耐用年数が規定されています。

利用者が独自に使用可能年数を設定して減価償却費を計算することは認められていません。確定申告で減価償却費を計上する際は、該当する資産の種類を財務省令の別表から探し、定められた法定耐用年数と償却率を用いて計算を行う必要があります。所得税の税額を計算する際(所得税計算ツール)も法令に適合した耐用年数の適用が前提となります。

10万円未満で購入した備品はどう処理すればよいですか?

取得価額が10万円未満のもの、または使用可能期間が1年未満のものは、その取得に要した金額の全額を業務の用に供した年分の必要経費とします。国税庁の規定に基づき、耐用年数に応じた複数年の分割償却を行うことなく、その年の経費として全額を処理できます。

ただし、令和4年4月1日以降に取得した減価償却資産で貸付けの用に供したもの(主要な業務として行う貸付けに供するものを除く)については、この10万円未満全額経費算入の取扱いは適用されません。

青色申告なら30万円未満の資産を一括で経費にできますか?

一定の要件を満たす青色申告者であれば、平成18年4月1日から令和8年3月31日までに取得した取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産について、年間合計額300万円に達するまで業務の用に供した年分の必要経費に算入できます。この規定は青色申告者に認められた特例措置です。

ただし、10万円以上20万円未満の一括償却資産の規定の適用を受ける資産はこの特例から除かれます。また、令和4年4月1日以降に取得した資産で主要な業務を除く貸付けの用に供したものについても特例の対象外となります。

減価償却資産の取得価額判定で消費税は含まれますか?

取得価額の判定に際して消費税の額を含めるかどうかは納税者の経理方式によります。国税庁の定めによると、税込経理であれば消費税を含んだ金額で判定し、税抜経理であれば消費税を含まない金額で判定します。

免税事業者の経理方式は税込経理になるため、消費税を含んだ総額によって10万円未満、20万円未満、30万円未満の判定を行います。

減価償却の方法を変更したいときはどうすればよいですか?

減価償却の方法を変更しようとするときは、その変更しようとする年の3月15日までに所轄の税務署長に申請書を提出してその承認を受ける必要があります。勝手に償却方法を切り替えて計算することはできません。

なお、新たに業務を始めた場合の減価償却方法の選定届出期限はその翌年の3月15日までとなっており、届出を提出しなかった場合は一般的に旧定額法または定額法が法定の償却方法として適用されます。

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