満期保険金や解約返戻金を受け取ったときの一時所得の計算と50万円特別控除

生命保険の満期金や一時金を受け取った人向け。保険金を受け取ったときの税金計算と50万円控除の仕組みを知りたい

著者: アキスケ

ひと言でわかる

生命保険の満期金・解約返戻金は一時所得として(総収入金額−払込保険料−特別控除50万円)の2分の1が課税対象となる

生命保険の満期保険金や解約返戻金を受け取り、税金の計算方法や確定申告の要否に悩んでいる人は少なくありません。生命保険の満期金や解約返戻金は一時所得として(総収入金額−払込保険料−特別控除50万円)の2分の1が課税対象となります。国税庁タックスアンサーNo.1490(令和7年4月1日現在法令等)に基づき、一時所得の計算構造や特別控除額の適用条件を正しく把握することが重要です。

一時所得は、受け取った金額の全額にそのまま税金が課される仕組みではありません。受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料の額を差し引き、さらに最高50万円の特別控除額を差し引いたうえで、その残額の2分の1に相当する金額のみを他の所得と合計して総所得金額を計算します。これにより、実際の税負担は大きく軽減される仕組みとなっています。

一方で、生命保険の契約形態や受取方法によっては、一時所得ではなく贈与税や相続税、あるいは雑所得の対象となる場合があります。また、保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たす一時払養老保険などの差益については、源泉分離課税が適用されて確定申告を行えない取り扱いとなります。適切な納税手続きを行うためには、自身が受け取った保険金がどの区分に該当するかを正確に判定する必要があります。

生命保険の一時金や満期返戻金はどのような所得に分類されるか

生命保険の一時金や損害保険の満期返戻金等は、所得税法において原則として一時所得に分類されます。国税庁タックスアンサーNo.1490(令和7年4月1日現在法令等)によると、一時所得とは、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の所得で、労務や役務の対価としての性質や資産の譲渡による対価としての性質を有しない一時の所得をいいます。

一時所得に該当するものとして、国税庁では次の項目を挙げています。

  • (1)懸賞や福引きの賞金品(業務に関して受けるものを除きます。)
  • (2)競馬や競輪の払戻金(営利を目的とする継続的行為から生じたものを除きます。)
  • (3)生命保険の一時金(業務に関して受けるものを除きます。)や損害保険の満期返戻金等
  • (4)法人から贈与された金品(業務に関して受けるもの、継続的に受けるものを除きます。)
  • (5)遺失物拾得者や埋蔵物発見者の受ける報労金等
  • (6)資産の移転等の費用に充てるため受けた交付金のうち、その交付の目的とされた支出に充てられなかったもの

個人が契約者(保険料負担者)として保険料を支払い、満期や解約に伴って本人が一時金として受け取る生命保険金は、上記(3)の「生命保険の一時金」に該当します。事業や業務に関して受け取るものではない個人の保険金は、継続的な営利活動の対価でも資産の譲渡対価でもないため、一時所得としての計算規定が適用されます。

一時所得に該当する場合、一時的な臨時収入である性質に配慮して、計算過程において最高50万円の特別控除額が差し引かれます。さらに、特別控除額を差し引いた後の金額に対して2分の1を乗じて課税対象額を算出するため、給与所得や事業所得などの経常的な所得に比べて税負担が抑えられる構造となっています。

一時所得の金額と課税対象額はどのように計算するか

一時所得の金額は、総収入金額から収入を得るために支出した金額を差し引き、さらに最高50万円の特別控除額を差し引いて計算します。国税庁タックスアンサーNo.1490(令和7年4月1日現在法令等)に定められた計算式に従い、順を追って金額を算出します。

所得税法における一時所得の計算式は次のとおりです。

総収入金額 - 収入を得るために支出した金額 - 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額

ここで「収入を得るために支出した金額」とは、その収入を生じた行為をするため、またはその収入を生じた原因の発生に伴い、直接要した金額に限られます。生命保険の一時金や解約返戻金の場合には、受け取った保険金の総額に対応して既に払い込んだ保険料または掛金の額がこれに該当します。

特別控除額は最高50万円です。受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料の額を差し引いた金額が50万円より少ない場合は、特別控除額を差し引くと残額がなくなるため、一時所得は生じません。この場合、課税関係は発生せず、一時所得についての確定申告も不要となります。

一時所得の金額が算出された場合、税額計算においてはその金額の全額が課税されるわけではありません。一時所得は、その所得金額の2分の1に相当する金額を給与所得などの他の所得の金額と合計して総所得金額を求めた後、納める税額を計算します。税額の試算を行う際は、所得税計算ツールなどを活用して全体の税額への影響を把握することができます。

計算ステップ 計算内容 計算式および適用ルール
ステップ1:差益の計算 総収入金額から払込保険料を控除 総収入金額 − 収入を得るために支出した金額(既払込保険料)
ステップ2:一時所得の金額の計算 特別控除額(最高50万円)を控除 差益 − 特別控除額(最高50万円) = 一時所得の金額(※差益が50万円より少ない場合は一時所得は生じない)
ステップ3:総所得金額への算入 一時所得の金額の2分の1を算入 一時所得の金額 × 2分の1 = 他の所得(給与所得等)と合算する金額

このように、一時所得の課税対象額は、保険金から払込保険料を引いた差益から50万円を控除し、さらにその残額を2分の1にした金額となります。一時所得内の内部通算や複数契約がある場合の計算も含め、正しい計算順序を遵守することが求められます。

保険料負担者と受取人の関係で課税される税金はどう変わるか

受け取った保険金に課税される税金の種類は、被保険者、保険料の負担者、および保険金受取人が誰であるかにより、所得税、相続税、贈与税のいずれかに分かれます。国税庁タックスアンサーNo.1750(令和7年4月1日現在法令等)に示されている契約関係の類型に基づき、適切な税目を判定する必要があります。

被保険者 保険料の負担者 保険金受取人 課税される税金の種類 受取方法による所得区分
A B B 所得税 一時金で受領した場合は一時所得、年金で受領した場合は雑所得
A A B 相続税 一時金は相続・遺贈、年金受給権は相続税の課税対象
A B C 贈与税 一時金は贈与税、年金受給権は贈与税の課税対象

所得税が課税されるのは、上記のように保険料の負担者と保険金受取人とが同一人(被保険者A・保険料負担者B・受取人B)の場合です。保険料を自分で負担し、自分が満期保険金や解約返戻金、あるいは死亡保険金を一時金で受領した場合には、一時所得として所得税の対象になります。

同一人が保険料を負担して保険金を受け取る場合であっても、受領方法が年金である場合には課税区分が異なります。死亡保険金を年金で受領した場合には、公的年金等以外の雑所得になります。雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いた金額となります。なお、年金を受け取る際には、原則として所得税が源泉徴収されます。

被保険者と保険料の負担者が同一人(被保険者A・保険料負担者A・受取人B)の場合には相続税が課税されます。受取人が被保険者の相続人であるときは相続により取得したものとみなされ、相続人以外の者が受取人であるときは遺贈により取得したものとみなされます。死亡保険金を年金で受領する場合には、その年金を受け取る権利に対して相続税が課税されます。

被保険者、保険料の負担者、および保険金の受取人がすべて異なる場合(被保険者A・保険料負担者B・受取人C)には贈与税が課税されます。死亡保険金を年金で受領する場合には、その年金を受け取る権利に対して贈与税が課税されます。なお、毎年支払を受ける年金(公的年金等以外の年金)に係る所得税については、年金の収入金額を非課税部分と課税部分(年金受給権に相当する部分とそれ以外の部分)に振り分けた上で計算します。

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確定申告が不要となる源泉分離課税の条件とは何か

一時払養老保険や一時払損害保険等で保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たすものの差益等については、源泉分離課税が適用されるため確定申告を行うことはできません。国税庁タックスアンサーNo.1490(令和7年4月1日現在法令等)において、通常の総合課税となる一時所得とは明確に区別されています。

源泉分離課税が適用される対象契約から生じた差益等については、支払を受ける際に税金が源泉徴収されます。適用される税率は合計で20.315パーセントです。内訳は所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセントとなります。

平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得については、所得税とともに復興特別所得税が源泉徴収されます。源泉分離課税が適用された所得は、他の所得と合算して確定申告を行うことができず、源泉徴収だけで納税手続きが完結します。

したがって、満期保険金や解約返戻金を受け取った際には、その契約が一時払養老保険等で保険期間が5年以内のものに該当するかどうかを確認する必要があります。保険期間が5年を超える契約や、保険料を平準払い(月払い・年払い等)で支払っていた契約の一時金であれば、源泉分離課税ではなく総合課税の一時所得として計算を行います。

一時所得を受け取ったときの確定申告の手続きはどう進めるか

一時所得が生じた場合は、原則として確定申告を行って他の所得と合算し、納めるべき所得税額を計算して申告します。給与所得者や個人事業主などが一時所得を得た場合、総所得金額に一時所得の金額の2分の1を加算して税額を算出します。

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すると、画面の案内に沿って金額等を入力することにより自宅等で確定申告書等の作成および提出ができます。必要な付表や明細書も、画面上で金額等を入力することで自動的に作成される仕組みとなっています。

国税庁のシステムを利用した電子申告を行う場合は、e-Taxのメリット・デメリットを確認したうえで準備を進めると円滑です。個人事業主で日頃の帳簿管理や決算を行っている場合は、会計ソフトの選び方を参考に事業所得の管理を行い、事業外の収入である一時所得と明確に区分して申告書を作成することが重要です。

なお、生命保険金の受取人が2人いる場合の一時所得の金額の計算など、複数人で受取を行うケースもあります。それぞれの受取人が受け取った保険金額および対応する払込保険料に基づいて各自の一時所得を算出し、各自で特別控除額や課税対象額を計算して確定申告の手続きを進める必要があります。

よくある質問

保険金を受け取ったとき50万円以下の差益なら税金はかかりませんか?

受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料を差し引いた金額が50万円より少ない場合は、一時所得は生じないため所得税はかかりません。国税庁タックスアンサーNo.1490(令和7年4月1日現在法令等)において、一時所得には最高50万円の特別控除額が適用されると定められています。

ただし、同じ年中に懸賞の賞金品や競馬の払戻金など他に一時所得に該当する収入がある場合は、それらの一時所得の総収入金額と支出金額を合計した全体の差益に対して特別控除額50万円を適用して計算します。

死亡保険金を年金形式で受け取った場合も一時所得になりますか?

保険料負担者本人が死亡保険金を年金で受領した場合は、一時所得ではなく公的年金等以外の雑所得になります。国税庁タックスアンサーNo.1750(令和7年4月1日現在法令等)に基づき、年金で受領する形態では雑所得として課税されます。

雑所得の金額は、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料または掛金の額を差し引いて計算します。なお、年金を受け取る際には原則として所得税が源泉徴収されます。

一時払養老保険で保険期間が5年以内の満期金は確定申告できますか?

一時払養老保険等で保険期間が5年以内であるなど一定の要件を満たすものの差益等については、20.315パーセントの税率による源泉分離課税が適用されるため確定申告を行うことはできません。国税庁タックスアンサーNo.1490(令和7年4月1日現在法令等)に明記されています。

この20.315パーセントの税率の内訳は、所得税および復興特別所得税15.315パーセント、地方税5パーセントです。支払時に源泉徴収されて課税関係が終了するため、他の所得と合算して申告することは認められていません。

保険金の受取人が2人いる場合の一時所得はどう計算しますか?

保険金の受取人が2人いる場合の一時所得の金額の計算は、それぞれの受取人が受領した保険金額と、それぞれが負担した払込保険料または割り当てられた金額に応じて各自で計算します。国税庁の質疑応答事例「生命保険金の受取人が2人いる場合の一時所得の金額の計算」に示されている取り扱いに従います。

各受取人は、自身が受け取った収入金額から直接要した支出金額を差し引き、各自の一時所得の特別控除額(最高50万円)を適用して一時所得の金額および課税対象額(2分の1)を算出します。

保険金の一時所得の確定申告書は自宅で作成できますか?

国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用することで、自宅等で確定申告書等の作成および提出ができます。国税庁タックスアンサーNo.1490(令和7年4月1日現在法令等)の関連リンクでも案内されています。

画面の案内に沿って受け取った満期保険金の総収入金額や既払込保険料の額を入力することにより、必要な計算が行われ、自動的に申告書や明細書が作成されます。

満期保険金や解約返戻金を受け取ったときの一時所得のまとめ

生命保険の満期保険金や解約返戻金を一時金で受け取った場合、保険料負担者と受取人が同一人であれば一時所得として所得税の課税対象になります。一時所得の金額は「総収入金額−払込保険料−特別控除額(最高50万円)」で計算し、さらにその金額の2分の1に相当する金額を他の所得と合計して総所得金額を求めます。

保険金の課税関係を整理する際は、契約者(保険料負担者)、被保険者、受取人の関係性を確認することが大切です。被保険者と保険料負担者が同一人であれば相続税、保険料負担者と受取人が異なれば贈与税の対象となります。また、保険期間が5年以内の一時払養老保険などの差益は20.315パーセントの税率による源泉分離課税となり、確定申告ができない点にも留意が必要です。

事業所得や不動産所得がある個人事業主の方で青色申告を行っている場合は、青色申告の要件とメリットを確認しつつ、事業の所得と保険金による一時所得を正しく区分して申告書類を作成してください。国税庁の確定申告書等作成コーナーなどの公的ツールを活用し、正確な税額計算と期限内の手続きを行いましょう。

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