e-Taxによる確定申告のメリット・デメリットとマイナンバーカード方式

確定申告を自宅からオンラインで行いたい個人事業主・会社員向け。e-Taxで確定申告するメリットとマイナポータル連携手順を知りたい

著者: アキスケ

ひと言でわかる

e-Taxを利用すると青色申告特別控除65万円の要件を満たせるほか、添付書類の提出省略や還付金の早期受取(約3週間)などのメリットがある

確定申告を自宅からオンラインで行いたい個人事業主や給与所得者の方は、申告方法によって適用できる控除額や手続きの要件がどのように異なるかを正確に把握しておく必要があります。所得税の確定申告においてe-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用すると、青色申告特別控除65万円の要件を満たすことができ、税務署の窓口に出向くことなく自宅等で確定申告書等の作成および提出を行うことができます。

所得税の確定申告は、毎年1月1日から12月31日までの1年間に生じたすべての所得の金額と、それに対する所得税等の額を計算して確定させるための重要な手続きです。源泉徴収された税金や予定納税額がある場合には、確定申告を行うことによって過不足を精算します。確定申告の手続きを適切に進めるためには、申告期限や提出方法のルールをあらかじめ確認しておくことが不可欠です。

青色申告者に対しては税制上の特典が用意されており、その代表的なものが所得金額から最高65万円、55万円、または10万円を控除できる青色申告特別控除です。最高額である65万円の控除を受けるためには、正規の簿記の原則による記帳を行っていることに加え、e-Taxによる申告書の提出または一定の電子帳簿保存を行っていることが要件となります。

国税庁のウェブサイトに開設されている確定申告書等作成コーナーを利用すれば、画面の案内に沿って金額を入力するだけで申告書や各種明細書を自動的に作成できます。本稿では、確定事実に基づいてe-Taxを利用した確定申告の手続き、青色申告特別控除の各要件、申告が必要な人と不要な人の基準について詳しく解説します。

確定申告で65万円の青色申告特別控除を受けるにはe-Taxの利用が必要か

青色申告者が最高額である65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、原則として申告期限までにe-Taxを使用して確定申告書等の提出を行うか、優良な電子帳簿保存を行っている必要があります。国税庁タックスアンサーNo.2072(令和7年4月1日現在法令等)によると、65万円の控除を受けるための第一の前提として、55万円の青色申告特別控除の要件をすべて満たしていることが求められます。

55万円の青色申告特別控除を満たすための要件は、不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営んでいること、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則(一般的には複式簿記)により記帳していること、そして記帳に基づいて作成した貸借対照表、損益計算書および所得の金額の計算に関する明細書を確定申告書に添付し、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに提出することです。

上記の55万円の要件を満たした上で、その年分の所得税の確定申告書、貸借対照表、損益計算書等の提出を、確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して行うことにより、控除額が65万円へと拡大されます。このとき、確定申告書、貸借対照表、損益計算書等をイメージデータで送信することは認められておらず、正規のデータ送信を行う必要があります。

e-Taxによる申告を行わない場合であっても、その年分の事業に係る仕訳帳および総勘定元帳について、電子帳簿保存法に定められた優良な電子帳簿の要件を満たして電子データによる備付けおよび保存を行い、一定の事項を記載した届出書を提出していれば、65万円の控除を受けることが可能です。青色申告特別控除の要件を正しく理解し、自らの事業環境に適した方法を選択することが重要です。

なお、還付申告書等を提出する方であっても、55万円または65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに当該申告書を提出する必要があります。期限を過ぎて提出した場合には、これらの控除を受けることができなくなるため注意が必要です。

青色申告特別控除の控除額は要件によってどのように異なるか

青色申告特別控除には、事業規模や記帳方法、提出形態に応じて65万円、55万円、10万円の3種類の控除額が設けられています。それぞれの区分ごとに満たすべき条件が国税庁の法令解釈通達等によって厳格に定められており、適用を受けるためには要件の確認が必須となります。

事業所得または不動産所得を生ずべき事業を営んでおり、複式簿記による記帳と貸借対照表・損益計算書の添付を行い、翌年3月15日までに申告書を提出した上でe-Tax申告または優良な電子帳簿保存を行うと65万円控除となります。一方で、e-Taxや電子帳簿保存を行わずに書面等で提出した場合は55万円控除が適用されます。これらの要件に該当しない青色申告者は、単式簿記等の記帳であっても10万円の青色申告特別控除を受けることができます。

控除額 対象所得 記帳方法 提出書類 提出期限 提出方法・保存要件
65万円 事業所得・不動産所得 正規の簿記の原則(複式簿記) 申告書、損益計算書、貸借対照表、所得の金額の計算に関する明細書 翌年3月15日まで e-Taxによる提出 または 優良な電子帳簿保存
55万円 事業所得・不動産所得 正規の簿記の原則(複式簿記) 申告書、損益計算書、貸借対照表、所得の金額の計算に関する明細書 翌年3月15日まで 書面提出等(e-Tax・優良電子帳簿保存なし)
10万円 事業所得・不動産所得・山林所得 簡易帳簿(単式簿記等) 確定申告書、青色申告決算書等 申告期限内または期限後 要件の指定なし

現金主義による所得計算の特例を選択している事業者は、55万円および65万円の青色申告特別控除を受けることはできません。この現金主義による所得計算の特例とは、その年の前々年分の事業所得および不動産所得の金額の合計額が300万円以下である青色申告者が、収入や必要経費の計上時期を現金の出し入れを基準として計算できる特例であり、適用には事前の届出が必要です。現金主義を選択した場合は10万円控除の対象となります。

控除額の適用にあたっては所得金額の制限もあります。不動産所得の金額または事業所得の金額の合計額が55万円(または65万円)より少ない場合には、その合計額が限度となります。この合計額は損益通算前の黒字の所得金額の合計額を指すため、いずれかの所得に損失が生じている場合には、その損失をないものとして合計額を計算します。また、控除は不動産所得の金額、事業所得の金額から順次行われます。10万円控除の場合も同様に、不動産所得、事業所得、山林所得の黒字の合計額が限度となり、不動産所得、事業所得、山林所得の順に控除されます。青色申告を行う際は、これらの所得計算ルールに留意してください。

自宅等から申告できる確定申告書等作成コーナーの機能とは

国税庁ホームページに設置されている「確定申告書等作成コーナー」は、自宅等のパソコンやスマートフォンから画面の案内に沿って金額等を入力することにより、確定申告書等を作成・提出できるシステムです。税務署の開庁時間に窓口へ行く負担を軽減し、計算誤りを防ぐための仕組みが整えられています。

確定申告書等作成コーナーを利用すると、収入金額や必要経費、各種所得控除などの必要な項目を入力するだけで、所得税額や控除額が自動的に計算されます。必要な付表や各種明細書も画面への入力によって自動的に作成されるため、書類作成の手間を大幅に削減することができます。

作成した申告データは、そのままe-Tax(国税電子申告・納税システム)を利用して送信することができます。これにより、税務署へ紙の書類を郵送したり持参したりすることなく、オンライン上で申告手続きを完了させることが可能です。65万円の青色申告特別控除を適用するための電子提出要件も、確定申告書等作成コーナーからe-Tax送信を行うことで満たすことができます。

申告書の作成にあたっては、日々の記帳データを適切に整理しておくことが重要です。複式簿記による正確な帳簿を作成するためには、各種取引を管理できる会計ソフトを活用してデータを整理し、スムーズに申告書作成へ連携できる体制を整えておくことが推奨されます。

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所得税の確定申告が必要となる人と不要な人の判断基準とは

所得税の確定申告は、すべての個人に義務付けられているわけではなく、所得金額や控除額、給与の受取状況などに応じて申告の要否が法律上明確に区切られています。国税庁タックスアンサーNo.2020(令和7年4月1日現在法令等)に基づき、確定申告をする必要がある人と不要な人の要件を整理します。

確定申告をする必要があるのは、その年分の所得金額の合計額が所得控除の合計額を超える場合で、その超える額に対する税額が、配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅借入金等特別控除額の合計額を超える人です。ただし、控除しきれなかった外国税額控除の額、源泉徴収税額または予定納税の額がある場合を除きます(この取扱いは提出期限が令和4年1月1日以後となる確定申告書について適用されます)。

一方で、一定の給与所得者や公的年金受給者については、確定申告をしなくてもよい特例が定められています。給与所得者の場合、給与の収入金額が2,000万円以下であり、かつ給与を1か所から受けていてその全部について源泉徴収されている人で、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下である人等は確定申告をする必要がありません。

区分 対象者の条件 所得金額等の要件 確定申告の要否
事業所得者等 事業所得・不動産所得等を有する人 所得金額の合計額が所得控除の合計額を超え、税額が配当控除・住宅借入金等特別控除を超える場合 必要
給与所得者 給与収入2,000万円以下・1か所から給与を受給 給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下 不要
給与所得者 給与収入2,000万円以下・1か所から給与を受給 給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円を超える 必要
年金受給者 公的年金等の収入金額が400万円以下(全部源泉徴収対象) 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下 不要
年金受給者 公的年金等の収入金額が400万円超、または源泉徴収対象外がある 公的年金等に係る雑所得以外の所得金額にかかわらず該当 必要

国内において公的年金等の支払を受けている人については、次の3つの要件のすべてに該当する場合に確定申告をする必要がありません。第1にその年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であること、第2にその公的年金等の全部が源泉徴収の対象となっていること、第3にその年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下であることです。なお、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書の提出先であって年金額が一定額未満のため源泉徴収を要しないとされているものも源泉徴収の対象に含まれます。

これらの申告不要の基準に該当する場合であっても、医療費控除の適用などによって税金の還付を受けるために申告を行うことは可能です。ご自身の収入形態がどの区分に属するかを慎重に判断することが求められます。

確定申告の申告期間と提出書類の区分はどう定められているか

所得税の確定申告を行う際には、法律で定められた申告期間内に適切な様式の書類を所轄税務署に提出しなければなりません。原則として、確定申告の期間はその年の翌年2月16日から3月15日までとされており、申告の期限も原則として翌年3月15日です。

所得税の手続きにおいて提出する主な書類は確定申告書等ですが、申告する所得の種類や計算内容に応じて追加の様式を使用する必要があります。例えば、土地や建物の譲渡所得、株式等の譲渡所得がある場合には「申告書第三表(分離課税用)」を確定申告書と併せて使用します。

また、その年の所得金額の計算上生じた損失の金額をその年の翌年以後に繰り越す場合などには、「申告書第四表(損失申告用)」を申告書と併せて提出します。事業から生じた赤字を適切に処理するためには、これらの別表を漏れなく添付して手続きを行うことが不可欠です。

青色申告者が55万円または65万円の青色申告特別控除を受けるためには、確定申告書に加えて、正規の簿記の原則により作成した貸借対照表、損益計算書、所得の金額の計算に関する明細書を添付し、適用を受ける金額を記載して翌年3月15日までに提出する必要があります。白色申告と青色申告の違いとして、青色申告ではこれらの詳細な決算書類の提出が義務付けられている点が挙げられます。

なお、確定申告書の添付書類等に関する詳細な案内は国税庁の「所得税及び復興特別所得税の手引き」に掲載されているため、申告書を提出する前に所定の書類が揃っているか確認することが重要です。

電子帳簿保存法に基づく帳簿書類の保存方法と改正点

事業者が税法上保存を義務付けられている帳簿書類については、納税者の事務負担やコストの軽減を図るため、一定の要件の下でコンピュータ作成の帳簿書類を紙に出力することなく、ハードディスクなどに記録した電子データのままで保存できる制度が電子帳簿保存法によって設けられています。

従来の制度では電子データ保存を行う際に税務署長の事前承認が必要とされていましたが、法令改正により令和4年1月1日から、帳簿書類を電子データのままで保存する場合に必要な税務署長の事前承認は不要となりました。これにより、要件を満たせば速やかに電子データによる保存を開始できる環境が整備されています。

青色申告特別控除において、e-Taxによる申告書の送信を行わずに65万円の控除の適用を受けるためには、その年分の事業における仕訳帳および総勘定元帳について、優良な電子帳簿の要件を満たして電子データによる備付けおよび保存を行う必要があります。令和4年分以後の適用を受けるためには、一定の事項を記載した届出書を提出することが求められます。

ただし、既に電子帳簿保存の要件を満たして65万円の青色申告特別控除の適用を受けていた方が、令和4年分以後も引き続き当該要件を満たしている場合には、改めて一定の事項を記載した届出書を提出する必要はありません。電子帳簿保存を行うか、e-Taxによる申告書送信を行うかのいずれかの方法を満たすことで、65万円控除が維持されます。

よくある質問

確定申告の期限に遅れた場合でも65万円の青色申告特別控除は受けられますか?

確定申告期限(翌年3月15日)までに申告書を提出しなかった場合、65万円および55万円の青色申告特別控除の適用を受けることはできません。期限後に申告書を提出した場合は、10万円の青色申告特別控除のみが適用されます。

還付申告書等を提出する方であっても、55万円または65万円の青色申告特別控除の適用を受けるためには、その年の確定申告期限(翌年3月15日)までに申告書を提出することが法令上の必須要件となっています。期限を過ぎると控除額が大きく減少するため、必ず申告期限内に提出を完了させる必要があります。

給与所得がある会社員でも確定申告が不要になる条件はありますか?

給与の収入金額が2,000万円以下で給与を1か所から受けており、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下である人は確定申告をする必要がありません。この条件に該当する場合、年末調整によって所得税の精算が完了します。

ただし、給与の収入金額が2,000万円を超える人や、2か所以上から給与の支払を受けている人、副業などの給与所得・退職所得以外の所得金額が20万円を超える人は、所轄税務署への確定申告が必要となります。

公的年金を受給している場合に確定申告をしなくてもよい基準は何ですか?

その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下でその全部が源泉徴収の対象となっており、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合は確定申告をする必要がありません。これら3つの要件をすべて満たす必要があります。

公的年金等の収入金額が400万円を超える場合や、年金以外の所得金額が20万円を超える場合には申告義務が生じます。また、確定申告が不要な場合であっても、所得控除の追加等によって源泉徴収された税金の還付を受けるために確定申告を行うことは可能です。

青色申告特別控除で65万円を受けるための提出方法に指定はありますか?

確定申告書の提出期限までにe-Tax(国税電子申告・納税システム)を使用して申告書等のデータを送信するか、仕訳帳および総勘定元帳について優良な電子帳簿保存を行っている必要があります。書面による提出のみでは55万円控除となります。

なお、確定申告書、貸借対照表、損益計算書等をイメージデータで送信する方法は認められていません。e-Taxホームページの案内に従い、正規のデータ形式で送信を行うことが求められます。

所得金額が65万円より少ない場合の控除額はどうなりますか?

不動産所得の金額または事業所得の金額の合計額が65万円より少ない場合には、その合計額が控除の限度額となります。控除額が所得金額を上回って所得がマイナスになることはありません。

この合計額は損益通算前の黒字の所得金額の合計額を指し、いずれかの所得に損失が生じている場合はその損失をないものとして計算します。また、控除は不動産所得の金額、事業所得の金額から順次行われます。

e-Taxを活用した確定申告の手続きを適切に進めるために

e-Taxを利用した確定申告は、65万円の青色申告特別控除の適用要件を満たすだけでなく、確定申告書等作成コーナーを活用して自宅等から正確な書類作成と提出を完結できる合理的な方法です。申告期間である翌年2月16日から3月15日までの間に、必要な準備を整えておくことが重要です。

申告にあたっては、正規の簿記の原則に基づく記帳、貸借対照表および損益計算書の作成、各種控除の適用条件の確認を正確に行う必要があります。所轄税務署や国税局電話相談センターなどの相談窓口も設置されているため、不明な点がある場合は公式な案内に基づいて確認を行うことが確実な申告につながります。

所得税のルールと電子申告の要件を正しく把握し、期日までに計画的に手続きを進めることで、税制上の特典を最大限に活用した適切な納税管理を実現してください。

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