法人登記で自宅住所を使うリスクとバーチャルオフィスの適法性

会社設立で本店所在地をどこにするか迷っている人向け。自宅住所を公開せずに会社設立登記する方法を知りたい

著者: アキスケ

ひと言でわかる

法人登記の所在地は登記簿謄本や国税庁サイトで一般公開されるため、プライバシー保護の観点からバーチャルオフィスの活用が適法に認められている

会社設立にあたり本店所在地を自宅住所にするか別の拠点にするかで迷う創業者は少なくありません。法人登記の所在地は登記簿謄本や国税庁サイトで一般公開されるため、プライバシー保護の観点からバーチャルオフィスの活用が適法に認められています。

商業登記および法人登記は、取引の安全と円滑を図るために会社の商号や所在地、役員の氏名などを広く公示する制度です。法務局に登記された情報は、登記事項証明書やオンラインの登記情報提供サービスを通じて確認できる状態になります。

国税庁法人番号公表サイトにおいても、法人番号の指定を受けた法人等の基本3情報がインターネット上で公表されます。自宅の住所を本店所在地として登記した場合、その所在地情報は法人番号や商号とともに公表対象となります。

個人の居住関係や生活拠点を保護しつつ事業の拠点を確保する手段として、バーチャルオフィスなどのサービスを利用して本店所在地を登記する方法が広く活用されています。法令上の公開原則と情報提供の仕組みを正確に把握したうえで、適切な所在地を選択することが重要です。

法人登記の所在地情報は広く一般に公示される

商業登記および法人登記は、会社や各種法人の基本的な情報を公示することによって信用の維持を図り、取引の安全と円滑に資することを目的とした公的制度です。会社や法人は、設立の登記を行うことで法人格を取得し、基本的な情報を公示することで信用の維持を図ります。

商業登記の対象となる会社には、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社が含まれます。法人登記の対象には、一般社団法人、一般財団法人、NPO法人、社会福祉法人などの会社以外の様々な法人が含まれます。いずれの組織形態においても、名称や所在地、役員構成などの登記事項を登記所に申請して登録します。

登記される基本的な情報には、商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地、役員の氏名等が含まれます。実体に合った正しい登記が行われるよう、登記申請に際しては裏付けとなる書類を添付する必要があるほか、虚偽の登記申請や登記申請の懈怠に対する罰則も定められています。

登記された情報は、法務局の窓口で交付請求を行う登記事項証明書や印鑑証明書だけでなく、インターネットを利用したオンライン登記情報提供サービスを通じて閲覧することが可能です。取引の相手方や調査を行う第三者は、法務局に足を運ぶことなくオンライン上で商号や本店所在地、代表者の氏名などの登記情報を確認できます。

制度区分主な対象法人主な公示事項制度の目的
商業登記株式会社、合名会社、合資会社、合同会社等商号、本店所在地、役員の氏名等信用の維持、取引の安全と円滑
法人登記一般社団法人、一般財団法人、NPO法人、社会福祉法人等名称、主たる事務所の所在地、役員の氏名等法人格の取得、信用の維持、公示

会社の基本情報を公示する商業登記の仕組みについては、合同会社と株式会社の違いを比較する際にも前提となる重要な基礎知識となります。

国税庁法人番号公表サイトで公表される情報と検索機能の仕組み

国税庁法人番号公表サイトでは、法人番号の指定を受けた法人等の基本3情報がインターネット上で一般に公表されます。基本3情報とは、1.商号又は名称、2.本店又は主たる事務所の所在地、3.法人番号の3つの項目を指します。

法人番号は13桁の半角数字で構成される識別番号です。国税庁法人番号公表サイトを利用することで、商号や所在地、法人番号を指定して該当する法人の基本3情報を検索して閲覧できます。複数の法人番号を指定してまとめて検索する機能も用意されています。

公表サイトにおける検索方法には、名称や所在地などから調べる方法と、法人番号から直接調べる方法が用意されています。名称検索では、部分一致検索や前方一致検索、カタカナによる読み仮名での検索、入力した文字そのままでの検索、英語表記での検索が可能です。英語表記で検索を選択した場合は、英語版法人番号公表サイトに掲載されている法人が検索対象となります。

所在地による検索では、都道府県の選択や7桁の半角数字による郵便番号の指定が可能です。市区町村の絞り込みや、丁目番地等の入力欄を利用した詳細な条件指定にも対応しています。丁目番地等の検索を行う場合、「三丁目」は算用数字の「3」に、「1番1号」は「1-1」に置き換えて入力する規則が定められています。国外に所在地がある法人については、都道府県の選択肢から「国外」を選択し、国外所在地を入力して検索を行います。

検索対象となる法人種別には、国の機関、地方公共団体、株式会社、有限会社、合名・合資・合同会社、その他の設立登記法人、外国会社等、その他が含まれます。公的機関や民間企業・団体の区分での絞り込みや、公表以後の変更履歴、検索対象除外法人、登記記録の閉鎖等が生じた法人を検索対象に含める設定が可能です。検索結果の表示順序は、商号等五十音順(昇順・降順)、商号等アルファベット順(昇順・降順)、所在地順、法人番号順から選択できます。

公表サイトでは画面上での検索や閲覧にとどまらず、基本3情報ダウンロード機能や法人番号システムWeb-API機能が提供されています。これにより、公表されている基本3情報のデータをファイルとして取得したり、外部システムと連携して情報を取得したりすることが可能です。

機能項目設定可能な条件・内容提供されるデータ
基本3情報商号又は名称、本店又は主たる事務所の所在地、法人番号法人の基礎識別情報(13桁の半角数字を含む)
名称検索部分一致、前方一致、読み仮名(カタカナ)、文字そのまま、英語表記条件に合致する法人一覧、変更履歴、英語表記情報
所在地検索都道府県、市区町村、丁目番地等、郵便番号(7桁)、国外所在地指定地域に所在する法人の商号および本店所在地
法人種別選択国の機関、地方公共団体、株式会社、有限会社、合名・合資・合同会社、その他の設立登記法人、外国会社等、その他指定した組織種別の法人情報
データ取得機能基本3情報ダウンロード、法人番号システムWeb-API全件データまたは条件抽出データファイル

新規設立や法人名・所在地の変更登記を行った法人に対しては、国税庁より法人番号に関する情報管理や通知が行われます。各種手続として、法人番号の指定を受けるための届出、名称・所在地等の変更の届出、法人番号等の公表同意、公表同意の撤回などの窓口が設けられています。

自宅住所を本店所在地にして登記する場合に生じる課題

個人事業から法人成りを行う際や新規に会社を立ち上げる際に、自宅の住所をそのまま本店所在地として登記すると、個人の居住地情報が公のデータベースに掲載されます。商業登記の登記事項証明書や国税庁法人番号公表サイトを通じて、建物の所在地や部屋番号が第三者に広く閲覧可能な状態になります。

法人の本店所在地は、取引先への開示だけでなく、Webサイト上の会社概要や契約書の取り交わし、官公庁への提出書類など多様な場面で使用されます。自宅を本店所在地に設定している場合、私生活の拠点と事業の拠点が同一の情報として扱われ、インターネット上の検索エンジンやデータ連携機能を通じて所在地情報が流通します。

賃貸マンションや集合住宅を自宅としている場合、居住用賃貸借契約の規約によって事業利用や法人登記が制限されている事例が存在します。賃貸物件での拠点設定を検討する際は、事前に契約内容を確認する必要があります。賃貸物件でのルールについては、賃貸マンションでの開業ルールの解説でも取り上げられています。

法人化の手続きを進める段階では、事業拠点の住所をどのように管理するかを早期に決定しておくことが求められます。設立の判断基準については、法人化のタイミングを検討する際にも重要な検討事項となります。

バーチャルオフィスを活用した本店所在地の登記と適法性

バーチャルオフィスの住所を会社の本店所在地として登記することは、商業登記の手続きにおいて適法に認められています。会社法や商業登記規則に基づく登記申請手続きにおいて、提供された住所を本店として定款に記載し、管轄法務局へ設立登記を行うことが可能です。

バーチャルオフィスを利用することで、自宅の住所を公開することなく事業用の所在地を確保できます。国税庁法人番号公表サイトや登記事項証明書に記載される所在地は契約したオフィスの住所となるため、個人の居住地情報の露出を避けることが可能です。

登記申請に際しては、実体に合った正しい登記を行うことが法律上定められています。バーチャルオフィスを利用する場合であっても、契約に基づき郵便物の受領体制や連絡窓口としての機能を維持し、事業の実態に応じた管理体制を整えることが求められます。

一人で起業する場合や小規模な法人を立ち上げる場合において、専用の賃貸事務所を契約せずに所在地を取得する選択肢として機能します。郵便物の受取や転送などの管理体制を整えることで、実務上の運用を継続できます。

バーチャルオフィスを活用した事業運営の詳細については、バーチャルオフィスの活用方法や、拠点の選択肢として挙げられるMETSオフィスの特徴を確認することで理解を深められます。一人会社の設立手順については、一人会社の設立手順でも整理されています。

PR

事業用の住所だけ、月270円から用意できます

特定商取引法の表記や請求書に自宅の住所を書きたくないなら、住所だけを借りるという選択があります。METSバーチャルオフィスは新宿三丁目・日本橋兜町・新宿御苑・赤羽の4拠点を自社所有ビルで運営していて、住所利用だけのライトプランは月額270円から(税込)。法人登記まで行うならビジネスプラス(月額1,430円、12ヶ月プランで716円から)が対象プランです。最短で申し込み当日から1営業日後に使い始められます。

月額270円〜(税込) / 全拠点が自社所有ビル / 登記はビジネスプラス以上 / 最短当日〜1営業日

代表取締役等住所非表示措置と本店所在地の公開ルールの違い

商業登記規則等の改正により、代表取締役等住所非表示措置が創設されました。この制度は、登記事項証明書や登記情報提供サービスにおいて、代表取締役等の住所の一部を非表示にすることを可能にする措置です。

代表取締役等住所非表示措置は個人の役員住所を対象とした制度であり、会社の本店所在地自体を非表示にする制度ではありません。会社の本店所在地は、取引の安全や所在確認のために引き続き登記事項証明書や国税庁法人番号公表サイトで全桁が公示されます。

自宅住所を本店所在地として登記している場合、代表取締役等住所非表示措置を適用しても、本店所在地の欄に自宅の住所が表示されます。したがって、本店所在地に自宅住所を用いている限り、自宅の住所を公の記録から完全に非公開とすることはできません。

役員のプライバシー保護を図るためには、代表取締役等住所非表示措置の利用を検討するとともに、本店所在地そのものを自宅以外の事業拠点やバーチャルオフィスに設定することが実務上の手段となります。

区分代表取締役等の住所会社の本店所在地
通常の登記・公表登記事項証明書等に住所が記載される登記事項証明書および国税庁公表サイトで全桁が公示される
住所非表示措置の適用時登記事項証明書等で住所の一部が非表示になる非表示措置の対象外であり、所在地情報がそのまま公示される
自宅を本店登記した場合代表者住所欄を非表示に設定可能本店所在地欄を通じて自宅住所が公表される
バーチャルオフィス利用時代表者住所欄を非表示に設定可能契約オフィスの住所が本店所在地として公表される

役員の変更や再任の登記手続と同様に、住所に関する登記事項の取り扱いについても法令に基づいた正確な申請管理が必要です。

商業・法人登記の手続きとオンライン申請の仕組み

株式会社の設立手続(発起設立)や合同会社の設立手続は、管轄の法務局に対して登記申請書および添付書類を提出して行います。実体に合った正しい登記が行われるよう、定款や出資の払込みを証する書面などの添付が必要です。

登記申請の方法には、法務局窓口への書面提出、郵送による申請、QRコード(二次元バーコード)付き書面申請、電磁的記録媒体の提出、登記・供託オンライン申請システムを利用した申請があります。一人会社の設立登記申請においては完全オンライン申請の活用が推奨されています。

完全オンライン申請による法人設立登記については「24時間以内処理」の取扱いが導入されています。また、オンラインによる定款認証及び設立登記の同時申請の取扱いも整備されています。商業登記規則の改正により、令和3年2月15日からはオンライン申請の利便性向上が図られています。平成30年3月12日からは会社の設立登記のファストトラック化が開始され、商業・法人登記申請書への法人名のフリガナ欄の追加も行われています。

登記事項証明書や印鑑証明書の交付請求についても、登記所窓口での書面請求に加え、オンラインによる交付請求が可能です。請求した証明書は登記所で受け取る場合の取扱いが定められているほか、法務局証明サービスセンターで受け取る方法が選択できます。令和7年4月1日からは登記手数料の改定が実施されています。

申請・手続方式特徴・処理の取扱い主な対象・用途
完全オンライン申請法人設立登記の「24時間以内処理」、定款認証との同時申請株式会社や合同会社の一人会社設立等
QRコード付き書面申請二次元バーコードを付した書面による申請様式窓口または郵送による書面登記申請
電磁的記録媒体提出登記すべき事項を記録した電磁的記録媒体の提出電子データを用いた申請書作成と提出
オンライン交付請求登記事項証明書や印鑑証明書のオンライン請求証明書の登記所受取や証明サービスセンター利用
オンライン登記情報提供制度インターネット上で登記情報を即時に閲覧(登記情報提供サービス)商号、本店所在地、役員等の事前調査・確認

商業登記においては、本店を管轄登記所外に移転する際の印鑑届書の提出が不要とされるなど、手続きの合理化が進められています。休日を会社等の設立の日とすることも可能となっています。

よくある質問

バーチャルオフィスの住所で法人登記することは適法ですか?

バーチャルオフィスの住所を本店所在地として登記することは法律上適法に認められています。会社法および商業登記規則に基づく設立登記手続きにおいて、定款に定めた本店所在地として有効に登記申請を行えます。

実体に合った正しい登記を行うため、契約内容に基づき郵便物の受取や事業上の連絡が可能な体制を維持することが求められます。虚偽の登記申請を防ぐための要件を満たすことで、適法な法人運営を行うことができます。

国税庁法人番号公表サイトではどのような情報が公開されますか?

国税庁法人番号公表サイトでは、法人番号の指定を受けた法人等の基本3情報が公表されます。基本3情報とは、1.商号又は名称、2.本店又は主たる事務所の所在地、3.13桁の法人番号を指します。

公表サイトでは名称や所在地、郵便番号からの検索が可能であり、公表以後の変更履歴や登記記録の閉鎖等が生じた法人の情報も確認できます。データはダウンロード機能や法人番号システムWeb-API機能を通じても提供されています。

代表取締役等住所非表示措置を使えば自宅住所を隠せますか?

代表取締役等住所非表示措置は代表取締役等の個人の住所を非表示にする措置であり、会社の本店所在地を非表示にすることはできません。本店所在地は取引の安全のために引き続き登記事項証明書や国税庁法人番号公表サイトで公示されます。

本店所在地に自宅住所を設定している場合、代表取締役の住所欄を非表示に設定しても、本店の所在地欄を通じて自宅住所が公表されます。自宅住所の公開を防ぐためには、本店所在地をバーチャルオフィス等に設定する必要があります。

法人設立登記の処理を早める申請方法はありますか?

完全オンライン申請を利用して法人設立登記を行うことで、「24時間以内処理」の対象となります。オンラインによる定款認証及び設立登記の同時申請の取扱いも用意されています。

一人会社の設立登記申請などにおいて完全オンライン申請を活用することで、窓口提出に比べて迅速な処理体制を利用することが可能です。申請書の添付書面を電磁的記録で作成するなどの準備を行って申請を進めます。

設立後に本店所在地を変更する場合はどのような手続きが必要ですか?

設立後に本店所在地を変更した場合は、法務局に対して管轄内の本店移転登記または管轄登記所外への本店移転登記を申請する必要があります。登記申請の懈怠に対しては罰則が定められています。

本店を管轄登記所外に移転する際の印鑑届書の提出は不要とされています。登記完了後は、国税庁法人番号公表サイト上の所在地情報にも変更が反映されます。

PR

登記変更の書類、まだ手書きですか?

役員変更・本店移転などの登記変更書類を最短7分で自動作成。司法書士への依頼費用を大幅に節約できます。

司法書士監修 / 最短7分 / オンライン完結