開業届の控えを紛失したときの再発行手順と保有個人情報開示請求

銀行口座開設や各種申請で開業届の控えが必要な個人事業主向け。失くした開業届の控えを取り寄せる方法と必要書類を知りたい

著者: アキスケ

ひと言でわかる

開業届の控えは税務署で即日再発行できないため、税務署窓口または郵送で保有個人情報の開示請求を行うことで再取得できる

銀行口座開設や各種申請の手続きにおいて個人事業の開廃業等届出書の控えの提出を求められたものの、手元にあるはずの書類が見当たらず困っている個人事業主は少なくありません。開業届の控えは税務署で即日再発行できないため、税務署窓口または郵送で保有個人情報の開示請求を行うことで再取得できるという結論になります。

個人が新たに事業を開始した場合には、所得税および源泉所得税ならびに消費税に関する各種届出書等の提出が必要となります。国税庁タックスアンサーNo.2090「新たに事業を始めたときの届出など」(令和8年1月1日現在法令等)に示されている通り、事業開始に伴い所轄税務署に対して所定の手続きを行うことが定められています。

開業時に提出した届出書の控えは、事業を行っている事実を証明する公的な確認書類として活用されます。控えを紛失してしまった場合でも、所轄税務署に記録が保管されているため、法に基づく保有個人情報の開示請求手続きを利用して控えの情報を再取得することが可能です。

事業開始時に提出する各種届出書等には、それぞれ法令で定められた提出期限が存在します。提出期限や手続きの流れを正確に理解しておくことは、個人事業主としての円滑な事業運営や税務手続きを行う上で非常に重要です。

開業届の控えは税務署で即日再発行できるのか

個人事業の開廃業等届出書の控えは、税務署の窓口へ出向いても即日で再発行を受けることはできません。税務署では紛失時の即時再交付に対応する窓口業務を行っていないため、税務署窓口または郵送で保有個人情報の開示請求を行うことで再取得することになります。

新たに事業を開始した際、税務署に対して個人事業の開廃業等届出書を提出すると、提出者が用意した控え用紙に受領日付印が押印されて返却されます。この押印された控えが一般に開業届の控えとして扱われますが、税務署側で控えの予備が保管されているわけではなく、後日窓口で簡易的に再印字や再発行を依頼しても即座に応じることはできません。

そのため、銀行口座開設や事業上の契約締結、各種申請手続きなどで開業届の控えが至急必要になった場合でも、即日での受け取りは不可能であることを前提に行動する必要があります。控えを紛失した事業者は、正式な行政手続きである保有個人情報の開示請求を所轄税務署に対して行う必要があります。

保有個人情報の開示請求によって、税務署に提出・受理された個人事業の開廃業等届出書の開示を受けることができます。再取得を検討する場合は、所轄税務署での開示請求手続きを速やかに進めることが求められます。

保有個人情報開示請求による再取得の手順と窓口はどこか

保有個人情報の開示請求は、所轄税務署の窓口に直接出向くか、あるいは郵送で書類を提出することによって手続きを行います。提出先となるのは申告先等として定められている所轄税務署、または変更後の納税地がある場合は変更後の納税地の所轄税務署となります。

窓口で手続きを行う場合は、管轄する税務署の受付窓口において保有個人情報開示請求書を提出します。その際、請求を行う本人の確認書類の提示などが必要となります。郵送によって請求を行う場合も同様に、必要書類一式を揃えて所轄税務署宛てに送付することで手続きが進行します。

国税に関する相談や手続きの案内については、国税局電話相談センター等で行われています。開示請求の具体的な必要書類や記入方法について不明点がある場合は、国税庁が案内する税についての相談窓口を利用して電話相談を行うことが推奨されます。

年の途中で納税地が変更になっている場合などは、提出先となる税務署が変更後の納税地の所轄税務署となるケースもあります。事前に所轄税務署を確認し、間違いのない窓口に対して請求手続きを行うことが重要です。

所得税に関する代表的な届出書と提出期限一覧

個人が新たに事業を開始した場合には、所得税に関する各種届出書等の提出が必要となります。国税庁タックスアンサーNo.2090(令和8年1月1日現在法令等)において、代表的な届出書等の内容と提出期限が明確に定められています。

所得税に関する主な手続きとしては、個人事業の開廃業等届出書、所得税の青色申告承認申請書、青色事業専従者給与に関する届出書、所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書があります。各種届出書等は税務手続の案内からダウンロードできます。

個人事業の開廃業等届出書は、新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続であり、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までに提出します。所得税の青色申告承認申請書は青色申告の承認を受ける場合の手続であり、原則として青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内)に提出します。

青色事業専従者給与に関する届出書は、青色事業専従者給与額を必要経費に算入する場合の手続で、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合には、その日から2か月以内)に提出します。また、所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書は、事由が生じた日の属する年分の確定申告期限までに提出します。

税目届出書等内容提出期限等
所得税個人事業の開廃業等届出書新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで
所得税所得税の青色申告承認申請書青色申告の承認を受ける場合の手続です。(青色申告の場合には各種の特典があります。)原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内。)
所得税青色事業専従者給与に関する届出書青色事業専従者給与額を必要経費に算入する場合の手続です。青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合には、その日から2か月以内)
所得税所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書住所地に代えて事業所等の所在地等を納税地とする場合、所得税または消費税の申告の際、事業所等の所在地等を申告書の納税地欄に記載し所轄税務署長に提出することで変更できます。ただし、年の途中で納税地の異動または変更がある場合で、国税当局からの各種文書の送付先を異動・変更後の納税地とする意思があるときは、左記申出書を提出することができます。所得税または消費税の確定申告書を提出した日後における納税地は事業所等の所在地になります。また、左記申出書は随時提出することができます。
所得税所得税の棚卸資産の評価方法 ・ 減価償却資産の償却方法の届出書棚卸資産の評価方法および減価償却資産の償却方法の届出をする場合の手続です。次の事由が生じた日の属する年分の確定申告期限まで 棚卸資産: ①事業を開始した場合、②事業を開始した後、新たに他の種類の事業を開始した場合または事業の種類を変更した場合 減価償却資産: ③事業を開始した場合、④既に取得している減価償却資産と異なる種類の減価償却資産を取得した場合、⑤従来の償却方法と異なる償却方法を選定する事業所を設けた場合

日々の記帳や決算の管理を円滑に行うためには、会計ソフトを導入して日頃から帳簿書類や提出書類の電子データを整えておくことも有効です。適切に届出を管理し、確定申告の手続きに備えることが重要です。

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源泉所得税および消費税に関する届出書の提出期限はどう定められているか

源泉所得税および消費税に関する届出書等は、従業員等への給与支払いの有無や、消費税の課税選択状況に応じて提出が必要となります。国税庁タックスアンサーNo.2090(令和8年1月1日現在法令等)に基づき、各手続きの内容と提出期限が定められています。

源泉所得税に関しては、給与等の支払を行う事務所等を開設、移転又は廃止した場合に給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書を開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内に提出します(「個人事業の開廃業等届出書」を提出する場合を除きます(令和8年1月1日以後に開設、移転又は廃止した場合を除きます。))。また、給与の支給人員が常時10人未満である給与等の支払者が、給与等から源泉徴収した所得税の納期について年2回にまとめて納付するという特例の適用を受ける場合には、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を随時提出できます(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます)。

消費税に関しては、免税事業者が課税事業者になることを選択する消費税課税事業者選択届出書、課税期間の短縮を選択する消費税課税期間特例選択届出書、簡易課税制度を選択する消費税簡易課税制度選択届出書があります。これらは原則として適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)に提出します。また、国内事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合の適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)は、免税事業者の場合、登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載して提出します(※事業を開始した日の属する課税期間等の初日から登録を受けようとする場合には、その課税期間中)。

税目届出書等内容提出期限等
源泉所得税給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書給与等の支払を行う事務所等を開設、移転又は廃止した場合の手続です。(「個人事業の開廃業等届出書」を提出する場合を除きます(令和8年1月1日以後に開設、移転又は廃止した場合を除きます。)。)開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内
源泉所得税源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書給与の支給人員が常時10人未満である給与等の支払者が、給与等から源泉徴収した所得税の納期について年2回にまとめて納付するという特例の適用を受ける場合の手続です。随時(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。)。
消費税消費税課税事業者選択届出書免税事業者が課税事業者になることを選択する場合の手続です。適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
消費税消費税課税期間特例選択届出書課税期間の短縮を選択する場合の手続です。適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
消費税消費税簡易課税制度選択届出書簡易課税制度を選択する場合の手続です。原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
消費税適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)国内事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合の手続きです。免税事業者は、登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載して提出(※)

※事業を開始した日の属する課税期間等の初日から登録を受けようとする場合には、その課税期間中となります。これらの届出書等は税務手続の案内からダウンロードして取得することができます。

事業所の所在地変更や納税地の変更が必要な場合の手続き

住所地に代えて事業所等の所在地等を納税地とする場合、所得税または消費税の申告の際、事業所等の所在地等を申告書の納税地欄に記載し所轄税務署長に提出することで変更できます。

年の途中で納税地の異動または変更がある場合で、国税当局からの各種文書の送付先を異動・変更後の納税地とする意思があるときは、所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書を提出することができます。所得税または消費税の確定申告書を提出した日後における納税地は事業所等の所在地になります。また、所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書は随時提出することができます。

事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続きとしては、個人事業の開廃業等届出書を提出する必要があります。この届出書の提出期限は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までとなっています。賃貸マンションでの開業やバーチャルオフィスを活用して新たに事業拠点を設ける場合にも、これらの手続きの対象となります。

申告先等は所轄税務署および変更後の納税地の所轄税務署となります。納税地や事業所所在地に変更が生じた際には、提出すべき届出書や申出書を漏れなく確認し、適切に手続きを行う必要があります。

税務署以外に必要な都道府県税事務所や各行政機関への届出

個人が新たに事業を開始した場合には、税務署への届出だけでなく、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等にも届出書等の提出が必要となる場合があります。

国税庁タックスアンサーNo.2090(令和8年1月1日現在法令等)において、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等にも届出書等の提出が必要となる場合もあるため、各行政機関へ確認することが案内されています。国税に関する手続きだけでなく、地方税や社会保険、労働保険に関する行政機関への手続きも確認することが重要です。

本手続きの根拠法令等としては、所法16、57、144、166、216、217、229、230、所令100、123、所規98、99、消法9、19、21、37、57の2、消令70の4、消規11、13、17が挙げられます。

国税に関する相談については、国税局電話相談センター等で行っています。具体的な疑問や確認事項がある場合は、税についての相談窓口をご覧になって、電話相談を利用することが案内されています。

よくある質問

開業届の控えは税務署の窓口で即日再発行してもらえますか?

開業届の控えは税務署窓口で即日に再発行してもらうことはできません。過去に提出した個人事業の開廃業等届出書の控えを紛失した場合は、税務署窓口または郵送で保有個人情報の開示請求を行うことで再取得する手続きをとることになります。

税務署の窓口業務として控えの即時発行サービスは行われていないため、銀行口座開設や各種契約手続きなどで控えの提出が必要な場合は、所轄税務署に対して保有個人情報の開示請求を行う必要があります。

個人事業の開廃業等届出書の本来の提出期限はいつまでですか?

個人事業の開廃業等届出書の提出期限は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までです。

国税庁タックスアンサーNo.2090(令和8年1月1日現在法令等)に定められている通り、新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続きとして、所轄税務署に提出します。

青色申告の承認を受けたい場合の申請書の提出期限はいつですか?

所得税の青色申告承認申請書の提出期限は、原則として青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までです。

ただし、その年の1月16日以後に新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内に提出する必要があります。青色申告の場合には各種の特典があります。

源泉所得税の納期の特例を受けるための要件と提出期限はどうなっていますか?

給与の支給人員が常時10人未満である給与等の支払者であれば、源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書を随時に提出することができます。

この特例を受けることで、給与等から源泉徴収した所得税の納期について年2回にまとめて納付することが可能となります。原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。

税務署以外にも開業時に届出書を提出すべき行政機関はありますか?

税務署以外にも、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等の各行政機関へ届出書等の提出が必要となる場合があります。

事業の形態や従業員の雇用の有無によって必要な手続きが異なるため、各行政機関への確認が必要です。国税に関する相談は、国税局電話相談センター等の税についての相談窓口で電話相談を利用できます。

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