個人事業主が発行する領収書の印紙税額と受取金額5万円未満の非課税ルール

領収書を発行する個人事業主やフリーランス向け。領収書にいくらの収入印紙を貼るべきかと非課税の判定基準を知りたい

著者: アキスケ

ひと言でわかる

領収書に貼る収入印紙は売上代金の受取金額が5万円未満なら非課税となり、5万円以上100万円以下は200円の印紙税が課税される

事業の取引先や顧客に対して領収書を発行する際、収入印紙を貼る必要があるのか、いくらの印紙税が課税されるのかについて判断を求められる場面があります。領収書に貼る収入印紙は売上代金の受取金額が5万円未満なら非課税となり、5万円以上100万円以下は200円の印紙税が課税されます。

国税庁のタックスアンサー「No.7105 金銭又は有価証券の受取書、領収書」(令和8年4月1日現在法令等)によると、金銭または有価証券の受取書や領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭または有価証券の受取書」に該当し、印紙税の課税対象となります。受取書とは、その受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書をいいます。

印紙税の課税関係を正しく判定するためには、書類の表題だけでなく、受け取る金銭が売上代金に係るものか、売上代金以外のものかを区別することが不可欠です。さらに、作成者が営利を目的として同種の行為を反復継続して行う営業に該当するかどうかによっても非課税の適用区分が異なります。

受取書には「受取書」「領収証」「レシート」「預り書」のほか、請求書や納品書に「代済」などと記入したものも含まれます。印紙税の判定基準と税額の仕組みを把握することで、日々の請求書や領収書の発行業務を法令に即して適正に進めることができます。

受取金額が5万円未満の領収書は印紙税が非課税になる

売上代金に係る受取書を作成する場合、記載された受取金額が5万円未満であれば印紙税は非課税となります。受取金額が5万円以上100万円以下の受取書を作成する場合には、200円の印紙税が課税されます。

国税庁が公表している令和8年4月1日現在法令等に基づく印紙税額一覧表において、売上代金に係る金銭または有価証券の受取書(第17号の1文書)の税額は、受取金額の階層ごとに細かく定められています。受取金額が大きくなるにつれて課税される印紙税額も段階的に増加します。

売上代金の受取書における記載金額別の印紙税額は、次の表の通りに定められています。

記載金額 印紙税額
5万円未満のもの 非課税
5万円以上100万円以下のもの 200円
100万円を超え200万円以下のもの 400円
200万円を超え300万円以下のもの 600円
300万円を超え500万円以下のもの 1,000円
500万円を超え1,000万円以下のもの 2,000円

受取金額が1,000万円を超える売上代金の受取書の税額については、国税庁のコード7141「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」を参照して税額を判定します。他の契約書や証書を含めた印紙税の全体像を確認する場合は、印紙税の金額一覧を合わせて確認することで税額の誤りを防止できます。

また、売上代金の受取書であっても、営業に関しない金銭または有価証券の受取書に該当する場合は非課税となります。

印紙税における売上代金とそれ以外の金銭受取の違いは何か

金銭または有価証券の受取書は、受け取る金銭または有価証券が売上代金に係るものか、それ以外のものかによって課税される税額の区分が異なります。受取金額が5万円以上の場合、売上代金の受取書は金額に応じて税額が上がりますが、売上代金以外の受取書は一律200円となります。

印紙税法における売上代金とは、資産を譲渡しもしくは使用させること(その資産に係る権利を設定することの対価を含みます。)または役務を提供することによる対価(手付けを含みます。)、すなわち何らかの給付に対する反対給付であることをいいます。商品やサービスの提供に対して受け取る金銭は売上代金に該当します。

一方、何らかの給付に対する反対給付に該当しない金銭の受取は、売上代金以外の受取書として取り扱われます。具体的には、借入金、担保としての保証金、保険金や損害賠償金などは売上代金に該当しません。

売上代金以外の金銭または有価証券の受取書(第17号の2文書)の税額は、次の表の通りに定められています。

記載金額 印紙税額
5万円未満のもの 非課税
5万円以上のもの 200円

売上代金以外の受取書についても、記載金額が5万円未満である場合および営業に関しないものは非課税となります。受け取った金銭が売上代金に該当するかどうかを取引の性質から正確に分類することが、正しい印紙税額を算出する前提となります。

個人である商人と商人以外の個人で営業の扱いはどう分かれるか

営業に関しない金銭または有価証券の受取書は非課税と定められており、個人である商人の行為は営業に該当しますが、商人以外の個人の行為は営業には当たりません。そのため、同じ個人の金銭受取であっても事業としての取引か私的な取引かによって印紙税の課税関係が分かれます。

印紙税法において営業とは、一般通念による営業をいい、おおむね営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことをいいます。株式会社などの営利法人や個人である商人の行為は営業に該当するため、作成する受取書には印紙税が課税されます。

これに対して、公益法人や商人以外の個人の行為は営業には当たらないため、受取書を作成しても非課税文書として取り扱われます。個人事業主が事業用の売上代金を受領して領収書を発行する場合は個人である商人の行為に該当し、記載金額が5万円以上であれば印紙税の納税義務が生じます。

事業取引における各種契約の締結や証明書の作成にあたっては、取引の主体と内容を明確にしておくことが重要です。業務委託に関する契約書面の取り扱いについては、委託契約書の書き方と印紙税において文書の種類や課税区分を把握することができます。

レシートや代済の請求書も第17号文書の受取書に該当する

書類の表題が領収書という名称でなくても、金銭または有価証券の受取事実を証明するために作成された証拠証書であれば、印紙税額一覧表の第17号文書「金銭または有価証券の受取書」に該当します。受取書としての実質を備えている書類はすべて印紙税の課税対象となります。

具体的には、「受取書」「領収証」「レシート」「預り書」はもちろんのこと、受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」「相済」「了」などと記入したものや、お買上票などでその作成の目的が金銭または有価証券の受取事実を証明するものであるときは、金銭または有価証券の受取書に該当します。

印紙税法に規定する有価証券とは、財産的価値のある権利を表彰する証券であって、その権利の移転、行使が証券をもってなされることを要するものをいい、金融商品取引法に定める有価証券に限りません。小切手や約束手形などの有価証券を受け取った際に発行する受取書も第17号文書として課税判定の対象となります。

請求書や領収書を発行する際は、書類の様式や文言が印紙税法上の受取書に該当するかどうかをあらかじめ確認しておく必要があります。取引先との請求業務における記載事項の整備については、インボイスの書き方を参考にして適切な書類作成を行うことが推奨されます。

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売上代金と売上代金以外の金額が混在する場合の記載金額の判定基準

1通の受取書に売上代金に係る金額と売上代金以外の金額が併記されている場合、記載金額が区分されているか否かによって印紙税額の判定方法が異なります。区分記載の有無が記載金額の決定と5万円未満の非課税判定に影響を与えます。

金銭または有価証券の受取書の記載金額を、売上代金に係る金額とその他の金額とに区分することができるときは、売上代金に係る金額のみが記載金額となります。ただし、非課税文書である「記載された受取金額が50,000円未満の受取書」であるかどうかの判断は、売上代金に係る金額とその他の金額との合計額により行います。

金銭または有価証券の受取書の記載金額を売上代金に係る金額とその他の金額とに区分することができないときは、その金額が売上代金に係る金額として受取書の記載金額となります。区分記載を欠く場合は受取金額の全額が売上代金として判定され、高い税率が適用される要因となります。

受取書の作成において消費税等の額が区分記載された場合の記載金額の取り扱いについてはコード7124、営業に関しない受取書の判定についてはコード7125、第5号文書から第20号文書までの印紙税額についてはコード7141に関連する定めが置かれています。

請負契約書や手形と領収書では非課税となる金額基準が異なる

印紙税法における非課税基準は文書の号数ごとに個別に定められており、第17号文書の受取書が5万円未満非課税であるのに対し、請負契約書や手形では異なる非課税金額基準が適用されます。文書の種類に応じた基準額の把握が必要です。

国税庁のタックスアンサー「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」(令和8年4月1日現在法令等)によると、第1号文書および第2号文書(請負に関する契約書)は記載された契約金額が1万円未満の場合に非課税となります。また、第3号文書(約束手形または為替手形)は手形金額が10万円未満の場合に非課税と定められています。

主な課税文書における非課税基準と記載金額に対する税額の区分は、次の表の通りです。

文書の種類 非課税基準 最低課税区分の税額
第1号文書(不動産譲渡・消費貸借等) 記載された契約金額が1万円未満 1万円以上10万円以下:200円
第2号文書(請負に関する契約書) 記載された契約金額が1万円未満 1万円以上100万円以下:200円
第3号文書(約束手形または為替手形) 記載された手形金額が10万円未満 10万円以上100万円以下:200円
第17号文書(売上代金の受取書・領収書) 記載された受取金額が5万円未満 5万円以上100万円以下:200円

なお、第1号文書または第2号文書と、第3号文書から第17号文書とに該当する文書で、第1号文書または第2号文書に所属が決定されるものは、記載された契約金額が1万円未満であっても非課税文書とはなりません。

事業を運営する上で生じる契約書や領収書の費用管理を適正に行うためには、経費管理のルールを整理することが不可欠です。事業活動に伴う経費の取り扱い全般については、フリーランスの経費を確認して帳簿付けを進めることが求められます。

よくある質問

領収書に代済と書いた請求書にも収入印紙を貼る必要がありますか?

受取事実を証明するために請求書や納品書などに「代済」「相済」「了」などと記入したものは、印紙税法上の第17号文書「金銭または有価証券の受取書」に該当するため、受取金額が5万円以上であれば印紙税が課税されます。

受取書とはその受領事実を証明するために作成し、その支払者に交付する証拠証書を指します。文書の名称が請求書であっても、金銭または有価証券の受取事実を証明する目的で作成された場合には受取書として取り扱われます。売上代金の受取金額が5万円未満なら非課税ですが、5万円以上100万円以下の場合は200円の収入印紙を貼付する必要があります。

借入金や保証金を受け取ったときの領収書の印紙税額はいくらですか?

借入金や担保としての保証金、保険金や損害賠償金などは売上代金に該当しないため、記載金額が5万円以上であれば一律200円の印紙税が課税されます。

売上代金とは、資産を譲渡しもしくは使用させることまたは役務を提供することによる対価をいいます。何らかの給付に対する反対給付に該当しない金銭の受取書は「売上代金以外の受取書」に分類されます。記載金額が5万円未満のものは非課税となり、5万円以上のものは金額の多寡に関わらず200円となります。

売上代金がちょうど5万円の領収書にはいくらの収入印紙が必要ですか?

売上代金の受取金額が5万円である領収書には、200円の印紙税が課税されます。

印紙税法において非課税とされるのは記載金額が「5万円未満」の受取書です。記載金額が「5万円以上100万円以下」の区分に該当する場合は200円の税額が適用されるため、受取金額が5万円ちょうどの受取書は非課税にはならず、200円の収入印紙を貼付して消印を行う必要があります。

個人事業主が事業に関係のない私的な金銭を受け取った領収書に印紙税はかかりますか?

営業に関しない金銭または有価証券の受取書は非課税と定められているため、商人以外の個人としての私的な行為による受取書には印紙税は課税されません。

印紙税法における営業とは、一般通念による営業をいい、おおむね営利を目的として同種の行為を反復継続して行うことをいいます。個人である商人の行為は営業になりますが、商人以外の個人の行為は営業には当たりません。個人事業主であっても事業と無関係な私的取引によって交付する受取書は営業に関しない受取書として非課税となります。

受取金額が1,000万円を超える売上代金の受取書の印紙税額はどこで確認できますか?

受取金額が1,000万円を超える売上代金の受取書の税額は、国税庁のコード7141「印紙税額の一覧表(その2)第5号文書から第20号文書まで」で確認できます。

タックスアンサーNo.7105では、売上代金の受取書について受取金額が500万円を超え1,000万円以下の税額(2,000円)までが掲載されています。1,000万円を超える受取金額に対する具体的な印紙税額はコード7141に定められた基準に従って判定します。

まとめ:受取金額と取引内容を正しく区分して印紙税を判定する

領収書に貼る収入印紙は売上代金の受取金額が5万円未満なら非課税となり、5万円以上100万円以下は200円の印紙税が課税されます。受取書には領収証だけでなくレシートや代済と記入した請求書も含まれ、受取金額と取引区分に応じた適正な納税が求められます。

受け取る金銭が売上代金か売上代金以外かによって適用される税率構造が異なるほか、営業に関しない個人の受取書は非課税となります。複数の金銭が混在する場合は、金額の区分記載を行うことで適切な記載金額の判定が可能になります。日常的な証憑整理や請求処理においては、クラウド会計ソフトなどのシステムを活用して取引区分と証拠証書を正しく管理することが実務上の効率化につながります。

印紙税の取り扱いは、印紙税法別表第一の十七、印基通25、34、60、印基通別表第一第17号文書の1、10~15、22~26などの根拠法令等に基づいて厳格に定められています。法令に基づいた正確な区分と税額判定を行うことが重要です。

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