所得金額調整控除の適用要件と年末調整・確定申告での計算方法

給与収入が850万円を超えて子どもがいる人や給与と年金の両方がある人向け。所得金額調整控除の対象者要件と控除額の計算方法を知りたい

著者: アキスケ

ひと言でわかる

給与収入850万円超で23歳未満の扶養親族等がいる場合や給与と公的年金の両方がある場合に、給与所得から最高15万円が控除される

給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者で扶養親族等がいる方や、給与所得と公的年金等の双方がある方は、税負担を調整する仕組みである所得金額調整控除の適用対象となります。所得金額調整控除とは、一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除する制度です。

令和7年4月1日現在法令等に基づく国税庁タックスアンサーNo.1411によると、所得金額調整控除には「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」と「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」の2種類の控除が設けられています。対象税目は所得税であり、給与所得のある方が対象となります。

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は年末調整において適用することができ、給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除は確定申告を通じて適用します。それぞれの適用対象者要件や計算方法を正確に確認し、適正な手続きを進めることが重要です。

所得金額調整控除には2種類の適用区分が存在する

所得金額調整控除には、給与等の収入金額が850万円を超える方を対象とした区分と、給与所得と公的年金等に係る雑所得の双方を有する方を対象とした区分の2種類があります。所得金額調整控除とは、一定の給与所得者の総所得金額を計算する場合に、一定の金額を給与所得の金額から控除する制度です。

第1の区分は「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」です。その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者で、本人が特別障害者に該当する者、年齢23歳未満の扶養親族を有する者、または特別障害者である同一生計配偶者や扶養親族を有する者に適用されます。この区分は年末調整において適用することができます。

第2の区分は「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」です。その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、その合計額が10万円を超える者に適用されます。この区分は確定申告等で総所得金額を計算する際に給与所得の金額から控除します。

所得金額調整控除の対象税目は所得税であり、根拠法令等は措法41の3の11、41の3の12、措令26の5、措通41の3の11-1に定められています。給与所得者が自身の状況に合わせて適切な区分を把握し、申告手続きを行うことが求められます。

控除の区分 主な適用対象者 年末調整での適用
子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除 給与等の収入金額が850万円超で、本人が特別障害者、年齢23歳未満の扶養親族を有する、または特別障害者である同一生計配偶者・扶養親族を有する者 適用できる
給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除 給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額があり、その合計額が10万円を超える者 適用できない(確定申告等で控除)

この2種類の控除は目的と対象者が異なっており、要件を満たせば両方の控除が適用される場合もあります。制度の仕組みを理解することで、各種の所得控除や給与所得控除との関係性を整理しやすくなります。

給与収入が850万円を超える場合はどのような要件で控除されるか

給与等の収入金額が850万円を超える居住者が所得金額調整控除の適用を受けるためには、本人または扶養親族等が特定の要件を満たす必要があります。子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、給与等の収入金額が850万円を超える居住者を対象としています。

適用対象者となる第1の要件は、本人が特別障害者に該当する場合です。給与所得者本人が特別障害者に該当し、その年の給与等の収入金額が850万円を超える場合に控除の対象となります。

適用対象者となる第2の要件は、年齢23歳未満の扶養親族を有する場合です。その年の給与等の収入金額が850万円を超える居住者に年齢23歳未満の扶養親族がいる場合、所得金額調整控除の対象となります。

適用対象者となる第3の要件は、特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する場合です。同一生計配偶者や扶養親族が特別障害者に該当し、本人の給与等の収入金額が850万円を超える場合に適用を受けられます。

以上のイ(本人が特別障害者に該当する者)、ロ(年齢23歳未満の扶養親族を有する者)、ハ(特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する者)のいずれかに該当する場合に、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除が適用されます。

区分 該当要件 対象となる条件
イ 本人が特別障害者に該当する者 給与等の収入金額が850万円を超える居住者
ロ 年齢23歳未満の扶養親族を有する者 給与等の収入金額が850万円を超える居住者
ハ 特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族を有する者 給与等の収入金額が850万円を超える居住者

子どもや特別障害者等を有する場合の控除額はどう計算するか

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除額は、給与等の収入金額から850万円を差し引いた金額に10%を乗じて計算します。具体的な計算式は「{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額」と定められています。

給与等の収入金額が1,000万円を超える場合は、計算式における給与等の収入金額を一律に1,000万円として計算します。そのため、給与等の収入金額が1,000万円を超える居住者であっても、計算式上は給与等の収入金額を1,000万円として計算することになります。

算出された控除額に1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。計算結果に端数が生じた場合でも、端数切り上げの規定に基づいて正確に控除額を算出します。

算出された所得金額調整控除額は、総所得金額を計算する際に給与所得の金額から控除されます。給与所得の金額を算出する過程で控除が行われるため、源泉徴収税額の計算や年末調整の計算に直接反映されます。

税額の確認を行う際には、源泉徴収税額の確認ツールなどを活用しながら、正確な計算式に基づいて控除額を把握することが大切です。

夫婦ともに給与収入850万円超なら夫婦双方が控除を受けられる

夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいる場合、夫婦双方が所得金額調整控除の適用を受けることができます。この取扱いは子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除における明確な規定です。

所得税における扶養控除では、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限があります。これに対して、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除には、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。

したがって、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいるような場合には、その夫婦双方が、この控除の適用を受けることができます。

夫婦のどちらか一方が扶養控除の適用を受けている場合であっても、所得金額調整控除については要件を満たす限り夫婦の双方がそれぞれ申告書を提出して適用を受けることが可能です。

このように、扶養控除の取扱いと所得金額調整控除の取扱いは法的な規定が異なるため、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超える世帯ではそれぞれの年末調整で漏れなく申告することが大切です。

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給与所得と公的年金等の双方がある場合の適用要件と控除額はどうなるか

給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額の両方があり、その合計額が10万円を超える居住者は、給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除の対象となります。この控除は、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額の双方が生じている方の総所得金額を計算する際に適用されます。

控除額の計算式は「{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額」です。給与所得控除後の給与等の金額および公的年金等に係る雑所得の金額は、それぞれ10万円を超える場合は10万円として計算します。

例えば、給与所得控除後の給与等の金額が10万円を超えており、公的年金等に係る雑所得の金額も10万円を超えている場合は、計算式においてそれぞれ10万円が上限として適用され、「{10万円 + 10万円}-10万円」という計算によって控除額が算出されます。

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除と、給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除の両方の適用要件を満たす場合は、控除の適用順序が定められています。子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用がある場合は、その適用後の給与所得の金額から控除します。

このように、給与と年金の双方を受け取っている場合は、それぞれの金額を算出した上で所得金額調整控除の適用要件と計算式を確認し、所得税計算ツールなどを利用しながら正確な総所得金額を計算する必要があります。

年末調整や確定申告での申請手続きはどう進めるか

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除を年末調整で受ける給与所得者は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに給与の支払者へ「所得金額調整控除申告書」を提出する必要があります。この手続きは「給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告」の手続きとして行われます。

年末調整において所得金額調整控除の適用を受ける際の手続きに関しては、国税庁の関連コード2676「年末調整で所得金額調整控除の適用を受けるとき」に案内されています。申告書には、要件に該当する事実や対象となる扶養親族・同一生計配偶者の情報等を正確に記載して給与の支払者に提出します。

一方、給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除は、年末調整ではなく確定申告の手続きにおいて総所得金額を計算する際に適用します。国税庁が提供する「確定申告書等の様式・手引き等」に基づき、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額を申告書に記入して控除額を反映させます。

年末調整で申告書を提出しなかった場合や、年の途中で扶養親族等の状況に変動があった場合であっても、翌年に確定申告を行うことによって所得金額調整控除の適用を受けることが可能です。

所得金額調整控除の根拠法令等には、措法41の3の11、41の3の12、措令26の5、措通41の3の11-1が定められています。制度の詳細や個別具体的な確認を行いたい場合は、国税局電話相談センター等をはじめとする税についての相談窓口で電話相談を利用することができます。

よくある質問

共働き夫婦の双方が給与収入850万円超の場合、子ども1人に対して夫婦双方が控除を受けられますか?

夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えており、夫婦の間に1人の年齢23歳未満の扶養親族である子がいる場合、夫婦双方が所得金額調整控除の適用を受けることができます。

所得金額調整控除は、扶養控除と異なり、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。そのため、夫婦双方がそれぞれの給与の支払者に所得金額調整控除申告書を提出することで、双方の給与所得から控除を受けることが可能です。

年末調整で所得金額調整控除の適用を受けるにはいつまでに申告書を提出すればよいですか?

年末調整において所得金額調整控除の適用を受けようとする給与所得者は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに給与の支払者に所得金額調整控除申告書を提出する必要があります。

提出する手続名は「給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告」です。期限までに提出しなかった場合でも、確定申告を行うことによって控除を適用することができます。

給与等の収入金額が1,000万円を超える場合、控除額の計算はどうなりますか?

給与等の収入金額が1,000万円を超える場合は、計算式上の給与等の収入金額を1,000万円として「{1,000万円 - 850万円}×10%」により控除額を計算します。

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除額の計算式は「{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額」と定められています。1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げて控除額を算出します。

給与所得と年金所得の両方がある場合、どのような要件で控除を受けられますか?

その年分の給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額がある居住者で、その合計額が10万円を超える場合に控除を受けることができます。

控除額は「{給与所得控除後の給与等の金額(10万円超の場合は10万円) + 公的年金等に係る雑所得の金額(10万円超の場合は10万円)}-10万円=控除額」の式で算出されます。給与所得と公的年金等に係る雑所得の双方が発生している給与所得者が対象となります。

子ども・特別障害者等の控除と年金所得の控除の両方に該当する場合はどう計算しますか?

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用がある場合は、その適用後の給与所得の金額から、給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除額を控除します。

給与等の収入金額が850万円を超えて年齢23歳未満の扶養親族等がいる要件と、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の金額の合計が10万円を超える要件の双方に該当する場合、まず子ども・特別障害者等の控除を適用し、その適用後の給与所得の金額からさらに控除を行います。

所得金額調整控除を正しく適用して総所得金額を計算する

所得金額調整控除は、給与等の収入金額が850万円を超える世帯や、給与所得と公的年金等に係る雑所得の双方を有する居住者の総所得金額を計算する際に、給与所得から一定額を控除する制度です。令和7年4月1日現在法令等において、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除と給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除の2種類が規定されています。

年齢23歳未満の扶養親族がいる場合などは、年末調整においてその年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに所得金額調整控除申告書を提出することで控除が適用されます。また、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超える場合には、扶養控除と異なり夫婦双方が控除の適用を受けられる点も確認しておく必要があります。

給与所得と公的年金等に係る雑所得の双方がある場合や年末調整で手続きを行わなかった場合は、確定申告書等の様式・手引き等に従って確定申告を行うことで適用を受けられます。制度の適用対象者要件や控除額の計算方法を把握し、適切な手続きを進めることが大切です。

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