医療費控除の明細書の書き方とエクセル作成手順
年間10万円超の医療費を支払った確定申告者向け。医療費控除の明細書の記入方法と領収書の保管ルールを知りたい
ひと言でわかる
医療費控除は領収書の提出が不要な代わりに「医療費控除の明細書」の添付が必須であり、医療通知やエクセルフォーマットを活用して作成する
医療費を多く支払った年に確定申告での負担軽減を検討していても、領収書の提出方法や明細書の作成手順が分からず迷うことがあります。医療費控除は領収書の提出が不要な代わりに「医療費控除の明細書」の添付が必須であり、医療通知やエクセルフォーマットを活用して作成します。
医療費控除とは、その年の1月1日から12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときに受けられる所得税の所得控除です。医療費控除の適用を受けるためには、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付して所轄税務署に提出する必要があります。
確定申告の手続きにおいて領収書の提出は原則として不要とされており、領収書そのものを提出する代わりに医療費控除の明細書を提出する仕組みが採用されています。手元の領収書に基づいて支払先や支払額を集計し、明細書を作成して提出します。
支払った医療費の領収書の枚数が多い場合は、表計算ソフト(エクセルなど)で入力・集計するためのフォーマットである国税庁の「医療費集計フォーム」を活用できます。医療費集計フォームに入力・保存したデータを確定申告書等作成コーナーの医療費控除の入力画面で読み込むことで、効率的に申告書を作成することが可能です。
医療費控除を受けるには確定申告書に明細書の添付が必要である
医療費控除の適用を受けるための手続きは、医療費控除に関する事項その他の必要事項を記載等した確定申告書を所轄税務署に提出することです。その際、医療費の領収書から「医療費控除の明細書」を作成し、確定申告書に添付して提出します。
医療費控除の明細書は、医療費の領収書に記載された支払先や金額などの情報を集計して作成します。国税庁の確定申告書等作成コーナーを利用すれば、画面の案内に沿って金額等を入力することによりご自宅等で確定申告書等の作成・提出ができ、必要な付表や明細書も入力することで自動的に作成されます。
経過措置として、平成29年分から令和元年分までの確定申告については、明細書を確定申告書に添付せず、領収書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することによることも認められていました。しかし、令和2年分以後の確定申告においては、医療費控除の明細書の作成および添付が必要です。
医療費控除の対象となる金額はどのように計算するのか
医療費控除の金額は、実際に支払った医療費の合計額から保険金などで補てんされる金額を差し引き、そこからさらに10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5パーセントの金額)を差し引いた金額であり、最高で200万円です。
医療費控除の対象となる医療費には要件が定められています。納税者が、自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること、そしてその年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であることが要件です。未払いの医療費がある場合は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。
保険金などで補てんされる金額の例としては、生命保険契約などで支給される入院費給付金や健康保険などで支給される高額療養費・家族療養費・出産育児一時金などが該当します。
保険金などで補てんされる金額を計算するにあたっては、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きます。そのため、引ききれない金額が生じた場合であっても他の医療費からは差し引きません。
| 計算項目 | 内容と要件 | 限度額および算出ルール |
|---|---|---|
| 実際に支払った医療費の合計額 | その年の1月1日から12月31日までの間に自己または生計を一にする配偶者・親族のために支払った金額 | 未払いの医療費は現実に支払った年の医療費控除の対象 |
| 保険金などで補てんされる金額 | 生命保険の入院費給付金、健康保険の高額療養費・家族療養費・出産育児一時金など | 給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引き、引ききれない金額は他の医療費から差し引かない |
| 差し引く基礎金額 | 10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は総所得金額等の5パーセントの金額) | 総所得金額等の水準により10万円または総所得金額等の5パーセントを適用 |
| 医療費控除額 | (実際に支払った医療費の合計額-保険金等で補てんされる金額)-差し引く基礎金額 | 最高で200万円 |
医療費通知を添付すると明細書の記載を簡略化できる
医療保険者から交付を受けた医療費通知がある場合は、医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を簡略化することができます。
医療費通知とは、医療保険者が発行する医療費の額等を通知する書類で、一定の必要事項がすべて記載されているものをいいます。記載事項には、1 被保険者等の氏名、2 療養を受けた年月、3 療養を受けた者、4 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称、5 被保険者等が支払った医療費の額、6 保険者等の名称が含まれます。ただし、後期高齢者医療広域連合から発行された書類の場合は3の療養を受けた者を除く事項が記載されているものが該当します。
書面の医療費通知に加えて、インターネットを使用して医療保険者から通知を受けた医療費通知情報で、その医療保険者の電子署名およびその電子署名に係る電子証明書が付されたものも医療費通知として認められます。
令和4年1月1日以後に令和3年分以後の確定申告書を提出する場合は、医療保険者が発行する医療費の額等を通知する書類に代えて、社会保険診療報酬支払基金および国民健康保険団体連合会の医療保険者等の医療費の額を通知する書類に記載すべき事項が記載された書類またはその書類に記録した電子証明書等に係る電磁的記録印刷書面(電子証明等に記録された情報の内容と、その内容が記録された二次元コードが付された出力書面)、あるいは医療保険者等の医療費の額を通知する書類に記載すべき事項を記録した電子証明書等に係る電磁的記録印刷書面を添付することができます。
| 記載項目番号 | 医療費通知に求められる記載事項 | 該当条件・特例事項 |
|---|---|---|
| 1 | 被保険者等の氏名 | すべての医療費通知において記載が必要 |
| 2 | 療養を受けた年月 | すべての医療費通知において記載が必要 |
| 3 | 療養を受けた者 | 後期高齢者医療広域連合から発行された書類の場合は記載不要 |
| 4 | 療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称 | すべての医療費通知において記載が必要 |
| 5 | 被保険者等が支払った医療費の額 | すべての医療費通知において記載が必要 |
| 6 | 保険者等の名称 | すべての医療費通知において記載が必要 |
医療費集計フォームを利用してエクセルで入力・反映する手順とは
国税庁が提供する「医療費集計フォーム」は、支払った医療費の内容を表計算ソフト(エクセルなど)で入力・集計するためのフォーマットです。
医療費集計フォームに入力・保存したデータは、確定申告書等作成コーナーの医療費控除の入力画面で読み込み、反映することができます。医療費の領収書の枚数が多い方は、医療費集計フォームを利用した入力が便利です。
確定申告書等作成コーナーでは、画面の案内に沿って金額等を入力することにより、ご自宅等で確定申告書等の作成・提出ができます。医療費集計フォームのデータを取り込むことで、必要な付表や明細書も自動的に作成されます。
医療費集計フォームの利用対象については制限があります。特例制度であるセルフメディケーション税制の適用を受ける方は、医療費集計フォームをご利用いただけません。通常の医療費控除を申告する場合にのみ利用可能です。
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医療費の領収書は確定申告期限等から5年を経過する日まで保管する
医療費控除の明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、医療費の領収書(医療費通知を添付したものを除きます。)の提示または提出を求める場合があります。
医療費控除の明細書を確定申告書に添付した場合、申告書提出時の領収書の添付や提示は不要となりますが、所轄税務署からの提示または提出の求めに対応できるよう、手元の領収書は確定申告期限等から5年を経過する日まで保管しておく必要があります。
医療保険者から交付を受けた医療費通知を確定申告書に添付した医療費については、領収書の提示または提出を求める対象から除かれます。医療費通知を添付せずに明細書に記載した医療費の領収書について、確定申告期限等から5年を経過する日までの保管が求められます。
通常の医療費控除とセルフメディケーション税制はどちらを選択すべきか
平成29年1月1日から令和8年12月31日までの間に自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の特定一般用医薬品等購入費を支払った場合において、自己がその年中に健康の保持増進および疾病の予防への取組として一定の健康診査や予防接種などを行っているときは、通常の医療費控除との選択により、セルフメディケーション税制(特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例)の適用を受けることができます。
セルフメディケーション税制の控除額は、その年中の特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金等により補填される部分の金額を除きます。)のうち、12,000円を超える部分の金額(88,000円を限度)です。通常の医療費控除とセルフメディケーション税制を重複して適用することはできず、いずれか一方を選択して適用を受けることになります。
セルフメディケーション税制を適用する際の提出書類等は、医療費の領収書から「セルフメディケーション税制の明細書」を作成し、確定申告書に添付します。セルフメディケーション税制の適用を受ける方は医療費集計フォームをご利用いただけないため、専用の明細書を用いて申告します。
セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等の購入費についてはコード1132「セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費」を、提出書類等の詳細についてはコード1129「特定一般用医薬品等購入費を支払ったとき(医療費控除の特例)【セルフメディケーション税制】」を参照して確認します。
| 区分 | 通常の医療費控除 | セルフメディケーション税制(特例) |
|---|---|---|
| 控除額の計算 | (実際に支払った医療費の合計額-保険金等補てん額)-10万円(総所得金額等200万円未満は総所得金額等の5パーセント) | 特定一般用医薬品等購入費の合計額(保険金等補填額を除く)-12,000円 |
| 控除の限度額 | 最高で200万円 | 88,000円 |
| 添付書類 | 医療費控除の明細書(医療費通知の添付で記載簡略化が可能) | セルフメディケーション税制の明細書 |
| 医療費集計フォーム | 利用可能 | 利用不可 |
給与所得者の源泉徴収票は確定申告書への添付が不要である
給与所得のある方について、平成31年4月1日以後、給与所得の源泉徴収票は、確定申告書への添付または確定申告書を提出する際の提示が不要となりました。
源泉徴収票の添付や提示は不要となりましたが、確定申告書を作成する際には引き続き給与所得の源泉徴収票が必要となりますので、税務署等へお越しになる際には忘れずにお持ちいただく必要があります。日頃から会計ソフトなどで帳票を管理している場合でも、確定申告書の作成時には源泉徴収票の記載内容を参照します。
スマートフォンの操作手順については、YouTube「国税庁動画チャンネル」において「スマホ申告(医療費控除の入力方法)」が公開されており、確定申告書等作成コーナーでの画面操作や入力方法を確認することができます。
よくある質問
未払いの医療費はその年の医療費控除の対象になりますか?
未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。
その年の1月1日から12月31日までの間に現実に支払っていない医療費については、請求を受けていてもその年の控除対象に含めることはできません。現実に医療費を支払った年の確定申告において医療費控除の明細書に記載して申告します。
保険金などで補てんされる金額が支払った医療費を超える場合はどうなりますか?
保険金などで補てんされる金額は、その給付の目的となった医療費の金額を限度として差し引きます。
給付の目的となった医療費から差し引いて引ききれない金額が生じた場合であっても、他の医療費からは差し引きません。他の病気や怪我のために支払った医療費の額から超過分を控除する必要はありません。
生計を一にする親族のために支払った医療費は合算できますか?
自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であれば合算して申告できます。
納税者が、自己または生計を一にする親族のためにその年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費である要件を満たしていれば、合算して医療費控除の明細書に記載し、医療費控除の適用を受けることができます。
セルフメディケーション税制で医療費集計フォームは利用できますか?
セルフメディケーション税制の適用を受ける方は、医療費集計フォームをご利用いただけません。
医療費集計フォームは通常の医療費控除の対象となる医療費の内容を表計算ソフト(エクセルなど)で入力・集計するためのフォーマットであるため、セルフメディケーション税制の適用を受ける場合はセルフメディケーション税制の明細書を作成して確定申告書に添付します。
医療費の領収書はいつまで保管する必要がありますか?
医療費控除の明細書の記載内容を確認するため、確定申告期限等から5年を経過する日までの間、保管する必要があります。
確定申告期限等から5年を経過する日までの間、所轄税務署から医療費の領収書(医療費通知を添付したものを除きます。)の提示または提出を求められる場合があります。提示または提出を求められた際に対応できるよう、期間中は領収書を大切に保管しておく必要があります。
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