フリーランスの経費一覧
経費にできるもの・できないものを勘定科目別に解説。家事按分の計算方法、領収書の保管ルールも紹介します。
1. 経費の基本ルール
フリーランスの経費は「事業の売上を得るために必要な支出」であることが条件です。プライベートの支出は経費にできません。
経費として認められる3つの条件
仕事のために使ったお金であること。「この支出がなければ売上が出せなかった」と説明できるかがポイント。
社会通念上、常識的な金額であること。業務に必要でも、過度に高額なものは否認される可能性あり。
領収書・レシート・請求書など、支出を証明できる書類が保存されていること。
2. 勘定科目別 — 経費にできるもの一覧
フリーランスがよく使う勘定科目を、具体例付きで紹介します。
地代家賃
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| 事務所・作業場の賃料 | 自宅兼事務所は家事按分が必要 |
| コワーキングスペースの月額利用料 | 全額経費OK |
| レンタルオフィス | 全額経費OK |
| 駐車場代(事業用車両) | 私用兼用なら按分 |
水道光熱費
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| 電気代 | 自宅兼事務所は使用時間比で按分 |
| ガス代・水道代 | 事業使用分のみ(在宅ワークでは按分しにくい) |
通信費
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| インターネット回線料金 | 自宅兼用なら按分(50〜70%が一般的) |
| スマートフォン料金 | 私用兼用なら按分 |
| レンタルサーバー・ドメイン代 | 全額経費OK |
| Zoom・Slack等のSaaS利用料 | 全額経費OK |
| 切手・郵便料金 | 全額経費OK |
旅費交通費
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| 電車・バス・タクシー代 | 業務目的の移動のみ |
| 出張時の宿泊費 | 業務目的であること |
| 飛行機代 | 業務出張のみ |
| 高速道路料金 | 業務使用分のみ |
| 駐車場代(一時利用) | 業務目的の外出時 |
消耗品費
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| 文房具(ペン・ノート等) | 全額経費OK |
| プリンターインク・コピー用紙 | 全額経費OK |
| USBメモリ・SDカード | 10万円未満なら消耗品 |
| デスク・椅子(10万円未満) | 10万円以上は減価償却 |
| パソコン周辺機器(10万円未満) | キーボード、マウス、モニター等 |
接待交際費
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| 取引先との飲食代 | 相手先・人数・目的をメモ |
| お中元・お歳暮 | 取引先への贈答品 |
| 手土産・慶弔費 | 出金伝票で記録 |
外注費・業務委託費
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| デザイナー・ライターへの外注 | 請求書を保存 |
| プログラミングの業務委託 | 契約書があるとベター |
| 翻訳・通訳費用 | 請求書を保存 |
| 税理士・弁護士・社労士への報酬 | 源泉徴収が必要な場合あり |
源泉徴収が必要な報酬については源泉徴収税 計算ツールで確認できます。
新聞図書費
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| 技術書・ビジネス書 | 事業に関連する書籍 |
| 業界専門誌の定期購読 | 全額経費OK |
| 有料ニュースサイトの購読料 | 事業に関連するもの |
| Udemy・Schoo等のオンライン講座 | 事業スキル向上のため |
広告宣伝費
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| Google広告・SNS広告 | 全額経費OK |
| 名刺・パンフレットの印刷費 | 全額経費OK |
| ポートフォリオサイトの制作費 | 全額経費OK |
| 展示会・イベントの出展費 | 全額経費OK |
支払手数料
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| 振込手数料 | 全額経費OK |
| クラウドソーシングの手数料 | ランサーズ・クラウドワークス等 |
| 決済サービスの手数料 | Stripe・PayPal等 |
保険料
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| 賠償責任保険 | フリーランス向け損害保険 |
| 事務所の火災保険 | 自宅兼用なら按分 |
| 自動車保険(事業用) | 私用兼用なら按分 |
租税公課
| 具体例 | 備考 |
|---|---|
| 個人事業税 | 全額経費OK |
| 固定資産税(事業用) | 自宅兼用なら按分 |
| 自動車税(事業用) | 私用兼用なら按分 |
| 印紙税 | 全額経費OK |
| 登録免許税 | 法人設立時など |
3. 家事按分の計算方法
自宅を事務所としても使っている場合、支出を事業用と私用に按分する必要があります。
按分方法と一般的な割合
| 経費 | 按分基準 | 一般的な割合 |
|---|---|---|
| 家賃 | 面積比 | 事業スペース ÷ 全体面積(20〜50%) |
| 電気代 | 使用時間比 | 業務時間 ÷ 在宅時間(30〜50%) |
| インターネット | 使用割合 | 50〜70% |
| スマートフォン | 使用割合 | 50〜70% |
| 自動車 | 走行距離比 | 業務走行 ÷ 全走行距離 |
家事按分の計算例
家賃10万円、自宅60㎡のうち仕事部屋12㎡の場合:
按分割合 = 12㎡ ÷ 60㎡ = 20%
経費計上額 = 100,000円 × 20% = 月20,000円(年240,000円)
4. 経費にならないもの
よく間違えやすい「経費にできない支出」をまとめます。
| 支出 | 理由 |
|---|---|
| 所得税・住民税 | 税金の計算後に支払うもの。経費ではなく所得控除の対象 |
| 国民健康保険料 | 社会保険料控除の対象(経費ではない) |
| 国民年金保険料 | 社会保険料控除の対象(経費ではない) |
| 生命保険料 | 生命保険料控除の対象(経費ではない) |
| 自分への給料 | 個人事業主は「事業主貸」で処理。経費にならない |
| 借入金の元本返済 | 利息部分は経費OK、元本部分は不可 |
| 罰金・違反金 | 交通違反の反則金など |
| 私的な飲食代 | 家族との食事、友人との飲み会 |
| スーツ代 | 一般的には認められにくい(業務専用でも) |
5. 減価償却が必要な経費
取得価額が10万円以上の資産は、原則として購入年に全額経費にできず、耐用年数に応じて分割して経費計上(減価償却)する必要があります。
フリーランスに多い減価償却資産
| 資産 | 耐用年数 | 例(25万円の場合) |
|---|---|---|
| パソコン | 4年 | 年62,500円 × 4年 |
| カメラ | 5年 | 年50,000円 × 5年 |
| 自動車 | 6年(普通車) | 年41,666円 × 6年 |
| 事務机(金属製) | 15年 | 年16,666円 × 15年 |
少額資産の特例(覚えておくと便利)
- 10万円未満: 全額経費(消耗品費)
- 10〜20万円未満: 3年均等償却(一括償却資産)を選択可能
- 30万円未満: 青色申告なら全額経費にできる特例あり(年間300万円上限)
6. 領収書・レシートの管理
保管期間
| 申告種類 | 保管期間 |
|---|---|
| 青色申告 | 7年間 |
| 白色申告 | 5年間 |
保管のコツ
- 月ごとに封筒にまとめる — A4封筒に月名を書いて投入するだけでOK
- スマホで撮影して電子保存 — 電子帳簿保存法対応のアプリ(freee、マネーフォワード等)を使えばペーパーレス化可能
- クレジットカードの明細 — 事業用カードを分けると管理が楽
領収書がない場合
以下の支出は領収書が出ないことがあります。出金伝票を作成して記録しましょう。
- 電車・バス代(ICカード履歴の印字でもOK)
- 自動販売機の飲料(打ち合わせ用など)
- 慶弔費(ご祝儀・香典)
- 割り勘の飲食代
7. 実体験 — つまずいたポイント
開業前に買ったパソコン(15万円)やセミナー参加費を経費にしていませんでした。後から税理士に指摘されて「開業費」として繰延資産に計上しました。開業準備の支出は必ず記録しておきましょう。
1年目の確定申告で家賃を50%按分していたのですが、「なぜ50%か」の根拠を残していませんでした。面積を測って図面を作成し、写真も撮っておくことをおすすめします。税務調査で聞かれたときに説明できることが大切です。
個人カードで事業の支払いもしていたため、毎月の仕分けが大変でした。事業専用のクレジットカードを作ってからは、明細がそのまま経費記録になるので圧倒的に楽になりました。
8. よくある質問
Q. フリーランスはどこまで経費にできますか?
事業に直接関係する支出であれば経費にできます。「売上を得るために必要な支出か?」が判断基準です。プライベートとの混合支出は、事業使用分のみ家事按分で経費計上します。
Q. 家事按分の割合に決まりはありますか?
法律で定められた割合はありません。合理的な根拠があれば認められます。例: 家賃は面積比、電気代は使用時間比、通信費は使用割合などが一般的です。
Q. レシートがない経費はどうしますか?
出金伝票を作成して記録します。交通費(ICカード履歴の印字も可)、自販機、慶弔費など領収書が出ない支出は、日付・金額・内容・相手先を出金伝票に記入して保存します。
Q. 開業前の支出は経費になりますか?
はい。開業準備のために支出した費用は「開業費」として繰延資産に計上できます。パソコン購入費、セミナー参加費、名刺作成費、交通費などが対象です。任意償却なので、好きなタイミングで経費にできます。
Q. 経費の領収書はいつまで保管が必要ですか?
青色申告の場合は7年間、白色申告の場合は5年間の保管が義務です。電子帳簿保存法により、スマホ撮影での電子保存も認められています(要件あり)。
確定申告の手順や必要書類についてはフリーランスの確定申告ガイドをご確認ください。請求書の書き方は請求書の書き方ガイドにまとめています。