副業で2か所以上から給与をもらう場合の社会保険料と二以上事業所勤務届
本業と副業の両方で社会保険の加入基準を満たした会社員向け。副業先でも社会保険に入ることになった際の手続きと保険料計算を知りたい
ひと言でわかる
2つ以上の事業所で社会保険の加入要件を満たす場合は「二以上事業所勤務届」を提出し、報酬額に応じて各社で保険料を按分して納付する
本業と副業の2か所以上で勤務し、それぞれの職場で健康保険や厚生年金保険の加入要件を満たした場合、社会保険料の納付方法や手続きに疑問を持つ会社員は少なくありません。2つ以上の事業所で社会保険の加入要件を満たす場合は「二以上事業所勤務届」を提出し、報酬額に応じて各社で保険料を按分して納付します。
健康保険および厚生年金保険の被保険者資格を複数の事業所で同時に取得する場合、被保険者は主たる事業所を1つ選択して年金事務所または事務センターへ届出を行います。保険料はそれぞれの事業所から受ける報酬月額を合算して標準報酬月額を決定し、その額に基づいて計算された保険料総額を各事業所の報酬比率で按分して納付する仕組みとなっています。
毎年の標準報酬月額は、7月1日現在で使用されている被保険者を対象に、4月、5月、6月の3カ月間に受けた報酬月額を届け出る「定時決定(算定基礎届)」によって決定し直されます。短時間就労者や特定適用事業所に勤務する短時間労働者については、支払基礎日数の基準に応じた算定方法が定められています。
副業先でも社会保険へ加入することになった際は、提出時期や支払基礎日数の判定ルールを正しく把握することが大切です。副業に伴う社会保険料の試算を行いたい場合は、社会保険料計算ツールを活用して確認することも可能です。
二以上の事業所で社会保険に加入するときは二以上事業所勤務届を提出する
本業と副業の両方で健康保険および厚生年金保険の加入要件を満たした被保険者は、「二以上事業所勤務届」を提出して主たる選択事業所を決定する必要があります。複数の事業所で要件を満たした場合は、自動的に1社だけで完結するわけではなく、公的な届出手続きを行わなければなりません。
二以上事業所勤務届が受理されると、選択した事業所を管轄する事務センターまたは年金事務所が主たる管轄窓口となります。二以上の事業所に勤務する方に関する届出用紙は、6月中旬以降順次、選択事業所を管轄する事務センターから別途送付されます。
標準報酬月額の算定にあたっては、複数の事業所から受ける報酬額が合算されます。合算された報酬月額をもとに標準報酬月額が決定され、全体の保険料額が計算されます。決定された保険料は各事業所で受ける報酬の割合に応じて按分され、それぞれの事業所の給与から控除されて納付されます。
届出書類の提出先は、事務センターまたは管轄の年金事務所です。提出方法には電子申請、電子媒体(CDまたはDVD)、郵送、窓口持参があります。郵送で提出する場合は、算定基礎届送付時に同封されている返信用封筒を使用して提出します。
特定適用事業所の短時間労働者はどのような基準で判定されるか
特定適用事業所に勤務する短時間労働者は、週の所定労働時間が20時間以上、所定内賃金が月額8.8万円以上、学生でないことのすべてに該当する場合に健康保険および厚生年金保険の適用対象となります。副業先の事業所が適用拡大の対象である場合、短時間労働者であっても社会保険の加入基準を満たすことになります。
対象となる短時間労働者とは、「特定適用事業所」「任意特定適用事業所」または「国・地方公共団体に属する事業所」に勤務し、通常の労働者の1週間の所定労働時間または1月の所定労働日数が4分の3未満である方です。これらの事業所に勤務し、基準を満たす短時間労働者は被保険者として扱われます。
特定適用事業所に勤務する短時間労働者の具体的な判定条件は以下の通りです。
| 判定項目 | 加入要件および判定基準 |
|---|---|
| 対象事業所 | 特定適用事業所、任意特定適用事業所、または国・地方公共団体に属する事業所 |
| 労働時間・日数の比率 | 通常の労働者の1週間の所定労働時間または1月の所定労働日数が4分の3未満であること |
| 週の所定労働時間 | 週の所定労働時間が20時間以上あること |
| 所定内賃金 | 所定内賃金が月額8.8万円以上であること |
| 学生区分 | 学生でないこと |
副業で複数の事業所から給与を受け取る場合、社会保険の手続きとともに所得税や住民税の申告状況についても確認しておく必要があります。給与所得や副業にかかる税務の全体像については、副業の税金ガイドで詳細な解説がされています。
定時決定の標準報酬月額は4月から6月の報酬でどのように決定されるか
健康保険および厚生年金保険の定時決定では、毎年7月1日現在で使用されている全被保険者を対象に、4月、5月、6月の3カ月間に受けた報酬月額をもとに標準報酬月額が決定されます。厚生労働大臣はこの届出内容に基づき、毎年1回標準報酬月額を決定し直します。
決定し直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用されます。実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないようにするために、毎年定期的な届出と改定が実施されます。
標準報酬月額の決定方法は、7月1日現在で使用される全被保険者について、同日前3カ月間(4月、5月、6月、いずれも支払基礎日数17日以上)に受けた報酬の総額をその期間の総月数で除して得た額を報酬月額とします。ただし、特定適用事業所に勤務する短時間労働者については、支払基礎日数が11日以上の月を対象として算定します。
届出用紙(算定基礎届)は、6月中旬以降順次、事業所あてに送付されます。この届出用紙には、5月中旬頃までに届出された被保険者の氏名、生年月日、従前の標準報酬月額等が印字されています。事業主は毎年7月10日までに事務センターまたは管轄の年金事務所へ算定基礎届を提出します(7月10日が土曜または日曜の場合は翌営業日が提出期限となります)。
PR
振込手数料を0円にする方法があります
銀行振込しかできない支払いもカードでOK。ポイントも貯まって、支払いを最大60日先延ばしできます。
ポイント還元あり / 支払い最大60日延長 / 年会費無料
短時間就労者の定時決定における支払基礎日数はどのように取り扱うか
短時間就労者の定時決定は、4月、5月、6月の各月における支払基礎日数に応じて区分された基準により行われます。短時間就労者とは、パートタイマー、アルバイト、契約社員、準社員、嘱託社員等の名称を問わず、正規社員より短時間の労働条件で勤務する方を指し、平成18年度からこの定時決定方法が実施されています。
短時間就労者の定時決定では、4月、5月、6月の3カ月間のうち支払基礎日数が17日以上の月が1カ月以上ある場合は、該当月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定します。3カ月間の支払基礎日数がいずれも17日未満である場合は、3カ月のうち支払基礎日数が15日以上17日未満の月の報酬総額の平均をもとに決定します。3カ月間の支払基礎日数がいずれも15日未満の場合は、従前の標準報酬月額にて引き続き定時決定します。
特定適用事業所に勤務する短時間労働者については、支払基礎日数が11日以上である月を基準として算定します。1カ月または2カ月は支払基礎日数が11日以上で他が11日未満の場合は、11日以上の月の報酬月額の平均額をもとに決定します。3カ月とも支払基礎日数が11日未満の場合は、従前の標準報酬月額で決定されます。
| 就労形態の区分 | 支払基礎日数の判定条件 | 標準報酬月額の決定方法 |
|---|---|---|
| 短時間就労者(17日以上あり) | 4月・5月・6月のうち支払基礎日数が17日以上の月が1カ月以上ある場合 | 該当月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定 |
| 短時間就労者(15日以上17日未満あり) | 4月・5月・6月の支払基礎日数がいずれも17日未満で、15日以上17日未満の月がある場合 | 15日以上17日未満の月の報酬総額の平均を報酬月額として標準報酬月額を決定 |
| 短時間就労者(15日未満のみ) | 4月・5月・6月の支払基礎日数がいずれも15日未満の場合 | 従前の標準報酬月額にて引き続き定時決定 |
| 特定適用事業所の短時間労働者(11日以上あり) | 4月・5月・6月のうち支払基礎日数が11日以上の月が1カ月以上ある場合 | 11日以上の月の報酬月額の平均額をもとに標準報酬月額を決定 |
| 特定適用事業所の短時間労働者(11日未満のみ) | 4月・5月・6月の3カ月とも支払基礎日数が11日未満の場合 | 従前の標準報酬月額で決定 |
副業に伴い社会保険料が控除されると、毎月の手取り金額にも影響が生じます。給与の手取り額の計算方法や仕組みについて確認したい場合は、手取り給与ガイドを参考にすることができます。
算定基礎届の提出が不要となる対象者はどのような人か
算定基礎届の提出対象は7月1日現在のすべての被保険者および70歳以上被用者ですが、定められた4つの条件のいずれかに該当する方は提出が不要です。対象外となる条件を把握しておくことで、適切な届出管理が行えます。
算定基礎届の提出が不要となるのは、以下の(1)から(4)のいずれかに該当する方です。
- (1)6月1日以降に資格取得した方
- (2)6月30日以前に退職した方
- (3)7月改定の月額変更届を提出する方
- (4)8月または9月に随時改定が予定されている旨の申し出を行った方
上記(3)および(4)に該当する方については、算定基礎届の報酬月額欄を記入せず空欄としたうえで、備考欄の「3.月額変更予定」に〇を付して提出します。電子媒体申請および電子申請の場合は、(3)および(4)の方を除いて作成します。なお、(4)の方について随時改定の要件に該当しないことが判明した場合は、速やかに算定基礎届を提出する必要があります。
届出書類の留意事項として、「被保険者報酬月額算定基礎届総括表」は令和3年3月に廃止されました。ただし、電子媒体申請に使用する「電子媒体届書総括票」は継続して提出が必要です。
算定基礎届の様式と年間報酬平均による算定申立書類には何があるか
定時決定の届出では、通常の届書様式に加えて、年間報酬の平均で算定する場合に必要となる申立書類が規定されています。事業主は該当する手続きに応じた様式を揃えて提出する必要があります。
定時決定のため4月から6月の報酬月額の届出を行う際の届書様式は、「健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届/厚生年金保険 70歳以上被用者算定基礎届(エクセル)」です。エクセルファイルは利用する端末の設定により印刷位置がずれる場合があるため、印刷の前に余白設定やレイアウトを確認することが推奨されています。
年間報酬の平均で算定する場合の添付書類としては、以下の様式が定められています。
- (様式1)年間報酬の平均で算定することの申立書(ワード)
- (様式2)保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較および被保険者の同意書等(エクセル)
日本年金機構(法人番号4011305001653、〒168-8505 東京都杉並区高井戸西3-5-24)では、手続きの参考資料として「令和8年度 算定基礎届事務説明【動画】」や「算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和8年度)(PDF 12,281KB)」、「標準報酬月額の定時決定および随時改定の事務取扱いに関する事例集(PDF 838KB)」などを提供しています。更新日2026年5月21日の情報(ページID:150020010-768-906-092)においても、届出の手順が案内されています。なお、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う標準報酬月額の特例改定は令和5年2月28日をもって終了しています。
複数の収入や事業所得を適切に管理して会計処理を行う場合は、クラウド会計ソフト比較を活用して日々の帳簿付けを整理することも役立ちます。
よくある質問
副業先でも社会保険の加入条件を満たした場合はどうすればよいですか?
2つ以上の事業所で社会保険の加入要件を満たす場合は「二以上事業所勤務届」を提出し、主たる事業所を選択したうえで報酬額に応じて各社で保険料を按分して納付します。被保険者が手続きを行うことで、管轄の事務センターまたは年金事務所により全体の標準報酬月額が決定されます。
二以上の事業所に勤務する方に関する届出用紙は、6月中旬以降順次、選択事業所を管轄する事務センターから別途送付されます。決定された標準報酬月額から算出された保険料は、各事業所で受ける報酬月額の割合に応じて按分され、それぞれの給与から控除されます。
短時間労働者が社会保険に加入する要件は何ですか?
特定適用事業所、任意特定適用事業所、または国・地方公共団体に属する事業所に勤務し、週の所定労働時間が20時間以上、所定内賃金が月額8.8万円以上、学生でないことのすべてに該当する場合に健康保険および厚生年金保険の加入対象となります。
この要件は、通常の労働者の1週間の所定労働時間または1月の所定労働日数が4分の3未満である短時間労働者を対象として適用されます。基準を満たした被保険者は事業主を通じて資格取得の手続きを行います。
定時決定の算定基礎届はいつまでに提出する必要がありますか?
事業主は毎年7月10日までに、事務センターまたは管轄の年金事務所へ算定基礎届を提出する必要があります。7月10日が土曜または日曜の場合は翌営業日が提出期限となります。
届出用紙は6月中旬以降順次、事業所あてに送付されます。提出方法には電子申請、電子媒体(CDまたはDVD)、郵送、窓口持参があり、郵送の場合は同封されている返信用封筒を使用します。
6月に新しく入社した従業員の算定基礎届は提出が必要ですか?
6月1日以降に資格取得した方は、算定基礎届の提出が不要と定められています。そのため、6月に資格取得した従業員について算定基礎届を提出する必要はありません。
同様に、6月30日以前に退職した方、7月改定の月額変更届を提出する方、8月または9月に随時改定が予定されている旨の申し出を行った方も算定基礎届の提出対象から除外されます。
短時間就労者で4月から6月の支払基礎日数が15日未満の場合はどうなりますか?
4月、5月、6月の3カ月間のうち支払基礎日数がいずれも15日未満の場合は、従前の標準報酬月額にて引き続き定時決定が行われます。
支払基礎日数が17日以上の月が1カ月以上ある場合はその該当月の報酬総額の平均で決定され、いずれも17日未満で15日以上17日未満の月がある場合はその月の報酬総額の平均をもとに決定されます。
PR
確定申告の書類、来年もまた一から作り直しますか?
毎年おなじ集計と転記をやり直しているなら、個人事業主向けのクラウド申告ソフトに切り替える方法があります。やよいの青色申告 オンラインは、どのプランを選んでも確定申告に必要な機能をひととおり使えます。初年度にかかる費用と、自分が申告作業に使っている時間を並べて比べてみてください。
個人事業主向け / 初年度0円はセルフ・ベーシックプランを2027年3月15日までに申し込んだ場合 / どのプランでも全機能が使えます