法人住民税は赤字でも払う?均等割と申告の扱い

一人会社・小規模法人の経営者。赤字決算の法人が、法人税割と均等割を分けて申告要否を確認するための実務ガイド

著者: アキスケ

ひと言でわかる

赤字で法人税額が生じない場合でも、法人住民税の均等割が課税される自治体があります。自治体の申告書と納付額を確認しましょう。

法人の決算で赤字が生じ、国税の法人税額が発生しない状況において、自治体に対して納付する法人市民税の申告や均等割の納付が必要であるか判断に迷う法人の経営者は少なくありません。赤字で法人税額が生じない場合でも、法人市民税の均等割が課税される自治体があります。自治体の申告書と納付額を確認しましょう。

法人市民税は、法人の所得等に応じて課税される法人税割と、所得の有無にかかわらず課税される均等割で構成されています。決算が赤字のため国税の法人税額が生じない事業年度であっても、自治体内に事務所等を有している法人は均等割の納税義務を負う規定になっています。利益が出ていない場合であっても申告手続きそのものが不要になるわけではありません。

自治体への申告手続きを適切に行わない場合、期限後の申告や確認の手間が生じる要因となります。小規模法人や一人会社を運営する経営者にとっても、地方税の確定申告書の提出および均等割額の納付は事業年度ごとの実務です。一人会社の設立や法人の維持運営においては、国税だけでなく地方税の申告義務を正しく把握しておく必要があります。

自治体の窓口や電子申請における規定を把握し、自社の事業年度や事務所の設置状況に応じた正しい税額計算と届出を行う必要があります。自治体の申告書と納付額を確認し、適切な申告納付手続きを進めましょう。

赤字決算でも法人市民税の申告と均等割の納付は必要なのか

赤字決算で法人税額(国税)が生じない場合でも、法人市民税の均等割は課税されることから申告が必要です。法人市民税の確定申告書の提出及び均等割額の納付をしてください。国税の法人税額が生じないことと、地方税の申告納付義務がなくなることは異なります。

横浜市や大阪市などの自治体における規定においても、赤字決算で法人税額(国税)が生じない場合や法人が赤字のため法人税(国税)がかからない場合であっても、法人市民税の均等割額については課税されるため、法人市民税確定申告書の提出と均等割額の納付が必要である旨が明記されています。法人税の確定申告書を税務署に提出するのと同様に、事務所等が所在する市町村の市税事務所等に対しても法人市民税の確定申告書を提出する必要があります。

法人税割が発生しない赤字の事業年度であっても、自治体側は法人の事務所等の所在や事業活動の状況を把握するために申告を求めています。申告書を提出することにより均等割額を確定させ、納付書や電子納税等の方法で均等割額の納付を行う実務の流れとなります。

地方税の申告を怠ると、自治体からの確認や問い合わせが生じる原因となります。住民税や法人市民税の仕組みにおいて、所得に対する課税と事業所の所在に対する均等割の課税は明確に区分されています。赤字の場合であっても所定の申告期限内に申告書の提出と均等割額の納付を完了させることが求められます。

法人市民税を構成する法人税割と均等割の仕組みはどう違うのか

法人市民税は「法人税割」と「均等割」の区分から構成されており、赤字決算の場合に税額が生じなくなるのは法人税割の部分です。国税の法人税額を課税標準として計算される法人税割額が生じない場合でも、均等割額はそのまま課税されます。

法人税割額は、国税である法人税額を課税標準として、各市町村が定める法人税割の税率を乗じて算出されます。したがって、事業年度の決算において赤字となり国税の法人税額が生じない場合には、課税標準が存在しないため法人税割額は計算上生じません。

これに対して均等割額は、法人の所得や利益の有無に関係なく、事務所、事業所または寮等が自治体内に所在している事実に基づいて課税される税金です。自治体の行政サービスを利用する対価として位置づけられており、赤字決算であっても均等割額の計算および納付義務が免除されることは原則としてありません。

自治体によっては、標準税率(地方税法に定められた地方団体が課税する場合に通常よるべき税率)を超える税率によって地方団体が課税を行う「超過課税」を法人市民税の法人税割において実施している場合があります。超過課税を行っている自治体であっても、法人税割の算出根拠となる法人税額(国税)が生じない赤字決算の場合には法人税割額は生じず、均等割額のみを納付することになります。

事業年度の途中で事務所等を開設または廃止した場合の均等割はどう計算するのか

事業年度途中で事務所等を開設または廃止した場合の均等割額は、区内や市内に事務所等が所在していた月数に応じて、月割の方法により計算します。月割の均等割額は、均等割額(年額)に区内や市内に事務所等が所在していた月数を乗じて得た金額を12で除して計算してください。

事務所等が所在していた月数は暦にしたがって計算し、事務所等が所在していた期間のうち1月未満の端数は切り捨てます。例えば、事務所等を開設または廃止したことによって生じた所在期間のうち、暦の上で満たない端数の日数については月数計算から切り捨てて処理します。

ただし、事務所等が所在していた期間が当該事業年度を通じて1月未満である場合は、例外として所在月数を1月として計算します。事業年度を通じて事務所等が存在した期間が短い場合であっても、事業年度全体を通じて1月未満であれば1月分の均等割額が計算対象となります。

事務所等の所在期間の区分 月数計算の取扱い 均等割額の計算式
事業年度途中で開設または廃止した場合 暦にしたがって計算し、1月未満の端数は切り捨て 均等割額(年額)× 所在月数 ÷ 12
当該事業年度を通じて1月未満である場合 所在月数を1月として計算 均等割額(年額)× 1 ÷ 12

事業年度の途中で同一市内の別の区へ事務所を移転した場合や、市内の別の区に新たに事務所を開設した場合にも、それぞれの区に所在した月数に応じた均等割月数と計算方法に基づき税額を算出します。日々の帳簿管理や決算処理において、会計ソフト等を活用して事業年度ごとの事務所の開設日や廃止日を正確に把握しておくことが正確な月割計算につながります。

複数の市町村に事務所等がある場合の申告はどうすればよいのか

複数の市町村に事務所等がある場合、法人市民税は事務所等所在の市町村すべてに申告納付する必要があります。特定の市町村でまとめて他の市町村分を一括して申告納付することはできません。

複数の市町村に事務所等を有している法人における法人税割額は、法人税額を各市町村の従業者の人数で按分し、各市町村の法人税割の税率を乗じて求めます。各市町村に所在する事業所の規模や従業者の人数に応じて、国税の法人税額から算出される法人税割額が各自治体に配分される仕組みになっています。

均等割額については、各市町村ごとに事務所等が所在していた月数や自治体の均等割額(年額)に基づいて個別に計算し、それぞれの市町村に対して申告納付を行います。赤字決算で法人税割額が生じない場合であっても、事務所等が所在するすべての市町村に対して法人市民税確定申告書を提出し、それぞれの市町村に対応する均等割額を納付する必要があります。

電子申告(eLTAX)を利用して申告や届出を行う場合でも、事務所等が所在する各自治体および提出先となる区をそれぞれ指定して送信手続きを行います。複数の市町村に事務所等を持つ法人は、各自治体における提出先や手続きの流れを個別に確認して申告を進める必要があります。

事業年度を6か月としている法人の申告納付はどうすればいいのか

事業年度を6か月としている法人の申告納付は、事業年度終了の日の翌日から原則として2か月以内に、申告書を市税事務所に提出するとともに、法人税割額と、均等割額(年額)の2分の1の額との合計額の納付が必要です。赤字決算で法人税割額が生じない場合は、均等割額(年額)の2分の1の額を納付します。

事業年度を6か月としている法人の場合、均等割額は年額全額ではなく、6か月の事業年度期間に応じた金額として計算されます。均等割額(年額)に6を乗じて12で除す計算により得られる、均等割額(年額)の2分の1の金額がその事業年度の均等割額となります。

申告納付の期限は、事業年度終了の日の翌日から起算して原則として2か月以内です。この期限内に法人市民税の申告書を作成して市税事務所に提出し、算出された均等割額(年額)の2分の1の額を納付します。

赤字決算により法人税額が生じない事業年度であっても、事業年度終了の日の翌日から原則として2か月以内という申告納付期限に変更はありません。青色申告の赤字繰越など国税における各種申告手続きとあわせて、地方税の申告書提出と均等割額の納付を期限内に完了させる実務管理が必要です。

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事務所等の開設や廃止・移転があった場合はどのような手続きが必要か

事務所等を開設・廃止したり移転した場合、法人は開設や廃止の日から2か月以内に所定の申告書を市税事務所に提出する必要があります。届出事項に変更があった場合や本店所在地を変更した場合は、速やかに異動届を提出します。

新たに事務所等を開設した場合は、開設した日から2か月以内に「法人設立・事務所等開設申告書」を市税事務所に提出します。事務所等を廃止した場合は、廃止した日から2か月以内に「法人解散(合併)・事務所等廃止申告書」を提出します。

自治体内で事務所等を移転した場合、移転前の事務所等については移転により廃止した日から2か月以内に「法人解散(合併)・事務所等廃止申告書」を、移転後の事務所等については移転により開設した日から2か月以内に「法人設立・事務所等開設申告書」を、それぞれ市税事務所に提出します。また、事務所等の開設・廃止を行わずに本店所在地を変更した場合は、速やかに「法人・事務所等異動届」を市税事務所に提出してください。

手続きの事由 提出書類 提出期限
新たに事務所等を開設した場合 法人設立・事務所等開設申告書 開設した日から2か月以内
事務所等を廃止した場合 法人解散(合併)・事務所等廃止申告書 廃止した日から2か月以内
同一自治体内で事務所等を移転した場合 移転前:法人解散(合併)・事務所等廃止申告書
移転後:法人設立・事務所等開設申告書
移転前の廃止・移転後の開設からそれぞれ2か月以内
事務所等の開設・廃止を行わずに本店所在地を変更した場合 法人・事務所等異動届 速やかに提出
法人が解散した場合 法人解散(合併)・事務所等廃止申告書(登記事項証明書の写し等を添付) 解散した日から2か月以内

これらの申告や届出は、書面による提出のほか電子申請により提出することもできます。また、法人市民税に関する申告書等への押印は令和3年4月から不要となっており、押印欄のある申告書等を利用する場合も押印しないで提出する規定になっています。

法人税の更正や申告期限の延長があった場合はどのような手続きが必要か

法人税(国税)において更正があった場合や申告期限の延長が認められた場合、法人市民税においても所定の手続きを行う必要があります。更正による税額の増減に応じた申告や、申告期限延長に伴う異動届の提出が定められています。

法人税の更正があった場合の手続き内容は、法人市民税の税額の増減によって異なります。増額の場合は修正申告書を提出し申告額を納付します。減額の場合は更正の請求書を提出してください。この場合、更正前後の課税標準等又は税額等、その更正の請求をする理由、当該請求をするに至った事情の詳細その他参考となるべき事項を記載した書類(法人税の更正通知書の写し等)の添付が必要となります。更正の請求の期限は、国の税務官署がその更正の通知をした日から2月以内になります。

法人税(国税)で申告期限の延長が認められた場合、法人市民税の申告期限も同様に延長されますが、「法人・事務所等異動届」に次の事項を記載し、必要書類を添付のうえ最寄の市税事務所に提出する必要があります。「6 その他」欄に「申告期限の延長」と記載し、「異動後」欄に法人税(国税)において認められた延長月数及び延長が開始する事業年度を記載し、「異動年月日」欄に税務署に申告期限の延長の申請を行った日を記載します。税務署に提出した「申告期限の延長の特例の申請書」の写し、または都道府県に提出した「法人税に係る申告書の提出期限の延長の処分等の届出書」の写しを添付してください。電子申請により提出することも可能です。

対象の事由 提出書類および記載事項 期限および添付書類
法人税の更正(増額の場合) 修正申告書 修正申告額を納付
法人税の更正(減額の場合) 更正の請求書(更正前後の課税標準等・税額等・理由・事情の詳細等を記載) 国の税務官署が更正の通知をした日から2月以内(法人税の更正通知書の写し等を添付)
法人税の申告期限の延長 法人・事務所等異動届(「6 その他」欄に「申告期限の延長」と記載、「異動後」欄に延長月数・開始事業年度、「異動年月日」欄に税務署への申請日を記載) 税務署提出の「申告期限の延長の特例の申請書」の写し、または都道府県提出の「法人税に係る申告書の提出期限の延長の処分等の届出書」の写しを添付

役員への報酬支払い形態や経費処理など、法人税の確定申告における計算基礎に変更が生じた場合は、地方税側の申告内容にも影響します。役員報酬の決め方や決算内容の見直しに伴って国税側の修正や更正が発生した際には、市税事務所に対する手続きも期日内に正確に実施することが必要です。

よくある質問

法人が赤字のため法人税(国税)がかからない場合でも、法人市民税の申告と納付は必要ですか?

赤字の場合でも法人市民税の均等割額については課税されますので、法人市民税確定申告書の提出と、均等割額の納付が必要となります。

赤字決算で法人税額(国税)が生じない場合でも、法人市民税の均等割は課税されることから申告が必要です。法人市民税の確定申告書の提出及び均等割額の納付をしてください。

国税である法人税では赤字の年度に法人税額が発生しませんが、地方税である法人市民税の均等割額は事務所等の所在に基づいて課税されます。事業年度ごとに定められた申告期限までに申告書を市税事務所等へ提出し、税額を納付する必要があります。

事業年度途中で事務所等を開設または廃止した場合の均等割はどうなりますか?

区内や市内に事務所等が所在していた月数に応じて、月割の方法により計算します。

この場合の月数は、暦にしたがって計算し、事務所等が所在していた期間のうち1月未満の端数は切り捨てます。ただし、事務所等が所在していた期間が当該事業年度を通じて1月未満である場合は1月となります。

月割の均等割額は、均等割額(年額)に区内や市内に事務所等が所在していた月数を乗じて得た金額を12で除して計算してください。

法人税(国税)で申告期限の延長が認められた場合、どのような手続きが必要ですか?

法人税(国税)において申告期限の延長が認められた場合は、法人市民税の申告期限も同様に延長されますが、「法人・事務所等異動届」に所定事項を記載し、必要書類を添付のうえ市税事務所に提出してください。

「6 その他」欄に「申告期限の延長」と記載し、「異動後」欄に法人税(国税)において認められた延長月数及び延長が開始する事業年度を記載し、「異動年月日」欄に税務署に申告期限の延長の申請を行った日を記載します。税務署に提出した「申告期限の延長の特例の申請書」の写し、または都道府県に提出した「法人税に係る申告書の提出期限の延長の処分等の届出書」の写しを添付してください。

なお、電子申請により提出することもできます。

法人市民税に関する申告書等に押印は必要ですか?

令和3年4月から、押印不要となりました。

押印欄のある申告書等を利用する場合も押印しないで提出してください。

市税事務所の窓口や郵送による書面提出、電子申請による手続きのいずれの場合においても、押印を行わずにそのまま提出することができます。

法人が解散した場合にはどのような届出が必要ですか?

事務所等を有する法人が解散した場合、解散した日から2か月以内に「法人解散(合併)・事務所等廃止申告書」に登記事項証明書(写し可)を添付し最寄の市税事務所に提出してください。

解散に伴う手続きを行わずに放置すると自治体における法人管理上の確認が必要となるため、解散の日から2か月以内に所定の申告書と登記事項証明書を提出して手続きを行う必要があります。

解散後の清算手続き中の申告や取り扱いについても、自治体の案内にしたがって適切な申告納付を進める必要があります。