iDeCoの受け取りに税金はかかる?一時金・年金の課税と申告
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ひと言でわかる
iDeCoの老齢給付金は、一時金で受け取るか年金で受け取るかなどによって所得区分と計算方法が変わります。一時金は退職所得、年金は公的年金等に係る雑所得として扱われる点を確認し、他の退職金や年金との時期も整理します。
個人型確定拠出年金であるiDeCoで運用してきた年金資産の受給時期が近づき、受け取る際にどのような税金がかかるのか、一時金と年金のどちらを選択すべきか確認したいと考えている状況ではないでしょうか。iDeCoの老齢給付金は、一時金で受け取るか年金で受け取るかなどによって所得区分と計算方法が変わります。一時金は退職所得、年金は公的年金等に係る雑所得として扱われる点を確認し、他の退職金や年金との時期も整理します。
iDeCoは、加入者自らが掛金を拠出し、自らが運用方法を選び、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受ける私的年金制度です。平成29年1月からは、企業年金を実施している企業にお勤めの方や専業主婦の方、公務員の方を含め、基本的に公的年金制度に加入している60歳未満の全ての方が加入できるようになりました。制度上、掛金拠出時には全額が所得控除の対象となり、運用益は非課税で再投資され、受け取る際にも税制上の控除が適用されます。
掛金の拠出時においては、仮に毎月の掛金が1万円の場合、その全額が税額軽減の対象となり、所得税を10パーセント、住民税を10パーセントとすると年間2.4万円の税金が軽減されます。また、通常であれば金融商品を運用した際の運用益には源泉分離課税20.315パーセントが課税されますが、iDeCoでは非課税で再投資されます。そして老齢給付金を受け取る際にも、受取方法に応じて「退職所得控除」または「公的年金等控除」の対象となります。
老齢給付金の受取方法には、一時金として一括で受け取る方法、年金として分割で受け取る方法、さらには運営管理機関によって一時金と年金を組み合わせて受け取る方法が用意されています。受取方法ごとに所得区分や税額計算の仕組みが異なるため、受給を開始する前にそれぞれの課税関係と確定申告の要否を正しく把握しておく必要があります。
iDeCoの老齢給付金は受け取り方で所得区分が変わるのか
iDeCoの老齢給付金は、受取方法の選択によって税法上の所得区分が明確に区分されます。一時金として一括受領する場合は「退職所得」となり、年金として分割受領する場合は「公的年金等に係る雑所得」として扱われます。
老齢給付金を一時金として一括で受け取る場合は、税務上「退職所得控除」の対象となります。所得税法および確定拠出年金法に基づき、個人型年金規約または企業型年金規約に基づいて支給される老齢給付金の一時金は、退職手当等とみなされる給付として位置付けられています。
老齢給付金を年金として分割で受け取る場合は、税務上「公的年金等控除」の対象となります。国民年金や厚生年金などの公的年金と同様の所得区分となり、年金の収入金額から所定の公的年金等控除額を差し引いて雑所得の金額を計算します。
金融機関や運営管理機関によっては、受給権が発生した時点で年金資産の一部を一時金として受け取り、残りの年金資産を年金として分割受給する併給を選択できる場合があります。この場合、一時金として受領した部分は退職所得として計算され、年金として受領する部分は公的年金等に係る雑所得としてそれぞれ別個に計算されます。
老齢給付金を受け取る際には、ご自身が契約している記録関連運営管理機関(RK)に対して裁定の請求を行います。記録関連運営管理機関(RK)の連絡先は、定期的に送付される「年金資産の残高の通知」等に記載されています。
老齢給付金は何歳から受け取ることができるのか
iDeCoの老齢給付金は、原則として60歳から受け取ることができます。ただし、60歳に到達した時点で受給を開始するためには、60歳になるまでに確定拠出年金の通算加入者等期間が10年以上あることが要件となります。
60歳時点での通算加入者等期間が10年に満たない場合は、その期間の長さに応じて受給可能となる年齢が61歳から65歳まで繰り下げられます。通算加入者等期間と受給可能な年齢との関係は次の表のとおり定められています。
| 通算加入者等期間 | 受給可能な年齢 |
|---|---|
| 10年以上 | 60歳 |
| 8年以上10年未満 | 61歳 |
| 6年以上8年未満 | 62歳 |
| 4年以上6年未満 | 63歳 |
| 2年以上4年未満 | 64歳 |
| 1月以上2年未満 | 65歳 |
60歳以上で初めてiDeCoに加入された方については、通算加入者等期間を有していなくても、加入した日から5年を経過した日より受給することが可能となります。
老齢給付金は、受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達してから75歳になるまでの間に受給の請求を行う必要があります。75歳までに請求が行われなかった場合には、年金資産が法務局に供託されることになります。
一時金で一括受け取りする場合の退職所得の課税ルールとは何か
iDeCoの老齢給付金を一時金として一括で受け取る場合、その給付金は税務上「退職手当等とみなされる一時金」に該当し、退職所得として課税対象となります。受給権が発生した加入者は、75歳になるまでの間に一時金としての受給を選択して請求を行います。
国税庁の定め(令和7年4月1日現在法令等、所法30、31、所令72、所基通30-1~30-5、31-1、措法29の4)において、確定拠出年金法に規定する企業型年金規約または個人型年金規約に基づいて老齢給付金として支給される一時金は、退職手当等とみなされる一時金として明記されています。また、確定拠出年金法に基づく年金の受給開始日後に支払われる一時金のうち、将来の年金給付の総額に代えて支払われるものについても退職手当等として扱われます。
退職所得となる一時金を受け取る際は、退職所得控除の対象となります。会社等から支給される退職一時金や他の年金制度からの退職手当等がある場合は、受給時期や計算の関連性を把握するために退職所得の計算および退職金の計算ツールを参照して確認します。
勤務先を退職した年と同じ年にiDeCoの一時金を受け取る場合や、複数の退職手当等が支払われる場合には、源泉徴収や確定申告における取り扱いを確認する必要があります。退職に伴う申告手続きの全体の流れについては退職年の確定申告の手続きを確認したうえで進めることが重要です。
年金で分割受け取りする場合の計算と源泉徴収はどうなるのか
iDeCoの老齢給付金を年金として受け取る場合は有期年金(5年以上20年以下)として取り扱われます。また、運営管理機関によっては終身年金として受け取れる場合もあります。受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達したら、5年以上20年以下の期間で、運営管理機関が定める方法で受け取ることができ、受給を開始する時期は75歳になるまでの間で選択できます。
年金として受け取る給付金は「公的年金等に係る雑所得」となり、年金の収入金額から公的年金等控除額を差し引いて所得金額を計算します。公的年金等の支払を受けるときは、原則として収入金額からその年金に応じて定められている一定の控除額を差し引いた額に5.105パーセントを乗じた金額が源泉徴収されます。平成25年1月1日から令和19年12月31日までの間に生ずる所得については、所得税とともに復興特別所得税が源泉徴収されます(復興財確法28)。
国税庁の公的年金等の課税関係(令和7年4月1日現在法令等、所法35、所令82の2)における具体例(令和2年分以後)では、年齢が65歳以上で公的年金等に係る雑所得以外の合計所得金額が500万円、公的年金等の収入金額の合計額が350万円の場合、公的年金等に係る雑所得の金額は「3,500,000円×75%-275,000円=2,350,000円」と算出されます。
なお、平成17年分から令和元年分までの期間における具体例(年齢65歳以上、公的年金等の収入金額の合計額350万円)では、「3,500,000円×75%-375,000円=2,250,000円」と計算されていました。このように年金受取時の雑所得金額は、受給年分に応じた計算式および年齢区分と他の合計所得金額に基づいて計算されます。
公的年金等に係る確定申告不要制度の適用条件とは何か
iDeCoを年金として受給し公的年金等に係る雑所得が生じる場合であっても、国税庁が定める「公的年金等に係る確定申告不要制度」の要件を満たす場合は、所得税の確定申告を行う必要がありません。
平成23年分以後は、その年において公的年金等に係る雑所得を有する居住者で、その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ、その年分の公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合には確定申告の必要はありません(所法121、措法41の15の3)。この条件を満たしていれば、税務署への所得税の確定申告の手続きを省略できます。
ただし、公的年金等に係る確定申告不要制度の対象となる場合であっても、医療費控除や社会保険料控除など各種の所得控除の適用による所得税の還付を受けるための確定申告をすることは可能です。また、公的年金等以外の所得金額が20万円以下で所得税の確定申告の必要がない場合であっても、住民税の申告が別途必要になる場合があります。
なお、平成27年分以後は、源泉徴収の対象とされない外国の法令に基づく保険または共済に関する制度に基づいて支給を受ける年金を受給している方については、公的年金等に係る確定申告不要制度の適用はできません。
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障害給付金・死亡一時金・脱退一時金にはどのような条件があるのか
iDeCoの給付には、60歳以降に受給する老齢給付金のほかに、障害給付金、死亡一時金、脱退一時金が定められています。加入者の状況に応じて受給要件および手続きの方法が異なります。
障害給付金は、60歳に到達する前に傷病によって一定以上の障害状態になった加入者等が、傷病が続いた状態で一定期間(1年6ヵ月)を経過した場合など、国民年金の障害基礎年金を受給できる障害等級に該当する障害の状態になったときに受給できます。受給の方法は概ね老齢給付金と同様とされています。
死亡一時金は、iDeCoの加入者・運用指図者または自動移換者(企業型確定拠出年金の資格喪失後6ヵ月間手続きをとらず国民年金基金連合会に移換された方)が亡くなられた場合、ご遺族が受給できます。一定の範囲のご遺族を事前に受取人として指定することが可能ですが、受取人の指定がない場合の受取順位は民法の定める相続の順位とは異なります。死亡一時金は死亡日から5年を経過しても請求がない場合は相続財産の扱いとなり、その後も請求がない場合は法務局に供託されます。手続きは運営管理機関への「加入者等死亡届(K-014)」提出および記録関連運営管理機関(RK)への「死亡一時金裁定請求書」提出等によって行います。
脱退一時金は、原則として中途解約して払い戻しを受けることはできません。ただし、次の1から7の受給要件をすべて満たす場合に限り受給することができます。
- 60歳未満である
- 企業型確定拠出年金加入者でない
- iDeCoに加入できない者である(国民年金保険料免除者や外国籍の海外居住者など)
- 日本国籍を有する海外居住者(20歳以上60歳未満)でない
- 確定拠出年金の障害給付金の受給権者ではない
- 通算拠出期間が5年以下、または、年金資産の額が25万円以下である
- 企業型確定拠出年金またはiDeCoの加入者の資格を、最後に喪失した日から2年以内である
退職や転職で資産が自動移換された場合の手数料はどうなるのか
企業型確定拠出年金に加入していた方が転職や退職等により資格を喪失した場合、6ヵ月以内にiDeCoや他の企業型確定拠出年金、確定給付企業年金、通算企業年金への移換手続き、または脱退一時金の請求を行わないと、年金資産は国民年金基金連合会(特定運営管理機関)に自動移換されます。自動移換された場合、資産の運用がされず、管理手数料が発生し、自動移換中の期間は老齢給付金の受給要件となる通算加入者等期間に算入されないため受給可能年齢が遅くなることがあります。
自動移換された場合、特定運営管理機関および国民年金基金連合会において以下の手数料が発生し、自動移換された資産から負担することになります(資産が0円の方の負担はありません)。
| 手数料の項目 | 特定運営管理機関 | 国民年金基金連合会 |
|---|---|---|
| 自動移換される際の手数料 | 3,300円 | 1,048円 |
| 自動移換されている間の管理手数料 | 58円/月 | 40円/月 |
| 個人型確定拠出年金(iDeCo)への資産移換 | 550円 | 2,829円 |
| 企業型確定拠出年金への資産移換 | 550円 | - |
| 確定給付企業年金への資産移換 | 550円 | - |
| 脱退一時金の受け取り 死亡一時金の受け取り | 4,180円 | - |
自動移換されている間の管理手数料は、自動移換された日の属する月の4ヵ月後からの負担となり、3月末に当年度分をまとめ、4月に資産から徴収されます。脱退一時金や死亡一時金の受け取りにおいて海外に送金する場合は別途手数料が必要です。国民年金基金連合会は特定運営管理機関として日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社に記録管理や移換事務等の業務を委託しています。
年金制度間でのポータビリティにより、iDeCoの年金資産は転職や離職時にも移換手続きを行うことで持ち運びが可能です。また、厚生年金基金や確定給付企業年金を脱退した方(終了した日から1年以内に申し出た場合)や、企業年金連合会に年金給付等積立金がある方(資格取得から3ヵ月以内に申し出た場合)は、要件を満たすことでiDeCoへ資産を移換することができます。
よくある質問
iDeCoの一時金受取と年金受取は併用できますか?
iDeCoの老齢給付金は、受給権が発生する年齢(原則60歳)に到達した時点で一部の年金資産を一時金で受け取り、残りの年金資産を年金で受け取る併用を選択できる金融機関や運営管理機関があります。
併用して受け取る場合、一時金として受け取った部分には退職所得控除が適用される退職所得となり、年金として分割で受け取る部分には公的年金等控除が適用される公的年金等に係る雑所得としてそれぞれ計算されます。併用の可否や具体的な割合の指定方法については、契約先の運営管理機関へ確認する必要があります。
iDeCoの老齢給付金は何歳までに請求しなければなりませんか?
iDeCoの老齢給付金は、受給権が発生する年齢(原則60歳)から75歳になるまでの間に請求を行う必要があります。
75歳までに受給の請求を行わなかった場合には、年金資産が法務局に供託されます。受給権に到達した後は、記録関連運営管理機関(RK)へ裁定請求書類を提出して受給手続きを進めます。
通算加入者等期間が10年に満たない場合はどうなりますか?
60歳になるまでの確定拠出年金の通算加入者等期間が10年に満たない場合は、60歳から老齢給付金を受け取ることができず、受給可能な年齢が繰り下げられます。
通算加入者等期間が8年以上10年未満なら61歳、6年以上8年未満なら62歳、4年以上6年未満なら63歳、2年以上4年未満なら64歳、1月以上2年未満なら65歳から受給可能となります。なお、60歳以上で初めてiDeCoに加入した方は、通算加入者等期間を有していなくても加入から5年を経過した日から受給できます。
公的年金等の収入が400万円以下なら確定申告は一切不要ですか?
その年中の公的年金等の収入金額が400万円以下であり、かつ公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下である場合は、所得税の確定申告不要制度により所得税の確定申告は不要です。
ただし、この場合であっても医療費控除や社会保険料控除等の適用を受けて所得税の還付を受けるための確定申告を行うことは可能です。また、公的年金等以外の所得金額が20万円以下で所得税の確定申告が不要であっても、市区町村に対する住民税の申告が必要な場合があります。
退職後に確定拠出年金の手続きを6ヵ月放置するとどうなりますか?
退職や転職により企業型確定拠出年金の加入者資格を喪失した後、6ヵ月以内に移換や請求の手続きを行わなかった場合、資産は国民年金基金連合会(特定運営管理機関)に自動移換されます。
自動移換されると資産の運用が行われなくなり、自動移換時手数料(特定運営管理機関3,300円、国民年金基金連合会1,048円)や月々の管理手数料(特定運営管理機関58円/月、国民年金基金連合会40円/月)が発生します。さらに自動移換中の期間は通算加入者等期間に算入されないため、受給可能年齢が遅くなることがあります。
iDeCoの受け取り方法と税務の確認ポイントまとめ
iDeCoの老齢給付金は、受取方法によって所得区分および税制上の控除が異なります。一時金で受け取る場合は退職所得として「退職所得控除」の対象となり、年金として受け取る場合は公的年金等に係る雑所得として「公的年金等控除」の対象となります。
老齢給付金は原則60歳から75歳までの間に受給を開始できますが、60歳時点で受給するためには10年以上の通算加入者等期間が必要です。10年未満の場合は期間に応じて受給可能年齢が61歳から65歳へ繰り下げられます。
年金受取において公的年金等の収入金額が400万円以下であり、他の所得が20万円以下である場合は公的年金等に係る確定申告不要制度の対象となりますが、還付申告や住民税の申告要否には留意が必要です。受給時期を迎えるにあたっては、受取方法の選択と税務上の取り扱いを事前に確認しておくことが重要です。