個人事業の廃業届の書き方と提出期限・青色申告の取りやめ手続

事業をたたむ予定または法人化する個人事業主向け。個人事業の廃業手続きと提出書類・期限を知りたい

著者: アキスケ

ひと言でわかる

個人事業を廃業する際は廃業日から1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出し、必要に応じて青色申告取りやめ届出書を提出する

個人事業をたたむ予定がある方や、法人化に伴って個人事業の廃止を検討している方は、どのような書類をいつまでに提出すべきか把握したい状況にあると考えられます。個人事業を廃業する際は廃業日から1か月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出し、必要に応じて青色申告取りやめ届出書を提出することが手続きの基本となります。

国税庁のタックスアンサーNo.2090(令和8年1月1日現在法令等)によると、個人が新たに事業を開始したときだけでなく、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき、又は事業を廃止したときにも各種届出書等の提出が必要とされています。

事業の廃止や開始に伴う税務手続きは、所得税、源泉所得税、消費税の3つの税目に関連してそれぞれ定められています。提出先は所轄税務署または変更後の納税地の所轄税務署となり、税目や手続内容によって提出期限が異なります。

事業の廃止に関する適切な手続きを進めるために、国税庁が示す届出書の種類、記載内容、提出期限などの確定事実を順を追って確認することが重要です。

個人事業の開廃業等届出書の提出期限と対象となる手続き

個人事業の開廃業等届出書は、新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときに行う所得税の手続きです。事業を廃止した個人事業主は、この届出書を所轄税務署長に提出する必要があります。

国税庁タックスアンサーNo.2090(令和8年1月1日現在法令等)において、個人事業の開廃業等届出書の提出期限は「事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで」と定められています。事業の廃止があった場合にも、この規定に基づいて提出を行います。

各種届出書等の様式は、国税庁の税務手続の案内からダウンロードすることができます。個人事業の開業・廃業等届出書の作成にあたっては、事業の廃止の事実や事業所等の情報を正確に記載して所轄税務署に提出します。

所得税に関する根拠法令等としては、所法16、所法57、所法144、所法166、所法216、所法217、所法229、所法230、所令100、所令123、所規98、所規99が定められています。

所得税および源泉所得税に関する届出書の一覧と内容

個人が事業を開始したときや事業用の事務所等を廃止したときには、所得税および源泉所得税に関する複数の届出書が関係します。国税庁タックスアンサーNo.2090(令和8年1月1日現在法令等)に記載されている代表的な届出書等の内容と提出期限は次の表のとおりです。

税目届出書等内容提出期限等
所得税個人事業の開廃業等届出書新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続です。事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで
所得税所得税の青色申告承認申請書青色申告の承認を受ける場合の手続です。(青色申告の場合には各種の特典があります。)原則、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後、新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内。)
所得税青色事業専従者給与に関する届出書青色事業専従者給与額を必要経費に算入する場合の手続です。青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日まで(その年の1月16日以後開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合には、その日から2か月以内)
所得税所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書住所地に代えて事業所等の所在地等を納税地とする場合、所得税または消費税の申告の際、事業所等の所在地等を申告書の納税地欄に記載し所轄税務署長に提出することで変更できます。ただし、年の途中で納税地の異動または変更がある場合で、国税当局からの各種文書の送付先を異動・変更後の納税地とする意思があるときは、左記申出書を提出することができます。所得税または消費税の確定申告書を提出した日後における納税地は事業所等の所在地になります。また、左記申出書は随時提出することができます。
所得税所得税の棚卸資産の評価方法 ・ 減価償却資産の償却方法の届出書棚卸資産の評価方法および減価償却資産の償却方法の届出をする場合の手続です。次の事由が生じた日の属する年分の確定申告期限まで(棚卸資産:①事業を開始した場合、②事業を開始した後、新たに他の種類の事業を開始した場合または事業の種類を変更した場合。減価償却資産:③事業を開始した場合、④既に取得している減価償却資産と異なる種類の減価償却資産を取得した場合、⑤従来の償却方法と異なる償却方法を選定する事業所を設けた場合)
源泉所得税給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書給与等の支払を行う事務所等を開設、移転又は廃止した場合の手続です。(「個人事業の開廃業等届出書」を提出する場合を除きます(令和8年1月1日以後に開設、移転又は廃止した場合を除きます。)。)開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内
源泉所得税源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書給与の支給人員が常時10人未満である給与等の支払者が、給与等から源泉徴収した所得税の納期について年2回にまとめて納付するという特例の適用を受ける場合の手続です。随時(原則として、提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。)。

所得税と源泉所得税の手続きには、確定申告期限までに提出するもの、事由が生じた日から1か月以内または2月以内・2か月以内に提出するもの、随時提出可能なものがそれぞれ存在します。

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給与支払事務所等の廃止届出書の提出期限と適用関係

給与等の支払を行う事務所等を廃止した場合は、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。この届出書の提出期限は、開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内と定められています。

国税庁タックスアンサーNo.2090(令和8年1月1日現在法令等)によると、給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書の手続きは「個人事業の開廃業等届出書」を提出する場合を除くと規定されています。ただし、令和8年1月1日以後に開設、移転又は廃止した場合は除かれない旨が明記されています。

従業員や専従者に対して給与等の支払を行っていた個人事業主が事業を廃止する際には、給与支払事務所等の廃止の事実が生じた日から1か月以内という期限内に届出書を提出することが求められます。

専従者や従業員への給与支払事務を伴う青色申告を行っていた事業主は、事業廃止に伴う給与支払事務所等の廃止手続きを期日内に行う必要があります。

青色申告承認申請書と青色事業専従者給与に関する届出書の期限

所得税の青色申告承認申請書は、青色申告の承認を受ける場合の手続きであり、青色申告の場合には各種の特典があります。提出期限は原則として、青色申告書による申告をしようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以後に新たに事業を開始したり不動産の貸付けをした場合には、その事業開始等の日から2月以内と定められています。

青色事業専従者給与に関する届出書は、青色事業専従者給与額を必要経費に算入する場合の手続きです。提出期限は、青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までです。その年の1月16日以後に開業した場合や新たに事業専従者を有することとなった場合には、その日から2か月以内とされています。

個人事業の運営や税務申告においては、白色申告と青色申告の適用区分やそれぞれの届出要件を理解しておくことが基本となります。事業を廃止する年分の申告においても、過去に提出した青色申告承認申請や青色事業専従者給与に関する届出の適用状況を確認することが必要です。

事業の開始から廃止に至るまで、税務上の特典や経費算入に関する届出期限を把握し、適切に手続きを管理することが重要となります。

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棚卸資産の評価方法と減価償却資産の償却方法の届出事由

所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書は、棚卸資産の評価方法および減価償却資産の償却方法の届出をする場合の手続きです。提出期限は、定められた事由が生じた日の属する年分の確定申告期限までとされています。

棚卸資産の評価方法に関する届出事由は、次の2点です。

  • ①事業を開始した場合
  • ②事業を開始した後、新たに他の種類の事業を開始した場合または事業の種類を変更した場合

減価償却資産の償却方法に関する届出事由は、次の3点です。

  • ③事業を開始した場合
  • ④既に取得している減価償却資産と異なる種類の減価償却資産を取得した場合
  • ⑤従来の償却方法と異なる償却方法を選定する事業所を設けた場合

これらの事由が生じた場合には、該当する日の属する年分の確定申告期限までに所轄税務署長へ届出書を提出する必要があります。

消費税に関する選択届出書と適格請求書発行事業者の登録申請

消費税に関しては、事業者の選択や取引の状況に応じて複数の届出書等が定められています。国税庁タックスアンサーNo.2090(令和8年1月1日現在法令等)に記載されている消費税関連の代表的な届出書等は次の表のとおりです。

届出書等内容提出期限等
消費税課税事業者選択届出書免税事業者が課税事業者になることを選択する場合の手続です。適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
消費税課税期間特例選択届出書課税期間の短縮を選択する場合の手続です。適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
消費税簡易課税制度選択届出書簡易課税制度を選択する場合の手続です。原則として、適用を受けようとする課税期間の初日の前日まで(選択しようとする課税期間が事業を開始した日の属する課税期間等である場合には、その課税期間中)
適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)国内事業者が適格請求書発行事業者の登録を受けようとする場合の手続きです。免税事業者は、登録希望日(提出日から15日以降の登録を受ける日として事業者が希望する日)を記載して提出(※)

適格請求書発行事業者の登録申請書(国内事業者用)における提出期限の注記として、事業を開始した日の属する課税期間等の初日から登録を受けようとする場合には、その課税期間中と定められています。

消費税に関する根拠法令等には、消法9、消法19、消法21、消法37、消法57の2、消令70の4、消規11、消規13、消規17が規定されています。

消費税の課税事業者選択や簡易課税制度選択、適格請求書発行事業者の登録を行っている事業者が事業を廃止する場合には、これらの登録状況や選択状況を踏まえて税務手続きを行う必要があります。

納税地の異動変更に関する申出書と提出先税務署の確認

住所地に代えて事業所等の所在地等を納税地とする場合、所得税または消費税の申告の際、事業所等の所在地等を申告書の納税地欄に記載し所轄税務署長に提出することで変更できます。所得税または消費税の確定申告書を提出した日後における納税地は事業所等の所在地になります。

年の途中で納税地の異動または変更がある場合で、国税当局からの各種文書の送付先を異動・変更後の納税地とする意思があるときは、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を提出することができます。この申出書は随時提出することが可能です。

申告先等は所轄税務署および変更後の納税地の所轄税務署です。国税庁タックスアンサーNo.2090(令和8年1月1日現在法令等)では、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等にも届出書等の提出が必要となる場合もあるため、各行政機関へ確認することが案内されています。

事業廃止年分の所得計算や納税手続きについては、定められた期限までに確定申告を行うことが必要です。

よくある質問

個人事業の開廃業等届出書の提出期限はいつまでですか?

個人事業の開廃業等届出書の提出期限は、事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限までです。

新たに事業を開始したとき、事業用の事務所・事業所を新設、増設、移転、廃止したとき又は事業を廃止したときの手続きとして規定されています。様式は国税庁の税務手続の案内からダウンロードできます。

給与支払事務所等を廃止したときの届出期限はいつまでですか?

給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書の提出期限は、開設、移転又は廃止の事実があった日から1か月以内です。

給与等の支払を行う事務所等を開設、移転又は廃止した場合の手続きであり、「個人事業の開廃業等届出書」を提出する場合を除きます。ただし、令和8年1月1日以後に開設、移転又は廃止した場合は除かれません。

納税地を変更または異動したい場合はどうすればよいですか?

住所地に代えて事業所等の所在地等を納税地とする場合、所得税または消費税の申告の際、事業所等の所在地等を申告書の納税地欄に記載し所轄税務署長に提出することで変更できます。

年の途中で納税地の異動または変更がある場合で、国税当局からの各種文書の送付先を異動・変更後の納税地とする意思があるときは、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する申出書」を随時提出することができます。所得税または消費税の確定申告書を提出した日後における納税地は事業所等の所在地になります。

源泉所得税の納期の特例を受けるための要件は何ですか?

給与の支給人員が常時10人未満である給与等の支払者であることが要件となります。

「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、給与等から源泉徴収した所得税の納期について年2回にまとめて納付するという特例の適用を受けることができます。この申請書は随時提出可能で、原則として提出した日の翌月に支払う給与等から適用されます。

税務署以外にも届出が必要となる行政機関はありますか?

都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等にも届出書等の提出が必要となる場合があります。

国税庁の案内においても、税務署以外の各行政機関へ届出書等の提出が必要となる場合があるため、各行政機関へ確認するよう記載されています。国税に関する相談は国税局電話相談センター等の税についての相談窓口を利用できます。

個人事業の廃止や法人化における各種行政機関への届出確認

個人事業を廃止する際や、法人化に伴い個人事業の業務を終了する際は、所得税、源泉所得税、消費税に関する各種届出書の提出要否と提出期限を確認することが必要です。

所轄税務署や変更後の納税地の所轄税務署への届出に加えて、都道府県税事務所、年金事務所、労働基準監督署等の各行政機関に対する必要な手続きについても確認を行うことが求められます。

国税に関する具体的な相談や不明点がある場合は、国税局電話相談センター等の税についての相談窓口を活用して正確な手続きを進めることが推奨されます。

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