通勤手当の非課税限度額とマイカー・電車通勤の計算基準
会社から通勤手当を受け取っている会社員や給与担当者向け。通勤手当がいくらまで非課税になるかと上限を超えた場合の税金を知りたい
ひと言でわかる
電車やバスなどの交通機関を利用する場合の通勤手当は月額15万円まで非課税となり、マイカー通勤は通勤距離に応じて非課税限度額が定められている
給与所得者として会社から通勤手当を受け取っている方や給与計算の実務を担当している方は、通勤手当の非課税限度額がいくらに設定されているか把握しておく必要があります。電車やバスなどの交通機関を利用する場合の通勤手当は月額15万円まで非課税となり、マイカー通勤は通勤距離に応じて非課税限度額が定められています。
国税庁の基準において、役員や使用人などの給与所得者に対して通常の給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券などは、一定の限度額まで非課税とされています。非課税となる限度額は、電車やバスなどの交通機関だけを利用して通勤する場合、マイカーや自転車などの交通用具を使用して通勤する場合、あるいは交通機関と交通用具を併せて利用して通勤する場合など、通勤の形態や手段に応じて細かく定められています。
通勤手当や通勤定期券などの支給額が1か月当たりの非課税となる限度額を超える場合には、超える部分の金額が給与として課税対象になります。課税対象となった金額は、通勤手当や通勤定期券などを支給した月の給与の額に上乗せされ、所得税および復興特別所得税の源泉徴収が行われるため、毎月の手取り金額や給与計算の実務に直接影響を与えます。
給与の支払いや税務処理を適正に行うためには、交通手段ごとの非課税限度額の計算基準と、限度額を超えて支給した場合の源泉徴収の仕組みを正確に理解しておくことが重要です。令和8年4月1日現在の法令等に基づき、電車・バス通勤、マイカー通勤、有料道路や駐車場の利用、併用通勤における非課税限度額の基準と課税上の取扱いを整理して確認していきましょう。
電車やバスを利用する通勤手当は月額いくらまで非課税になるか
電車やバスなどの交通機関だけを利用して通勤している場合の非課税となる限度額は、1か月当たり15万円です。通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額が非課税の対象となります。
国税庁のタックスアンサー「No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当」に定められている基準では、通勤手当や通勤定期券などの金額が、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤経路および方法によるものであることが求められます。単に移動が可能であるというだけでなく、経済性と合理性の両面を満たしているかどうかが非課税適用の判断基準となります。
最も経済的かつ合理的な経路および方法による通勤手当や通勤定期券などの金額が1か月当たり15万円を超える場合には、15万円が非課税となる限度額となります。1か月当たりの通勤定期券代などが15万円以下である場合は、その最も経済的かつ合理的な経路および方法による金額の全額が非課税として扱われます。
電車やバスなどの交通機関を利用する通勤手当の根拠法令等には、所法9、所令20の2、所基通9-6の3が定められています。役員や使用人などの給与所得者に対して支給する通勤定期券や通勤手当については、令和8年4月1日現在の法令等においてこの月額15万円の限度額が適用されます。
新幹線や特急列車を利用した場合の運賃とグリーン料金の扱いはどうなるか
新幹線や特急列車を利用した場合の運賃等の額は、その通勤方法や経路が「最も経済的かつ合理的な経路および方法」に該当する場合には非課税の通勤手当に含まれます。
新幹線や特急列車を利用して通勤する場合であっても、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、その通勤方法や経路が最も経済的かつ合理的であると認められるときは、新幹線や特急列車の運賃や特急料金などの金額を通勤手当として非課税の計算に含めることができます。ただし、新幹線や特急列車を利用する場合であっても、1か月当たり15万円を超える部分については非課税とはならず、15万円が非課税限度額となります。
一方で、グリーン料金は最も経済的かつ合理的な通勤経路および方法のための料金とは認められないため、非課税の通勤手当には含まれません。新幹線や特急列車を利用する通勤手当の中にグリーン料金相当額が含まれている場合、そのグリーン料金に相当する部分は非課税の対象外となり、給与として課税されます。
会社が給与所得者に対して新幹線通勤の手当を支給する際には、運賃や特急料金が最も経済的かつ合理的な経路および方法に該当するかどうかを確認するとともに、グリーン料金が含まれていないかを明確に区分して非課税限度額を計算する必要があります。
マイカー通勤の非課税限度額は片道の通勤距離でどのように決まるか
マイカーや自転車などの交通用具を使用して通勤している人の非課税となる1か月当たりの限度額は、片道の通勤距離に応じて定められています。ここでいう片道の通勤距離とは、通勤経路に沿った長さを指します。
国税庁のタックスアンサー「No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当」に示されている基準に基づき、マイカーなどで通勤している人の非課税となる1か月当たりの限度額は、片道の通勤距離の区分に応じて12段階に細かく定められています。
片道の通勤距離が2キロメートル未満である場合は全額課税となり、非課税となる限度額は適用されません。片道の通勤距離が2キロメートル以上ある場合にのみ、距離の区分に応じた非課税限度額が適用されます。
| 片道の通勤距離 | 1か月当たりの限度額 |
|---|---|
| 2キロメートル未満 | (全額課税) |
| 2キロメートル以上10キロメートル未満 | 4,200円 |
| 10キロメートル以上15キロメートル未満 | 7,300円 |
| 15キロメートル以上25キロメートル未満 | 13,500円 |
| 25キロメートル以上35キロメートル未満 | 19,700円 |
| 35キロメートル以上45キロメートル未満 | 25,900円 |
| 45キロメートル以上55キロメートル未満 | 32,300円 |
| 55キロメートル以上65キロメートル未満 | 38,700円 |
| 65キロメートル以上75キロメートル未満 | 45,700円 |
| 75キロメートル以上85キロメートル未満 | 52,700円 |
| 85キロメートル以上95キロメートル未満 | 59,600円 |
| 95キロメートル以上 | 66,400円 |
マイカーなどで通勤している人の非課税限度額は、片道2キロメートル以上10キロメートル未満であれば4,200円、片道10キロメートル以上15キロメートル未満であれば7,300円、片道15キロメートル以上25キロメートル未満であれば13,500円となります。片道の通勤距離が長くなるにつれて非課税限度額は高くなり、片道25キロメートル以上35キロメートル未満は19,700円、片道35キロメートル以上45キロメートル未満は25,900円、片道45キロメートル以上55キロメートル未満は32,300円、片道55キロメートル以上65キロメートル未満は38,700円、片道65キロメートル以上75キロメートル未満は45,700円、片道75キロメートル以上85キロメートル未満は52,700円、片道85キロメートル以上95キロメートル未満は59,600円、片道95キロメートル以上は66,400円が1か月当たりの非課税限度額となります。
マイカーや自転車通勤者の非課税限度額の根拠法令等は所法9、所令20の2であり、令和8年4月1日現在の法令等においてこれらの金額が適用されます。実務上は、通勤経路に沿った片道の距離を正確に測定し、該当する距離区分の限度額を判定することが重要です。
有料道路や駐車場を利用する場合の非課税限度額はどう計算するか
マイカーなどで通勤している人が有料道路や駐車場を利用する場合、一定の要件を満たすときは片道の通勤距離に応じた金額に所定の料金相当額や合理的な料金の額を合算して非課税限度額を計算します。
マイカーなどで通勤している人で一定の要件を満たす駐車場等を利用している人(通勤距離が片道2キロメートル未満である人および有料道路を利用する人を除きます)の非課税となる1か月当たりの限度額は、片道の通勤距離に応じた金額と1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)との合計額となります。
ここでいう「一定の要件を満たす駐車場等」とは、通勤のために使用するマイカーなどの駐車のための駐車場等のうち、その通勤手当の支払を受ける人の勤務する場所の周辺又はその人が通勤のために利用する交通機関の駅若しくは停留所その他の施設の周辺にあるものをいいます。勤務先周辺や駅・停留所周辺の要件を満たす駐車場を利用している場合に、月額上限5,000円までの料金相当額を加算できます。
有料道路を利用するほかマイカーなどで通勤している人(そのマイカーなどを使用する通勤距離が片道2キロメートル未満である人および駐車場等を利用する人を除きます)の非課税となる1か月当たりの限度額は、1か月当たりの合理的な料金の額と片道の通勤距離に応じた金額との合計額(最高限度150,000円)となります。「合理的な料金の額」とは、通勤のための時間、距離等の事情に照らし最も経済的かつ合理的と認められる通常の通勤の経路及び方法による料金の額をいいます。
有料道路を利用するほかマイカーなどで通勤している人で一定の要件を満たす駐車場等を利用している人(そのマイカーなどを使用する通勤距離が片道2キロメートル未満である人を除きます)の非課税となる1か月当たりの限度額は、1か月当たりの合理的な料金の額と片道の通勤距離に応じた金額と1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)との合計額(最高限度150,000円)となります。
| マイカー通勤の区分 | 1か月当たりの非課税限度額の計算方法 |
|---|---|
| 1 マイカーなどで通勤している人(2から4までに該当する人を除きます) | 片道の通勤距離に応じた金額(片道2キロメートル未満は全額課税) |
| 2 マイカーなどで通勤している人で一定の要件を満たす駐車場等を利用している人 | 片道の通勤距離に応じた金額 + 1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円) |
| 3 有料道路を利用するほか、マイカーなどで通勤している人 | 1か月当たりの合理的な料金の額 + 片道の通勤距離に応じた金額(最高限度 150,000円) |
| 4 有料道路を利用するほか、マイカーなどで通勤している人で一定の要件を満たす駐車場等を利用している人 | 1か月当たりの合理的な料金の額 + 片道の通勤距離に応じた金額 + 1か月当たりの駐車場等の料金相当額(上限5,000円)(最高限度 150,000円) |
有料道路や駐車場等を利用する場合であっても、マイカーなどを使用する通勤距離が片道2キロメートル未満である人については、これらの非課税限度額の計算規定や加算規定の対象から除かれます。
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交通機関とマイカーを併用する場合の非課税限度額はどう計算するか
電車やバスなどの交通機関のほか、併せてマイカーや自転車なども使って通勤している場合の非課税となる限度額は、交通機関の1か月間の通勤定期券などの金額とマイカー通勤の限度額を合計した金額となり、1か月当たり15万円が限度です。
電車やバスなどの交通機関と、マイカーや自転車などの交通用具を併せて利用して通勤している場合の非課税となる限度額は、次の(1)と(2)を合計して計算します。
- (1)電車やバスなどの交通機関を利用する場合の1か月間の通勤定期券などの金額
- (2)マイカーや自転車などを使って通勤する片道の距離や駐車場の利用の有無などに応じた1か月当たりの非課税となる限度額
(1)の金額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして最も経済的かつ合理的な経路および方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額です。(2)の金額は、国税庁コード2585「マイカー・自転車通勤者の通勤手当」に定められている片道の通勤距離や駐車場の利用の有無などに応じた1か月当たりの非課税限度額です。
自宅から駅までマイカーや自転車などを使い、駅から勤務先まで電車やバスなどを利用するような併用通勤の場合、上記(1)と(2)を合算した金額が非課税の対象となります。ただし、合算した金額が1か月当たり15万円を超える場合には、15万円が非課税となる限度額となります。
パートやアルバイトの通勤手当はどのように計算するか
通勤手当などの非課税となる限度額は、パートやアルバイトなど短期間雇い入れる人についても、月を単位にして計算します。
役員や使用人などの給与所得者に対して通常の給与に加算して支給する通勤手当や通勤定期券などは、雇用形態に関わらず一定の限度額まで非課税となります。パートやアルバイトなど短期間雇い入れる人についても日割り計算ではなく月を単位にして非課税限度額を計算するため、出勤日数が少ない場合であっても月単位の非課税限度額がそのまま適用されます。
電車やバスなどの交通機関を利用して通勤するパートやアルバイトであれば、最も経済的かつ合理的な経路および方法による1か月間の通勤定期券などの金額(1か月当たり15万円が限度)が基準となります。マイカーや自転車などを使用して通勤するパートやアルバイトであれば、片道の通勤距離に応じた1か月当たりの限度額(片道2キロメートル以上10キロメートル未満であれば4,200円など)が月単位で適用されます。
国税庁の質疑応答事例では、アルバイトに支給する通勤手当の非課税限度額をはじめ、数か所に勤務する者に支給する通勤費、2以上の使用者から支払を受ける役員の出勤費用、通勤手当と住宅手当を合算して支給する場合の取扱いなどが示されています。複数の勤務先から給与や通勤費の支給を受ける場合などの税務処理は、確定申告の規定に沿って正確に管理することが求められます。
非課税限度額を超えた通勤手当にはどのように税金がかかるか
1か月当たりの非課税となる限度額を超えて通勤手当や通勤定期券などを支給する場合には、超える部分の金額が給与として課税されます。
この超える部分の金額は、通勤手当や通勤定期券などを支給した月の給与の額に上乗せして所得税および復興特別所得税の源泉徴収を行います。非課税となる限度額までの部分には税金がかかりませんが、限度額を超えた部分の金額は通常の給与と同じ扱いとなり、源泉徴収の対象となる課税給与の総額に含まれます。
給与計算の実務においては、支給する通勤手当の金額と非課税限度額を比較し、超過額がある場合にはその月の課税支給額に加算して源泉徴収税額を算出しなければなりません。通勤手当の課税対象部分が発生すると、毎月の給与から控除される源泉徴収税額が増加し、手取り額に影響が生じます。
毎月の給与から差し引かれる源泉徴収税額の確認には源泉徴収税額計算を活用でき、手取り額の試算には手取り額計算が役立ちます。また、給与に関わる税金や社会保険料などの全体的な構造を理解するには手取り計算ガイドが参考になります。
よくある質問
新幹線通勤の特急料金やグリーン料金は非課税になりますか?
新幹線や特急列車を利用した場合の運賃等の額は、その通勤方法や経路が「最も経済的かつ合理的な経路および方法」に該当する場合には非課税の通勤手当に含まれます。運賃・時間・距離等の事情に照らして合理的と認められる場合は、新幹線の特急料金なども含めて1か月当たり15万円まで非課税となります。
ただし、グリーン料金は最も経済的かつ合理的な通勤経路および方法のための料金とは認められないため、非課税の通勤手当には含まれません。グリーン料金相当額が支給される場合は給与として課税され、支給月の給与に上乗せして源泉徴収が行われます。
片道の通勤距離が2キロメートル未満の場合は非課税になりますか?
マイカーや自転車などの交通用具を使用して通勤する場合、片道の通勤距離が2キロメートル未満のときは全額課税となり、非課税となる限度額は適用されません。
片道の通勤距離が2キロメートル以上ある場合にのみ、距離の区分に応じて1か月当たり4,200円からの非課税限度額が適用されます。なお、電車やバスなどの交通機関を利用して通勤する場合は、片道2キロメートル未満であっても最も経済的かつ合理的な経路および方法であれば1か月当たり15万円を限度として非課税になります。
マイカー通勤で月極駐車場を借りている場合は上限いくらまで加算されますか?
一定の要件を満たす駐車場等を利用している場合、片道の通勤距離に応じた金額に加えて、1か月当たりの駐車場等の料金相当額を上限5,000円まで加算して非課税限度額を計算できます。
「一定の要件を満たす駐車場等」とは、通勤のために使用するマイカーなどの駐車のための駐車場等のうち、その通勤手当の支払を受ける人の勤務する場所の周辺又はその人が通勤のために利用する交通機関の駅若しくは停留所その他の施設の周辺にあるものをいいます。ただし、通勤距離が片道2キロメートル未満である人はこの加算の対象から除かれます。
通勤手当が非課税限度額を超えた場合の手続きはどうなりますか?
通勤手当や通勤定期券などの金額が1か月当たりの非課税となる限度額を超えた場合、超える部分の金額を通勤手当や通勤定期券などを支給した月の給与の額に上乗せして給与として課税します。
給与計算の担当者は、その上乗せした金額を含めた給与総額に対して所得税および復興特別所得税の源泉徴収を行います。非課税限度額以内の金額については所得税および復興特別所得税の課税対象にはなりません。
パートやアルバイトの通勤手当は日割りで非課税限度額を計算しますか?
パートやアルバイトなど短期間雇い入れる人についても、通勤手当などの非課税となる限度額は月を単位にして計算します。
出勤日数に応じて日割り計算を行うのではなく、電車やバスなどの交通機関を利用する場合は1か月当たり15万円、マイカー等を利用する場合は片道の通勤距離に応じた1か月当たりの限度額がそのまま月単位で適用されます。
通勤手当の非課税限度額を正しく把握して源泉徴収を管理する
通勤手当の非課税限度額は、電車やバスなどの交通機関を利用する場合は1か月当たり15万円まで、マイカーや自転車などの交通用具を利用する場合は片道の通勤距離や有料道路・駐車場の利用状況に応じて定められています。
交通機関とマイカーを併用する場合であっても、交通機関の定期券代等の金額とマイカー通勤の限度額を合算し、合計で1か月当たり15万円が非課税の限度となります。
通勤手当や通勤定期券などの支給額が1か月当たりの非課税限度額を超える場合には、超える部分の金額が給与として課税され、支給した月の給与の額に上乗せして所得税および復興特別所得税の源泉徴収が行われます。
役員や使用人、パートやアルバイトなどの給与所得者に対して適正な給与支払と税務処理を行うため、国税庁の基準に沿って通勤形態ごとの非課税限度額と課税基準を正確に管理しましょう。税務上の疑義が生じた場合には、国税局電話相談センター等の税についての相談窓口で確認することが可能です。
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