青色事業専従者給与の要件と届出書の提出期限・配偶者控除との関係
家族に給料を支払って経費にしたい個人事業主向け。専従者給与の条件と手続き・扶養控除が使えなくなるルールを知りたい
ひと言でわかる
青色事業専従者給与を経費にするには事前に届出書の提出が必要で、専従者給与を受ける家族は配偶者控除や扶養控除の対象外となる
生計を一にする家族へ給与を支払って事業の必要経費に算入したいと考えている個人事業主は多いのではないでしょうか。青色事業専従者給与を経費にするには事前に届出書の提出が必要で、専従者給与を受ける家族は配偶者控除や扶養控除の対象外となります。
納税者と生計を一にしている配偶者その他の親族が事業に従事している場合、納税者がこれらの人に支払う給与は原則として必要経費にはなりません。しかし、税法上では個人事業主に対する特別な取扱いが認められており、青色申告を行う事業主には「青色事業専従者給与」が必要経費として認められています。
青色事業専従者給与として必要経費に算入するためには、専従者の年齢要件や従事期間要件を満たしたうえで、納税地の所轄税務署長へ届出書を期日までに提出しなければなりません。さらに、届出書に記載した方法と金額の範囲内で実際に給与を支払い、その金額が労務の対価として相当であると認められる必要があります。
家族に専従者給与を支払うと、給与を受け取る家族は同一生計配偶者や扶養親族になれないため、事業主側で配偶者控除や扶養控除の適用を受けられなくなります。国税庁のタックスアンサー(令和7年4月1日現在法令等)に基づき、青色事業専従者給与の要件、届出書の提出期限、届出内容の変更手続き、白色申告との違い、控除との関係を詳しく整理します。
青色事業専従者給与を経費にするための要件とは何か
青色事業専従者給与を必要経費に算入するためには、青色申告者と生計を一にする15歳以上の親族が専ら事業に従事し、所轄税務署長へ事前に届出書を提出している必要があります。法令等で定められたすべての要件を満たし、労務の対価として相当であると認められる金額のみが必要経費になります。
青色事業専従者給与として認められるための第1の要件は、青色事業専従者に支払われた給与であることです。青色事業専従者とは、青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であり、その年の12月31日現在で年齢が15歳以上である人を指します。15歳未満の親族は除外されているため、給与を支払っても青色事業専従者給与として経費算入することは認められません。
従事期間に関しては、その年を通じて6か月を超える期間、その青色申告者の営む事業に専ら従事していることが必要です。ただし、年の中途で開業した場合など一定の場合には、事業に従事することができる期間の2分の1を超える期間専ら従事していれば従事要件を満たします。事業に専ら従事している実態が求められるため、従事期間や従事状況の確認が重要です。
第2の要件は、「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出していることです。事前の届出を行っていない場合、実際に給与を支払っていても必要経費として認められません。届出書には、青色事業専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを正確に記載する必要があります。
第3の要件は、届出書に記載されている方法により支払われ、かつ、その記載されている金額の範囲内で支払われたものであることです。届出書に記載した支給期や支給方法と異なる形で支払ったり、届出書に記載した上限金額を超える給料を支給したりした場合、その範囲外となる部分は必要経費として認められません。
第4の要件は、青色事業専従者給与の額が労務の対価として相当であると認められる金額であることです。職務の内容や事業への貢献度、従事状況などに照らして過大とされる部分は必要経費とはなりません。適正な金額を設定して支給することが不可欠です。
青色事業専従者給与に関する届出書の提出期限はいつまでか
青色事業専従者給与に関する届出書の提出期限は、原則として青色事業専従者給与額を必要経費に算入しようとする年の3月15日までです。この期限までに納税地の所轄税務署長へ届出書を提出しなければ、その年の専従者給与を経費に算入することはできません。
ただし、その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合や、新たに専従者がいることとなった場合には例外的な期限が設けられています。この場合は、その事業を開始した日や専従者がいることとなった日から2か月以内が提出期限となります。年の中途で開業した事業主や、年の途中で親族が専従者となった場合は、この2か月以内の期限を守る必要があります。
提出先は、納税地の所轄税務署長です。提出する「青色事業専従者給与に関する届出書」には、専従者の氏名、職務の内容、給与の金額、支給期などを記載します。届出書を提出した後は、記載した支給時期および金額の範囲内で実際に給与を支払うことが求められます。
提出期限を過ぎてしまうと、その年は青色事業専従者給与としての経費算入が認められなくなるため、事前のスケジュール管理が重要です。事業主は自身の開業日や専従者が事業に従事し始めた日を正確に把握し、期限内に所轄税務署へ書類を提出しなければなりません。
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届出内容を変更する際の手続きと提出書類はどうなるか
専従者が増える場合や給与を増額する場合など、届出の内容を変更するためには「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅滞なく納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。変更手続きを行わずに増額して給与を支払っても、事前の届出金額を超える部分は必要経費として認められません。
事業の成長に伴って専従者の職務内容が変化したり、従事時間が増加して給与を増額したりする場合には、変更届出書の提出が必要です。また、新たに別の親族が専従者として事業に従事することとなり、専従者が増える場合にも変更手続きを行います。届出書の内容を変更することで、新たな支給基準に基づいた経費処理が可能になります。
給与を増額する場合であっても、青色事業専従者給与の額は労務の対価として相当であると認められる金額でなければなりません。変更届出書を提出して形式的な上限額を引き上げたとしても、実際の労務に照らして過大とされる部分は必要経費とはならない点に留意する必要があります。
変更届出書の提出時期は「遅滞なく」と定められています。専従者の増員や給与の増額を決定した段階で、速やかに納税地の所轄税務署長へ変更届出書を提出し、適正な税務処理を維持することが求められます。
専従者給与を受けると配偶者控除や扶養控除はどうなるか
青色申告者の事業専従者として給与の支払を受ける人は、同一生計配偶者や扶養親族にはなれません。したがって、家族に専従者給与を支給した場合、事業主はその家族を対象とする配偶者控除や扶養控除を受けることができなくなります。
税法上の取扱いとして、青色事業専従者給与の支払を受ける配偶者は同一生計配偶者から除外されます。また、事業専従者として給与の支払を受ける15歳以上の親族も扶養親族から除外されます。これにより、事業主は専従者給与を経費に算入できる一方で、配偶者控除や扶養控除といった人的控除の適用を受ける権利を失うことになります。
この取扱いは青色申告に限らず、白色申告の場合でも同様です。白色申告者の事業専従者である人も、同一生計配偶者や扶養親族にはなれません。青色申告の青色事業専従者給与、白色申告の事業専従者控除のいずれを利用する場合でも、専従者となる親族は配偶者控除や扶養控除の対象外となります。
専従者給与の支給を検討する際は、給与を必要経費に算入することによる事業所得の圧縮効果と、配偶者控除や扶養控除が適用できなくなることによる課税関係の影響を総合的に考慮することが重要です。
白色申告の事業専従者控除と青色事業専従者給与の違いは何か
青色事業専従者給与は届出の範囲内で相当と認められる給与額を必要経費に算入できますが、白色申告では支払った給与自体の経費算入は認められず、一定の計算式による事業専従者控除のみが適用されます。白色申告と青色申告では、家族への給与に関する税務上の枠組みが根本から異なります。
白色申告の場合、生計を一にする配偶者やその他の親族に支払った給与等を必要経費に算入することはできません。しかし、これらの方が専ら事業に従事している場合には、事業専従者控除として、配偶者は最高86万円、15歳以上のその他の親族は最高50万円を必要経費として差し引くことが認められています。
白色申告における事業専従者控除額は、次のイまたはロの金額のいずれか低い金額となります。イは、事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ事業専従者一人につき50万円です。ロは、この控除をする前の事業所得等の金額を事業専従者の数に1を足した数で割った金額です。この2つの基準を比較し、低い方の金額が控除額として適用されます。
白色申告で事業専従者控除を受けるための要件は、白色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること、その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること、その年を通じて6か月を超える期間専ら事業に従事していることのすべてに該当することです。さらに、確定申告書にこの控除を受ける旨やその金額など必要な事項を記載する必要があります。
青色申告と白色申告における専従者制度の違いを整理した比較表は以下の通りです。
| 比較項目 | 青色事業専従者給与(青色申告) | 事業専従者控除(白色申告) |
|---|---|---|
| 給与の経費算入 | 届出書に記載された金額の範囲内で、相当と認められる金額を必要経費に算入可能 | 支払った給与等の必要経費算入は不可 |
| 控除額・算入額の上限 | 労務の対価として相当であると認められる金額(過大部分は不算入) | 配偶者は86万円、配偶者以外の親族は一人につき50万円、または控除前事業所得等を「専従者数+1」で割った金額のいずれか低い額 |
| 事前の届出書 | 「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長へ事前提出 | 事前の届出書は不要(確定申告書に必要な事項を記載) |
| 年齢要件 | その年の12月31日現在で年齢が15歳以上(15歳未満を除く) | その年の12月31日現在で年齢が15歳以上 |
| 従事期間要件 | 年を通じて6か月を超える期間(一定の場合は従事可能期間の2分の1を超える期間)専ら従事 | 年を通じて6か月を超える期間専ら従事 |
| 配偶者控除・扶養控除 | 給与の支払を受ける人は同一生計配偶者や扶養親族になれない | 事業専従者である人は同一生計配偶者や扶養親族になれない |
青色申告では、事前に届出書を提出して要件を満たすことで、労務の対価として相当な給与額を必要経費に算入できます。一方、白色申告の事業専従者控除は上限額が定められており、配偶者の場合は最高86万円、配偶者以外の親族の場合は最高50万円(または事業所得等を専従者数+1で割った金額のいずれか低い額)に制限されます。
不動産所得で専従者給与を経費にする条件はあるか
不動産所得において青色事業専従者給与や事業専従者控除を適用するには、不動産貸付けが事業として行われている必要があります。事業として行われていない不動産貸付けの場合には、専従者給与を経費に算入することも事業専従者控除を差し引くこともできません。
国税庁の定め(令和7年4月1日現在法令等)によれば、不動産所得の場合、青色申告者に係る青色事業専従者給与または白色申告者に係る事業専従者控除額については、不動産貸付けが事業として行われている場合は適用がありますが、それ以外の場合には適用がありません。不動産所得を得ている事業主は、自身の不動産貸付けが事業として行われている実態があるかどうかを確認する必要があります。
適正な経理処理と日々の帳簿付けを正確に行うためには、会計ソフトを活用して給与支払いや事業取引の記録を管理することが有効です。青色事業専従者給与の要件、提出期限、制限事項をまとめた一覧表は以下の通りです。
| 区分 | 青色事業専従者給与の規定内容 |
|---|---|
| 対象親族 | 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族 |
| 年齢基準 | その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること(15歳未満を除く) |
| 従事期間 | 年を通じて6か月を超える期間(一定の場合は従事可能期間の2分の1を超える期間)専ら事業に従事 |
| 提出書類 | 青色事業専従者給与に関する届出書(変更時は青色事業専従者給与に関する変更届出書) |
| 提出先 | 納税地の所轄税務署長 |
| 原則の提出期限 | 必要経費に算入しようとする年の3月15日まで |
| 新規開業等の提出期限 | その年の1月16日以後に事業を開始した日または専従者がいることとなった日から2か月以内 |
| 経費算入の条件 | 届出書記載の方法および金額の範囲内で支払われ、労務の対価として相当である金額(過大部分は不算入) |
| 控除との関係 | 給与の支払を受ける人は同一生計配偶者や扶養親族の対象外 |
| 不動産所得の要件 | 不動産貸付けが事業として行われている場合に限り適用可能 |
青色事業専従者給与の適用を受けるためには、親族要件の確認、届出書の期限内提出、届出内容に沿った給与支払い、労務対価としての相当性の確保といった各段階の手続きを着実に実行することが不可欠です。
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よくある質問
年の途中で開業した場合の届出書の提出期限はいつまでですか?
その年の1月16日以後に新たに事業を開始した場合は、その開始した日から2か月以内が提出期限となります。同様に、年の中途で新たに専従者がいることとなった場合にも、専従者がいることとなった日から2か月以内に届出書を提出する必要があります。
原則的な提出期限は必要経費に算入しようとする年の3月15日までですが、1月16日以後の開業や専従者の増加といった事由が生じた場合は、2か月以内の期限が適用されます。納税地の所轄税務署長へ「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出してください。
15歳未満の家族に給与を支払って経費にできますか?
15歳未満の親族に支払う給与は、青色事業専従者給与として必要経費に算入することはできません。青色事業専従者の要件として、その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であることが定められており、15歳未満の人は除外されています。
家族への給与を必要経費にするためには、その年の12月31日時点で15歳以上である親族が事業に専ら従事している必要があります。年齢要件を満たさない15歳未満の家族に給与を支払っても、税務上の必要経費としては認められません。
専従者給与の金額を途中で増額したいときはどうすればよいですか?
専従者給与を増額する場合は、「青色事業専従者給与に関する変更届出書」を遅滞なく納税地の所轄税務署長に提出する必要があります。届出書に記載された金額の範囲内で支払うことが要件となっているため、増額支給を行うには変更届出書の提出が不可欠です。
変更届出書を提出して増額する場合であっても、青色事業専従者給与の額は労務の対価として相当であると認められる金額でなければなりません。業務内容や従事状況に照らして過大とされる部分は必要経費として認められない点に注意が必要です。
専従者給与を受け取っている配偶者は配偶者控除を受けられますか?
青色事業専従者として給与の支払を受ける人は同一生計配偶者になれないため、配偶者控除を受けることはできません。専従者給与を受け取る家族は同一生計配偶者や扶養親族から除外される規定になっています。
配偶者に専従者給与を支払って事業の必要経費に算入する場合、事業主側で配偶者控除の適用を重複して受けることは認められていません。専従者給与の経費算入と配偶者控除の適用は併用できないルールとなっています。
白色申告の場合でも家族への給与を経費にできますか?
白色申告の場合、生計を一にする配偶者やその他の親族に支払った給与等を必要経費に算入することはできません。ただし、専ら事業に従事している親族がいる場合には、事業専従者控除として一定額を必要経費として差し引くことができます。
事業専従者控除額は、事業専従者が事業主の配偶者であれば86万円、配偶者でなければ事業専従者一人につき50万円と、控除前の事業所得等の金額を事業専従者の数に1を足した数で割った金額のいずれか低い方となります。適用を受けるには確定申告書に所要の事項を記載して申告します。